天皇陛下撮影の「月食写真」を1カ月半後に公開…話題の皇室SNS実現に必要な2つの意識改革
2023年01月19日 06時00分女性自身

天皇陛下撮影の「月食写真」を1カ月半後に公開…話題の皇室SNS実現に必要な2つの意識改革の画像
雅子さまはスカイブルー、紀子さまはサファイアブルー、佳子さまはターコイズブルー……、目に鮮やかなロングドレスをお召しの女性皇族方が、1月13日に宮殿・松の間に並ばれた。
「天皇皇后両陛下をはじめ皇族方が年頭に当たり、さまざまな学問の第一人者から講義を受けられる『講書始の儀』が開かれたのです。皇室の方々が一堂に会する宮中の重要行事ですが、講義内容も専門的で、一般国民からの関心はそれほど高いとは言えません。
いずれ“皇室SNS”が実現し、講義後の皆さまのご感想なども発信されるようになれば、関心も高まっていくのでしょうか……」
そう語るのは皇室担当記者。
元日からメディア各社が立て続けに皇室による情報発信強化の動きについて報じている。
「宮内庁がインターネット上の発信強化を目指し、今年4月に『広報室』を新設します。メンバーは広報室長をふくめて10名ほどになるようです。
現在、皇室の方々のご活動は宮内庁のホームページ(HP)でご日程のみが更新されていますが、国民の理解を深めてもらうため、HPの刷新やSNSの活用も含め、より詳しい情報を発信していくことを検討する方向です」(前出・皇室担当記者)
イギリス、オランダ、デンマーク、ベルギー……、世界の王室の多くはすでにSNSを活用している。ジャーナリストの多賀幹子さんは次のように語る。
「故エリザベス女王は’19年にインスタグラムに自ら投稿し、世界的なニュースとなりました。女王が積極的に王室の活動や国民へのメッセージを発信するようになったきっかけは、ダイアナ元妃の事故死でした。当時の王室の対応に英国民が強い不満を抱き、支持率が急落したのです。その後、公式SNSなども活用し、地道に国民の理解を求め続けた結果、信頼を回復したのです。
キャサリン皇太子妃は3人の子供たちの誕生日に、自分で撮影した写真をインスタグラムで公開しています。とても自然な表情のかわいらしい王子たちの写真を、英国民は楽しみにしています。また昨年7月には宮内庁が、天皇ご一家がそろってご養蚕作業をなさっているお写真を公開して話題を集めました。
そういったこれまでは公表されなかったご家族の写真をSNSで発信していくことも、世界からの日本の皇室への理解につながるのではないでしょうか」
皇室からのSNSによる情報発信について、名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんはこう語る。
「象徴天皇や皇族が政治的な問題に関して自身の意見を発言することは難しいところで、発信に関しても慎重さが求められます。
そのいっぽうで皇室の方々も、公務の内容や意義を発信したいというお考えは持っているのではないでしょうか。皆さまがどんな仕事をしているのかなどは、国民に意外に知られていません。HPは主体的に“見に行く”必要がありますが、SNSは情報が“流れてくる”ことになります。皇室SNS開設により、若い世代が皇室に興味を持ち、支持する人も増えると思います」
■アカウントひとつ決めるのも簡単ではない
では雅子さまは、具体的にどのようなメッセージを伝えたいとお考えなのだろうか? 宮内庁関係者によれば、
「長年、雅子さまが強い関心を持たれ、研究を続けられているのは、“南北格差”、つまり先進国と発展途上国の間の経済格差の問題と、世界中の恵まれない子供たちへの支援についてです。
現在は雅子さまがメッセージを発信される機会は非常に少なく、1年に1度の『お誕生日に際してのご感想』ぐらいですが、昨年12月のご感想でも《世界各地での戦争や紛争により、子どもを含む多くの人の命が失われていることに深い悲しみを覚えます》と、つづられていたのです。
情報を発信する機会が増え、世界中の子供たちへのお気持ちをさらに表明することができるようになることは、雅子さまにとって“悲願”ともいえるでしょう。雅子さまは英語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語と5カ国語にご堪能です。日本語も含め、6つの言語でお気持ちを公表すれば、全世界にお伝えすることができます」
元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんも、SNSの活用は雅子さまのお心に沿うものだと考えているという。
「皇后陛下は以前から困難な状況にいる子供たちに強い関心をお持ちです。たとえば、そういった関係のお出ましの機会に投稿されれば、その子供たちに対する国民の理解と関心も深くなるでしょう。
さらに写真や文章だけではなく、音声を含めた動画でのメッセージを発信されるようになれば、皇后陛下のお人柄も国民はいっそう深く知ることができるようになります」
令和皇室の支持も上昇させ、雅子さまのメッセージの世界発信も可能にする皇室SNS開設。一日でも早い実現を雅子さまも願われているのだろうが、懸念されるハードルも多いという。
前出の山下さんによれば、
「私は平成9年から官房秘書課で行政情報化の担当として宮内庁のHP開設にも関わってきました。宮内庁のドメイン名は、『kunaicho』(.go.jp)ですが、『kunaichou』や、英語表記(Imperial Household Agency)の3文字略語『iha』がいいという意見もありました。SNSのアカウントひとつとっても様々な意見を調整した上で長官までの了解を得る必要があり、検討すべき課題が山積みなのです」
■陛下が撮影された月食写真の公表は1カ月半後
前出の宮内庁関係者は、2つの意識改革が必要だと指摘する。
「1つは広報に携わるスタッフだけではなく、両陛下の侍従にいたるまでの職員たちの意識改革です。
昨年12月22日に宮内庁は、天皇陛下が撮影された皆既月食の写真を公開しました。写真はどれも素晴らしいもので、当日は雅子さまや愛子さまと観察されたそうですので、天皇ご一家の円満ぶりを示すものだと思います。
しかし皆既月食があったのは11月8日。ご一家でのご観察という説明を受けた宮内記者会が侍従に『ぜひその日の写真を』と、要請してから1カ月以上もたってようやく公開されたのです。
侍従も公務関連の事項を優先すべきと考え、陛下に急いでいただくことはしなかったのでしょうが、こんな状況では “タイムリーな情報発信”は不可能です。情報発信強化のためには、天皇陛下や雅子さまに対しても、“国民がどのような情報を望んでいるのか”を説明し、物おじせずに意見を具申できる人材が必要になるのです」
■“皇族の意識改革”は両陛下にしかできない
職員問題については、前出の河西さんもこう考えているという。
「宮中にはオモテ(事務方)とオク(身辺のお世話)があり、密接に関わりあっています。おそらくSNSも公私のどちらかだけではなく、双方が関係する情報を載せることになるでしょう。
各部署が好き勝手に情報を載せていくのではなく、どういう方針に基づいて、どういう情報を載せるべきなのか、全体像を把握し、的確に判断できる人が広報室には必要だと思います。とくに天皇皇后両陛下や皇族方、宮内庁長官や侍従長にもアドバイスできる人が望ましいのではないでしょうか」
もう1つの意識改革は、皇族方自身に求められているという。前出の宮内庁関係者が続ける。
「以前、ある皇族が体調を崩されたときのことですが、その原因について事実と異なる報道がされたことがありました。側近がその皇族から正しい原因について“口止め”されていたことから、誤報が流れてしまったようです。
たとえば秋篠宮さまも“将来の天皇”である悠仁さまについて、十分に情報を出されているとは言えない状況です。皇室の方々にも“正しい情報をいち早く社会に公表する”という意識を持っていただかなければいけないのですが、職員が促すことは至難です。それは天皇皇后両陛下にしかできないことなのです」
悲願の“世界の子供たちを守る発信”を始めるために……、天皇陛下と雅子さまによる“宮中意識改革”が始まろうとしている。
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