西田敏行「政府に腹立つ」検察庁法改正案に日俳連理事長の怒り

西田敏行「政府に腹立つ」検察庁法改正案に日俳連理事長の怒り

西田敏行「政府に腹立つ」検察庁法改正案に日俳連理事長の怒りの画像

《もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないでください。この国を壊さないでください #検察庁法改正案に抗議します》

5月10日、ツイッターでこうつぶやいたのは、NHK連続テレビ小説『なつぞら』にも出演した俳優の井浦新(45)。この投稿は、国会で審議されていた検察庁法改正案についてつぶやかれたものだ。

内閣の判断で検察幹部の定年を延長できる条項が盛り込まれている同改正案。検察の中立性と独立性を揺るがしかねないとして、連日、日本中から強い批判が寄せられていた。そして5月18日、与党は国民の理解なしに国会審議を進めることは難しいとして、今国会での成立見送りを決定した。

「5月9日にツイッター上で『#検察庁法改正案に抗議します』のハッシュタグとともに抗議の声が拡散。タグを使った投稿数は2日で700万件近くにものぼったといいます」(全国紙・社会部記者)

冒頭の井浦をはじめ、芸能界からも賛同者が続出。小泉今日子(54)、西郷輝彦(73)、浅野忠信(46)、オアシズの大久保佳代子(49)、きゃりーぱみゅぱみゅ(27)など、俳優からミュージシャンまでさまざまな著名人がツイッターで抗議の声を上げた。なぜ、これだけ多くの芸能人が声を上げたのか。その一因を、ある芸能プロの幹部はこう見る。

「コロナウイルス感染拡大によって、コンサートや舞台などエンタメ業界では数千億単位の損害が出ています。しかし、政府からは抜本的な補償の話はいまだ出ていない。そんな状況下で正当性が疑われている法案を強行採決しようとしている政府に対して、タレントたちも思わず声を上げたのでしょう」

実際、2,600人の俳優が所属する協同組合「日本俳優連合」の理事長でもある西田敏行(72)も現状を憂う一人だ。

「自粛要請によってキャンセルになった舞台などの出演料を受け取れない俳優が続出。西田さんは早くから俳優たちの窮状をさまざまなメディアで訴えていました。3月5日には内閣府と厚生労働省に収入が激減した俳優たちへの支援を求める要望書を連合を代表して提出していました」(前出・社会部記者)

西田は“同志たち”が声を上げた今回の改正案に何を思うのか。5月14日、仕事終わりの西田に話を聞いた。

――コロナ禍で俳優さんたちも苦しい状況にあると聞いています。

「みんなつらい思いをしながらも、我慢して自粛しています。“この時期を乗り切れば、幸せがくる”そういうふうに信じています」

――自粛中の俳優さんたちの生活は大丈夫でしょうか?

「舞台とか“密”になって稽古しなければできないところで暮らしている俳優たちはやっぱりつらいでしょうね。政府に要求したけど、歯牙にもかけない感じだしね……。残念ながら、われわれ表現者はあまり優遇されていないので」

苦境に立つ俳優たちを慮りつつ、政府への不満を漏らす西田。続けて、検察庁改正法案についても聞いた。

――多くの俳優が改正案に反対を表明しています。

「改正案はおかしい! 私もそう思います。果たしてそれをコロナが蔓延しているこの時期に、政府が率先してやるべきですか!?」

――優先順位が違うとみなさんおっしゃっています。

「まったく同じ気持ちです。腹立ちますね、本当に!」

俳優たちの代表として不要不急の法改正に“絶対反対の意思”を示し、西田は去っていった。次々と“声を上げる”芸能人たち。今後こうした流れは加速していくという。エンタメ界に詳しい江戸川大学の西条昇教授はこう語る。

「今回の動きは、エンタメ界にシビアな政府への憤りだけではありません。アメリカの俳優やアーティストは自身の支持政党といった政治的コメントをします。アメリカでは、著名人の作品への評価と、そういった発言は別物として受け止められているからです。これまで日本では、事務所やスポンサーが気にするため政治的発言はリスクと考えられていました。しかし、SNSが発達したことで自分の意見を言える機会も増えた。事務所側も、タレント本人の考え方も尊重していくようになっています。日本のエンタメ界がアメリカのように変わっていく転換期を迎えていると思います」

変革の時を迎えつつある日本の芸能界。政府は彼らの“声”とどう向き合っていくつもりだろうか。

「女性自身」2020年6月2日号 掲載

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