『MIU404』のドラマP・新井順子「人からの誘いは断らない」 その理由は?

時代をときめく方のエピソードを通して、“今、私に必要な自己投資は一体どんなことなのか”一緒に考えてみませんか? ここでは、TBS SPARKLE エンタテインメント本部 ドラマ映画部 プロデューサー・新井順子さんにお話を伺いました。

『アンナチュラル』『中学聖日記』『着飾る恋には理由があって』など、話題のドラマを次々に手掛けるプロデューサー・新井さんにとって「自らの人生が、ドラマを作る上でのベース」となる。

「全く経験したことのないところから想像するのが苦手で、主人公の行動ひとつとっても、自分ならどうするか、イメージがわかないドラマは作れないんです。なので、一つでも多く、経験値を増やしておきたいんですよね」

興味を持ったら、即行動! 陶芸、ビリヤード、ボウリング、英会話、ランニング…さまざまなことに挑戦してきた。

「突然始めては、すぐやめるんですけどね(笑)。過去最短記録は、イラストの通信教育。ドラマに活かせそうという動機ではなく、イラストを通信で教えるとは一体どういうことなのか、知りたくなったんです。常々、疑問を持ったことは実際にやってみて、経験として知っておいて損はないと思うのでイラストを始めたんですが、テキストに『線をなぞってください』とあり、ひたすら線をなぞるという作業に飽きて、早々にやめました(笑)」

人との会話はネタの宝庫だそう。だからこそ「人からの誘いは断らない」というのが人付き合いにおける基本的なスタンス。そんな新井さんにとって、お金、時間、体力のすべてを使ってでも、行く価値があるのがごはん会。

「コロナ以前は毎晩のように、スマホがピコンピコン鳴っていたんです。『今、どこ?』『来られない?』と誘われれば、翌朝早くても、必ず行くようにしていました。オンライン飲みが流行った時は、オンライン上をはしごです(笑)。人って、お酒が入ると、高校の時の彼氏がどうだったとか、昔話を始めるじゃないですか。そこで出てきた恋愛ネタや家の事情はリアルだからこそ面白いんですよ。いろんな場に顔を出しては、見聞きした話をどんどん脚本家に伝え、監督と共に台本を仕上げていくので、作品への大切な投資になっていますね。正式な取材であればもちろん経費で落ちますが、たとえ落ちなくても、ドラマを作る上で絶対に話を聞くべき人がいれば、その人との集まりにはガンガン投資しますし、ハリウッドで頑張る女性のドラマを作りたくなれば、自腹でもハリウッドに行くと思います(笑)」

リアリティを大切にしたドラマ作りの原点は、小学生時代にある。

「鍵っ子だったので、親が帰ってくる夜遅くまでずっとテレビを見られたんです。姉が4つ上だったのもあり、小学生には少し早い恋愛モノも見ていました。中3の文化祭では、自分で劇の脚本を書いて、配役も決めました。全校生徒の投票で順位が決まるので、クラスで一番のイケメンを主役にしたんです(笑)。その体験が楽しくて、高校を卒業したらドラマの世界に入ろうと、ドラマのエンドロールに出てくる制作会社に手当たり次第、電話をかけました。でも、どこでも『高卒での採用は厳しい。専門学校は出たほうがいい』とやんわり言われて、専門学校に行くことにして、1年の夏にはもうバイトとして現場に出ていました」

卒業後、狭き門の制作会社に就職し、本格的にドラマ制作の道へ。

「後から聞いた内定の理由は、本当かどうかわかりませんが『面接後、机の下に椅子を入れたのがあなただけだったから』だそう(笑)」

そう謙遜するが、小学校からのドラマへの愛や知識量、専門学校での現場体験が評価されたに違いない。目指していた業界で、「ワーカホリック」と自覚するほど、ドラマ作りに邁進する日々で、新井さんに精神的な安らぎをもたらしてくれることは?

「旅行。今は難しいけど、新しいドラマが始動する前に、弾丸スケジュールでもどこかへ行って、仕事から離れます。肉体的には疲れても、すごくリフレッシュできる。心の投資ですね」

私、こんな自己投資をしてきました!


・興味がわくことは、やって損はなし。・ネタの宝庫は身近に! 人の誘いは基本断らない。・小学生時代から大人のドラマを観賞。

旅行先では衝動を止めない!


旅先での買い物でストレス発散。「アロハのワンピとか、仕事には使えない小さいバッグとか買っちゃいますね(笑)。その時は欲しかったんだから後悔はなし!」

ヒット作を連発! 時代を読むドラマづくり。


綾野剛さんと星野源さんがW主演した『MIU404』。スリリングな展開に、SNS上も大きな盛り上がりを見せた。最新作『最愛』は吉高由里子さんが主演するサスペンスラブストーリー。『MIU404』DVD BOX/Blu‐ray BOX 好評発売中/10月スタート TBS系 金曜ドラマ『最愛』

あらい・じゅんこ 大阪府出身。2001年、ドリマックス・テレビジョン(現TBSスパークル)入社。’08年『ラブレター』でプロデューサーデビュー。’21年、『MIU404』で第45回エランドール賞プロデューサー奨励賞を受賞。10月から新ドラマ『最愛』がスタート。

※『anan』2021年9月22日号より。取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)

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