V6、洗練されたパフォーマンスとファンへの真摯な想い。最後のライブをルポ。

V6が26年の歴史に幕を下ろした、2021年11月1日の幕張イベントホールでのステージの模様をレポートします。

ファンとメンバーの「ありがとう」があふれた一夜に。


2021年11月1日。1995年の同日にデビューしたV6が、26回目の誕生日を迎えるこの日、その歴史に幕を下ろす。全国9か所をめぐるツアー「LIVE TOUR V6 groove」の最終日が、幕張イベントホールで行われた。

会場には、「ありがとう」をはじめ、感謝の言葉を描いたうちわが目立つ。早くステージに立つ6人の姿を見たいという気持ちと、最後のライブが始まらないでほしいという想いの両方が充ちているように感じた。「V6」を呼ぶハンドクラップが鳴り響き、照明が落ちて、ついにその時が始まった。

彼らが一曲目に選んだのは『雨』。しっとりとした、歌声を聴かせるナンバーで、この楽曲を最初に持ってくるところに、彼らの凄みと余裕、気合を感じずにはいられない。長さ12mもある6枚の白い紗幕にはメンバーが投影され、神々しく幻想的なムードを作り上げる。この日の幕張メッセは、小雨がパラつき、とにかく湿度が高かった。そんな気候が曲の世界観と重なり、湿気が体にまとわりつくように音楽が体を包み、一気にステージへ引き込んでいく。

そこから続くのは、『TL』『Heart Beat Groovin’』というダンスナンバー。体に響く重低音に合わせたスタイリッシュでグルーブ溢れるパフォーマンスが会場を盛り上げていく。途中、岡田准一さんが『幕張〜!』と口を開き、会場を煽る。今回、この2曲をはじめ『分からないだらけ』『Best Choice』など、新たに振り付けした楽曲は全7曲。ラストツアーにして、まだまだ新しいものを見せようとする姿勢は、ファンへの想いと、決して妥協しないスタイルの表れだ。

それは演出にも見て取れる。『blue』でステージに登場したのは、アームのついた「V」の字を象ったライトで、横に向いたり、回転したり、メンバーを照らしたりと見る者の目を楽しませる。上質な大人の色気を堪能できる『PINEAPPLE』では、白い糸で四方に壁を作り、その中をメンバーが出入りするというアーティスティックな表現も登場。『家族』では、家族的存在への愛おしさを表現したかのようなライトの光が暖かく、そのどれもがメッセージ性を持つものとなっていた。

洗練されたパフォーマンスの根底にあるのは、メンバーそれぞれのスキルの高さ。坂本昌行さんの伸びやかな声は楽曲を盛り上げ、ポジティブな空気へと導いていく。三宅健さんの透明感と個性が、パフォーマンスを唯一無二のものにし、森田剛さんは、歌声や一挙手一投足がエモーショナルで、見るものを釘付けにするカリスマ性を見せつけた。

MCをはじめ、メンバーの人柄や関係性が見えるシーンもたくさんあった。トークをリードするのは、国民的名MCとしても愛されている井ノ原快彦さん。笑顔と、優しく盛り上げる語り口が、会場に癒しをもたらす。また、「マスク苦しかったでしょ?」「人っていうのは、こうして思いを飛ばせるんだね。全部届いてきました!」「けっこう、懐かしいうちわを持っている人もいるよね? デビュー当時のうちわを大事に持っていてくれたのかな?」と、コミュニケーションをとりながら感謝の想いを伝えていく。

チャーミングな末っ子ぶりを発揮したのは岡田准一さん。『MUSIC FOR THE PEOPLE』の最中、長野博さんの脚がどのくらい上がるかを試したり、今回のツアーの恒例となっていた、『TAKE ME HIGHER』ですれ違いざまに長野さんと井ノ原さんどちらかの肩に触れるという場面では、最後だからとマイクを置いて両方の肩をタッチしたりも。また、メンバーからの愛されぶりを感じさせたのが長野さん。岡田さんや三宅さんに、ちょっかいを出されたり、入所歴の話の時に「36年目だわ…」とつぶやき、森田さんから「いい加減にしろよ! なげーな!(笑)」と突っ込まれるシーンも。それを一切動じることなく、仏の笑顔で受け止める。

凝った演出でしっかりと魅せるところもありながら、20th CenturyとComing Centuryが交互に歌うメドレーパート、『MUSIC FOR THE PEOPLE』にはじまるユーロビートメドレーなどをテンポよく披露し、構成力の高さ見せつけた今回のライブ。もちろん、ファンとの距離を縮めることも忘れておらず、4曲目『太陽のあたる場所』から6曲目『UTAO-UTAO』、後半、『Believe Your Smile』から始まるシングルメドレーでは、メンバーがトロッコに乗って会場の中へ。また、お立ち台に乗り、かなり高い場所まで上がっていく場面も。

満面の笑顔で手を振りながら、アリーナ席からスタンド席の上まで、すべての人に想いを届けていく。ライブ配信も含め、誰も置いてきぼりにせず、全員に感謝の気持ちを伝えたいというメンバーの強い意志を感じた。『Darling』『HONEY BEAT』『WAになっておどろう』『愛なんだ』と名曲が続き、金の紙吹雪が舞い上がった瞬間、会場はこのうえない多幸感に満ち満ちていた。

井ノ原さんの「歌で思いを伝えたいと思います」という言葉とともに本編の最後に披露されたのは、このツアーのために作られた『目を閉じれば』。そこに込められていたのは、歌詞にもある「僕はそばにいるよ」というメッセージ。スクリーンには過去のライブ写真が年代ごとに映し出され、ライブというものが彼らとファンにとっていかに大切な場所だったかということが伝わってくる。歌が終わり、手をつないで深い一礼をした6人。井ノ原さんの「俺たちが」のあとに、全員が「V6!」と叫び、黄色い光の中へと消えていく。スクリーンには、MCの時に岡田さんが撮影したメンバーの集合写真が映し出されていた。

大きな拍手に包まれた会場に再び6人が現れて始まったアンコールでは、メンバーへのサプライズが。突然、オルゴールの音が流れたかと思うと、ファンの手書きメッセージと、感謝を伝える声がスクリーンにあふれる。メンバーは驚きながらも嬉しそうに、感極まりそうになりながら見つめていた。ライブの最初からずっと、普段と変わらない穏やかなテンションでいた6人だが、この時ばかりは少し、目を潤ませる場面も。その気持ちに応えるよう、それぞれの言葉で感謝の気持ちを伝えていく。

長野さんは、少し間をおいてから、「みなさんの拍手と『ありがとう』という言葉だったりに、ずっと、支えられてきました。本当にみなさんの笑顔が大好きです。みなさんの心の中に、僕らの笑顔があるように、みなさんの笑顔も僕たちの心にあります」と言葉を紡ぐ。三宅さんは、「みんなにとって今日が一番寂しい日かもしれない。僕にとっても一番寂しい日だと思います」「泣きたい時は本当に泣けばいいし、悲しい気持ちに素直に、前を向ける日が来ることを心から願ってます」と寄り添った。

岡田さんは「アイドルとしてみなさんの前に立つということは、みなさんの人生にとって“良い存在になれればな”と思いながら進む6人の道でした」「このメンバーだから26年間やり遂げられた」と振り返る。解散とともに事務所を離れる森田さんは、「みなさんに惜しまれて、最後を終われるというのは、僕は間違っていないと思うし、幸せでした」と覚悟を新たに。最後はリーダーの坂本さんが担う。「こんな俺でもリーダーとみなさんが呼んでくれて、なんとか頑張ってこれたのは、ここにいる5人のおかげです」「本当に26年間、あっという間でした」と思いを話す。

ファンはアイドルという存在から、喜びや幸せをもらう。でも、同時に、好きなアイドルの幸せを願っている。だからこそ、「26年間、みんなに出会えて本当に僕は幸せでした」(三宅さん)、「幸せでした、この6人に出会えて、みなさんと出会えて」(森田さん)という言葉は尊く響き、お互いがお互いを幸せに導くV6とファンの関係性は、かけがえのないものに感じられる。今回のライブでも終始、メンバーとファンが、言葉には出さずとも「ありがとう」という気持ちを伝え合っていたのが印象的だった。

アンコールであり、6人で歌う最後の楽曲となったのは、『95 groove』。心地のいいグルーブにのって歌われる、「帰る場所」「幸せでありますように」「本日は最後の日」「息合わせて踏んだステップ」などのフレーズが胸を打つ。6人は最後まで、笑顔で輪になったり、ステージを動き回ったり、一列に並んだりと楽しそうにパフォーマンス。そして、階段をのぼり、手を振りながら姿を消した。

メンバーが去ったあと、スクリーンには岡田さんが撮影した、6人の手が組み合わさってまるでハートを形作っているようにも見える写真が映し出され、観客が撮影できるようになっていた。また、「あなたが結んでくれたこの手はいつも心につないでおきます。あなたが好きです。いつかどこかでまた逢う日まで」という言葉が残された。最後までファンのことを思い、少しでも寂しくないようにと、たくさんのありがとうの贈り物をしてくれるV6。それに応えるよう、会場にはずっと拍手が鳴り響いていた。

応援しているグループが解散することは、どうしたって、寂しい。でも、その気持ちにメンバーが寄り添ってくれることが、いつか前を向く時の支えとなることは間違いない。「これでサヨナラじゃない」(森田さん)、「僕はまた新たな目標が見つかりました。今日のこの景色は最後ではなく、また、この景色を見るために頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします」(坂本さん)という言葉も、ファンの心に沁みたのではないだろうか。

26年間、同じ仕事を続けること、同じメンバーでいることは、どちらか一つだけでも大変なこと。それを叶えただけでなく、常にパフォーマンススキルや表現力を磨き、進化し続けたV6。エンターテインメントの奇跡を見せてくれた6人の偉大さを、あらためて感じた夜だった。

(セットリスト)01.雨02.TL03.Heart Beat Groovin’04.太陽のあたる場所05.over06.UTAO-UTAOMC07.20th & CC Medley Ash to Ash(cc) ジンクス(20th) HAVE A SPER GOOD TIME(cc) Knock Me Real(20th) Born to run(cc) オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ(20th) Silver bells(cc) Dahlia(20th)08.分からないだけ09.MAGIC CARPET RIDE10.blue11.Let Me12.EURO Medley MUSIC FOR THE PEOPLE BEAT YOUR HEART MADE IN JAPAN TAKE ME HIGHERMC13.High Hopes(cc)14.グッドラックベイビー(20th)15.素敵な夜16.Best Choice17.PINEAPPLE18.家族19.Full Circle20.Sweet Days21.Single Medley Believe Your Smile 愛のMelody 本気がいっぱい Darling グッデイ HONEY BEAT CHANGE THE WORLD WAになっておどろう 愛なんだMC22.目を閉じれば(未音源化楽曲)アンコール 95 groove

取材・文 重信綾

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