加賀まりこ「最初は断ったんです」 『花男』道明寺の母役を引き受けた“条件”とは?

人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、数多くの映画やドラマに出演してきた加賀まりこさん。第3回は“母親役”に関するお話を伺います。最新作の映画の役はご自身にとても近いとか。

最新作で演じるのは、自閉症の息子の母です。


公開中の映画『梅切らぬバカ』では、自閉症の息子を持つ母を演じています。息子が50歳の誕生日を迎え、年老いた珠子はこの先二人はどうなるのかを悩み…というのがこの映画のお話。脚本と監督を担当しているのは、まだ38歳の和島香太郎さんです。その世代の人がこんな地味な作品を撮りたいと思うことに、びっくりしました。実は私、今のパートナーに自閉症の息子がいるので、私生活でも同じ経験をしています。この役のお話をいただいたときに、息子のそばに存在するという役ならできるかもしれない、と思ったのが、引き受けた大きな理由。珠子さんは、自分にとって遠い人じゃなかった。だから役作りは楽でした。まったく等身大、お化粧もしないで出演しましたからね。

障害のある人を前にしたとき、手を差し伸べるまでいかなくてもいいから、微笑んでほしいと思う。そんなことを、この映画を観て、感じてもらえたら嬉しいです。

“道明寺の母”の衣装の秘密とは…?


いろんな母親役をやりましたが、ananの読者的に印象深いのは、やっぱり『花より男子』で演じた道明寺司の母親・道明寺楓でしょう。あの役、実は最初は断ったんです。役柄を聞いたら「鉄の女」だと言われて、そんなハートのない女の人を演るのはまっぴらごめんだわって。でもクランクイン直前にプロデューサーとディレクターが家までいらして、「いま加賀さんが抜けたら本当に困る」って土下座せんばかりの勢いでおっしゃるの。ズルいわよねぇ(笑)。受けるにあたって私は、「道明寺のお母さんは中途半端な人ではないから、身につけるものは全部本物にして」という条件を出した。だからあのとき身につけていた衣装や宝石は、すべて本物だったの。常に全身、億を超す衣装! だから私の周りには常にガードマンがいたのよ。

60代であの役に出合えたことで、生き延びたな、と思います。今でも、DVD販売のギャラがたまに入るの、ありがたいわよね(笑)。

かが・まりこ 1943年12月11日生まれ、東京都出身。10代で女優デビューし、映画『月曜日のユカ』『泥の河』、ドラマ『花より男子』などに出演。自閉症の息子の母を演じた主演映画『梅切らぬバカ』が公開中。共演は塚地武雅など。

※『anan』2021年11月24日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・飯田聡子 ヘア&メイク・野村博史

(by anan編集部)

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