愛希れいか「これほど熱量がある舞台ってなかなかない」 唐十郎作品に挑む

『エリザベート』や『マタ・ハリ』など、数々のミュージカルで主演を務める愛希れいかさんが、『泥人魚』にて初のストレートプレイに挑戦する。しかも混沌にまみれたアングラ劇という、これまでとはまるで違うタイプの作品。しかし意外にも「小さい頃から、母がそういう舞台も好きでよく観に連れて行ってもらっていた」のだそう。

「大人になってからも、すすんで観に行ったりするくらい興味はあったんです。自分から出てみたいと言葉に出して言えないけれど、理由も分からず惹かれる感じはなんだろうと思っていたんです」

諫早湾の干拓事業を題材に、“ヒトか魚か分からぬコ”や“人の影を踏む興信所”が登場する不可思議な世界が怒濤のように展開する作品。

「台本は何度も何度も読んでいますが、最初は分からなすぎて頭を抱えました。でも稽古場で立って声を出してセリフを言ってみると、“なるほど”って思う瞬間があるんですよね。宮沢(りえ)さんにも『台本と向き合うのはひとりの時間にして、稽古場で起きていることに目を向け、耳を傾けてみて。雑談から生まれるものもある。分からなくても熱量を持って大きな声で言ってみると見えるものがあるかもしれないよ』とアドバイスをいただきました。実際、ひとりでは読み解けなかったことが、みなさんのお芝居を拝見しながら、『こことここが、こんなふうにつながるんだ!』と分かったり、普段はボソボソと読んで覚えるセリフを、本意気で読んでみたらすんなり入ってきたりと、発見が多い現場です」

演じるのは、“月の裏側を熟知しているとのたまう女”月影小夜子。

「演出家の金(守珍/キム・スジン)さんが、役者さんから出てくるいろいろなアイデアを喜んで受け入れて、どんどん試していこうとされる方なんです。金さんからは、『月影は資本主義の塊。泥水のような汚れた世界で生きているけれど、どこかでは少女のようにピュアなものを追い求めている女性じゃないか』とアドバイスをいただきました。だからこそ、磯村(勇斗)さん演じる蛍一のようなキラキラした人に恋をするんじゃないかと。そうやって寄り添ってくださるので、一緒に作品や役を読み解かせていただいている気がして、今は難しさ以上に楽しんでやれています」

まさにそれが唐作品の魅力だ。薄暗くドロドロとした世界で、必死に営み続ける人間のエネルギー、役者の肉体が発する詩のような言葉…。その力強さと美しさに心を掴まれる。

「最初は怒涛の展開に戸惑うかもしれません。でもこれほど熱量がある舞台ってなかなかないと思うんです。すべてをさらけ出してやっている役者の姿や、そのエネルギーに触れることで届くものがあると思います」

COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』 ある日、蛍一(磯村)が暮らす都会の片隅にあるブリキ店に、かつて諫早漁港で共に働いていた、しらない二郎(岡田)が現れる。かつての二郎の裏切りをなじる蛍一の元に、彼を探してやすみ(宮沢)という女が現れる。12月6日(月)〜29日(水) 渋谷・Bunkamuraシアターコクーン 作/唐十郎 演出/金守珍 出演/宮沢りえ、磯村勇斗、愛希れいか、岡田義徳、石井愃一、金守珍、六平直政、風間杜夫ほか S席1万1000円ほか Bunkamuraチケットセンター TEL:03・3477・9999(10:00〜17:00) 

まなき・れいか 1991年8月21日生まれ、福井県出身。2018年まで宝塚歌劇団月組トップ娘役として活躍。退団後はミュージカルを中心に数々の作品で主演。放送中の大河ドラマ『青天を衝け』に井上武子役で出演を果たした。シャツ¥47,300(HAENGNAE/ヘンネ カスタマーサポート customer@haengnae.com)

※『anan』2021年12月8日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・山本隆司(style3) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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