日本は後れをとっている? ビジネスで大注目を浴びる「メタバース」の現在

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「メタバース」です。

世界で加速する、超越空間内の事業。日本の開発は?


「メタバース」とは、「meta(超越した)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネット上に繰り広げられる超越空間や、そこで展開されるサービスのことを指します。VRゴーグルをつけてメタバースに入れば、自分のアバターを使って、インターネット上で、現実世界と同じように社会活動に参加できます。メタバースでは性別も人格も超越できますし、テクノロジーと組み合わせることで言語の壁も越えられます。

Facebookは昨年、社名を「Meta」に変え、主要事業をソーシャルネットワークからメタバースに移行することを宣言しました。VRヘッドセットの普及機を作るオキュラス社を買収し、次のインフラ整備にとりかかっています。いま、メタバースをさまざまなビジネスにつなげようとする動きが世界で加速しています。

1月にラスベガスで行われた世界の家電見本市「CES(セス)」。ロボットを開発しているボストン・ダイナミクス社を買収したヒュンダイは、メタバース内でロボットに火星を探索させる様子をプレゼンしました。ロボットをメタバースに接続することで、現実世界と仮想現実を行き来でき、将来は人間の身体感覚が拡張して、仮想現実に没入するだけでなく、実際に行ったかのような感覚を得られるというのです。

また、サムスンも、メタバースの「ディンセントラランド」に、バーチャルストアをオープンしたことを発表しました。これからは、加齢や病気によって、たとえ自分の体が動かなくなっても、メタバースの中で働いたり、買い物をしたり、友達を作ったりすることが可能になります。

その一方で、今後はデータを握る人たちが強くなり、メタバースを運営する側と搾取される側の格差の広がりが懸念されます。

日本政府は、2050年までに人が身体や脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する「ムーンショット目標」を掲げています。しかし、メタバース分野の研究開発で、日本が世界から後れをとっていることは否めません。今からでも本腰を入れて進めてほしいですね。

堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00〜)が放送中。

※『anan』2022年3月2日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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