中山咲月「中山咲月という一人の人間として認められたい」 ジェンダーフリーな生き様【WEB限定カット&一問一答】

「一人の男性として生きていく」。昨年、自身がトランスジェンダーであることを公表し、同世代から多くの支持を集めている中山咲月さん。13歳で、雑誌『ピチレモン』の専属モデルとなり、以後、モデルや俳優として芸能活動を続けるも、内面に抱える葛藤よりも、中性的な見た目にばかり注目が集まり、“ジェンダーレス女子(男装した女の子)”枠に括られることにジレンマを抱えながら過ごしてきた。そんな中、一人のトランスジェンダーの人生を描いた映画『彼らが本気で編むときは、』に出合ったことで、一つの答えが導き出されたという。

「ジェンダー的なことを取り上げている映画だから観たわけではなく、軽い気持ちでたまたま観たら心を揺さぶられて。自分の性に気づくことができました」

自身の心に巣くっていたモヤモヤに“トランスジェンダー”という名前がついたことで逆に苦しみ、「追い詰められたこともある」と当時の心境を赤裸々に明かす。

「未来に希望が感じられず、親友の前で『生きているのがつらい』と漏らしたこともありました。そんなこと言って怒られるかなと思ったけど、親友は『これから何をしたら楽しくなるか考えよう』と一緒に悩んでくれて。『もっとワガママに生きていいんだよ』と背中を押してくれた。もともと自分を押し殺してしまうタイプなので、ワガママというのが一番難しかったのですが、親友の言葉で公表を決意しました」

自らを解放し、性別に囚われずに生きる道を選択したことで、仕事への取り組みも前向きに変化。

「以前は芝居をしていても、どこか集中しきれなくて。女性を演じていたときは、常にモヤモヤしていて心から楽しいとは思えなかった。でも、今は男性を演じることでやりがいを感じ、芝居に対して貪欲になったと思います」

現在出演中のドラマ『不幸くんはキスするしかない!』は胸キュン必至のBLラブコメ。中山さんが演じる佐々木麦は、主人公の親友で陽キャなオシャレ男子。

「普段の自分とは違い、ネアカなキャラクターで(笑)。自分と近しい部分がなく、役作りは大変でしたが、撮影ではアドリブを入れてみたり。明るいキャラを演じるため、けみおくんのYouTube動画を見て、テンションを上げてから現場に入ってましたね(笑)」

多様性が謳われる昨今、エンタメ業界においても、様々な「性」の在り方を広く認知してもらおうと、ジェンダーを題材にした作品も増えている。そうした流れを当事者はどう感じているのだろう。

「自分が公言するに至ったのも、エンタメによってだんだんと理解が深まってきたという背景があったから。エンタメの影響力は大きいと思うし、映画やドラマによって広まっていくことは大事だと感じています。こういう考え方もあるんだなと、知ってもらうきっかけになればいいなって。そしてゆくゆくは、ジェンダーを描いた作品も、それをキャッチコピーにするのではなく、一つの作品として当たり前に存在する世の中になったらいいなと思いますね」

自身も「性」を扱う作品に出演してみたいか? の問いには「そこはどちらでも」との答え。

「当事者が出たほうが理解できていいんじゃないか、という声もありますが、個人的にはそうは思わない。例えば、殺人鬼の役を演じるために、本当に殺人鬼になるわけではなく、俳優さんたちは想像して演じるものだから。それなら当事者が出演するよりも、有名な役者さんが演じて、より多くの人に見てもらえるほうがいいんじゃないかなと思います」

トランスジェンダーを公表した際、アセクシュアル(無性愛者)でもあると告白。恋愛系の作品に対しては違和感があるという。

「自分の中に恋愛感情がないので、共感はできないんですよね。壁ドンも胸キュンしないし(笑)。『不幸くんはキスするしかない!』はラブコメですが、演じた人物が恋愛するキャラクターではなかったので、単純に一つの作品として楽しめました。ただ、恋愛キャラを演じるとなったら、経験がない分、勉強は必要だと思う。作品を見て研究したり、想像力で役になりきりたいと思います」

そんな中山さんに、あえて、自身の肩書について聞いてみると、真摯に、率直な思いを語ってくれた。

「性別には、体の性、心の性、恋愛する性別など色々あって。それぞれの組み合わせで一人の人間が出来上がると思うので、一つの単語で表現するのは難しい。ただ、自分が新アイコンとして注目してもらえるのはありがたいこと。だから今後もっと活躍して、“女性なの? 男性なの?”ではなく、中山咲月という一人の人間として認められたい。自分はエンタメが好きで、エンタメに励まされてきた分、この世界で頑張って恩返ししたいという思いもあるし、活躍する自分を見て、同じような悩みを抱える人たちが笑顔になってくれたらいいなと思います」

WEB限定公開! 一問一答


WEB限定公開! 中山咲月さんに10の質問を投げかけてみました。

Q. 子どもの頃の夢は?ディズニーのキャストになること。

Q. 朝起きて、一番にすることは?携帯のゲームにログイン。

Q. なかなか眠れない夜、何をする?アロマ炊いて、ヒーリング系の音楽を流す。

Q. 犬派? 猫派?どっちも好きだけど…猫!

Q. タイムマシーンがあったら過去に行きたい? 未来に行きたい?過去。

Q. 宝くじが当たったら、何に使う?旅行。

Q. 愛用のマスクはどんなデザイン?立体マスクの黒色を使ってます。

Q. 好きなおにぎりの具は?ツナマヨ。

Q. あなたの弱点を教えてください。コミュ力の低さ。

Q. 無人島に持っていけるとしたら、何を持って行く?ドラえもん…。

なかやま・さつき 1998年9月17日生まれ、東京都出身。現在、ドラマ『不幸くんはキスするしかない!』(MBS・毎週木曜深夜1時29分〜、他)に出演中。6月24日より上演の舞台『アナザー・カントリー』にも出演。

ジャケット¥97,900 Tシャツ¥26,600 パンツ¥63,800(以上イザベル マラン TEL:03・5772・0412) 靴¥84,700(ピエール アルディ TEL:03・6712・6809) ピアス¥62,920 ネックレス¥107,030 リング、右手・人差し指¥253,000 中指¥204,600 左手・親指¥53,570 中指¥62,920(以上トムウッド プロジェクト ) その他はスタイリスト私物

※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・Die‐co 取材、文・関川直子

(by anan編集部)

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