在日ファンクの音楽が新たな息吹を注ぐ! KERA傑作戯曲、約20年ぶりに上演

2001年に初演されたケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)作の舞台『室温〜夜の音楽〜』は、12年前に起きた殺人事件を軸に物語が展開され、次第に過去の真相が明らかにされていくホラー・コメディ。初演時、作品のダークでどこか浮遊感漂うムードを牽引していたのが、たまの楽曲と生演奏。今回の上演にあたり、音楽の刷新を決めた演出の河原雅彦さんが白羽の矢を立てたのが在日ファンクだった。

「最初はもちろん尻込みしました。でも初演時の台本を読ませていただいたら、物語が歌の世界観と一体になって進行していく構成にものすごくそそられたんです。僕らとたまさんとではスタイルが全然違うというのもあったし。なにより、河原さんが一緒にやりたいと言ってきてくださったことが、ワクワクと同時にすごく嬉しかったんですよね」

浜野謙太さんはにこやかに話した後、真面目な表情になり「メンバーのモチベーションを大事にしているから…」と続けた。

「バンドが作品の賑やかしのためのコンテンツとして弄ばれる…みたいなことがあんまり好きじゃないんです。でも今回、河原さんは本当に在日ファンクを気に入ってくださっていたし、音楽全体に対する深い愛も感じて、メンバーを説得しました」

当初は既存曲を使用したいとの依頼だったが、なんと今作のために新曲を多数書き下ろしている。

「マネージャーが促してくれたんです(笑)。メンバーにも振って個々に作り始めたんですが、自然と普段にはない目的意識で違うアプローチになるわけじゃないですか。それがすごく作曲のバリエーションにつながったし、作品の世界観から掻き立てられるものもありました。僕の曲だけじゃなく、いつもアーバンなかっこいい曲を作ってくるギターの仰木(亮彦)の曲も、この作品に当てはめると、不思議と不気味に感じられたのも新感覚でしたね」

物語が展開されるのは、12年前に殺害された少女の双子の姉と父である作家が暮らす家。そこに集まってきたバラバラな人々が絡み合い、かつての事件の真相が明らかにされていく。俳優としても出演する浜野さんの役は、タクシー運転手・木村。

「じつは学生のときにKERAさんのホンを上演させてもらったことがあって、変なテンポで進んでいく会話とか、そのズレで笑いが起きる感じがすごく好きだったんです。僕は音楽をやっているからか、KERAさんのテンポってたぶんこうだろうなって思って木村を演じちゃうんですが、河原さんは、この場面のズレの面白さはなぜ起こるのか、というところから木村の性格を導き出してリズムに反映する…みたいな本当に細かい部分から“逆”逆算しながら作っていく感じが面白いですね」

コメディリリーフ的な役割も担う。「場を乱していく奴なんで、バンドでの僕の立ち位置とあまり変わらない」と笑いを交えて語るが、後々とんでもないことを引き起こす人物だ。

「やればやるほど懐がすごく深くて、すごいホンだなと思うことがいっぱいあるんです。ホラーかサスペンスか、コメディか…と油断していると胸を掴まれる部分があったりするので、油断して観に来てほしいですね」

『室温〜夜の音楽〜』 12年前、集団暴行を受け殺害されたサオリ。彼女の十三回忌、父であるホラー作家の海老沢(堀部)とサオリの双子の姉・キオリ(平野)の暮らす家に、加害少年のひとり、間宮(古川)が訪ねてくる。6月25日(土)〜7月10日(日) 三軒茶屋・世田谷パブリックシアター 作/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出/河原雅彦 音楽・演奏/在日ファンク 出演/古川雄輝、平野綾、坪倉由幸(我が家)、浜野謙太、長井短、堀部圭亮ほか S席9500円 A席7500円 サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(平日12:00〜15:00) 兵庫公演あり。

はまの・けんた 1981年8月5日生まれ、神奈川県出身。在日ファンクのボーカル兼リーダーで、俳優としても活躍。最近の出演作に映画『劇場版ラジエーションハウス』など。Tシャツ¥19,800 パンツ¥44,000(共に71MICHAEL contact@71michael.jp)

※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・森川雅代(1994) ヘア&メイク・阿部孝介(traffic) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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