デビュー8年目にして初体験だったことは? GLIM SPANKY、新アルバムでの挑戦

「いろいろなテーマの様々なサウンドの楽曲が生まれ、まるで短編映画集みたいと感じました。ひとつひとつを小さな穴からのぞく、みたいなイメージが浮かび、『Into The Time Hole』というタイトルにしました。聴く人が、のぞく度に夢中になれるような時間が流れていると感じてくれたら嬉しい」と松尾レミさん。収録曲11曲の中で最初にできたのは「風は呼んでいる」。ふたりの地元、abn 長野朝日放送開局30周年テーマソング。お祭り、お祝いソングではなく、きっちりGLIM SPANKYならではのグルーヴ感あふれるR&Rになっていて気持ちいい、そしてカッコいい。

「どんどん新しいことに挑戦していこう、というテーマが私たちのいつもの曲作りとも合ったので、自由にやりました。『古い地図は信じない』というワードが出てくるのですが、私たちは’60年代、’70年代の文化が好きで、古いものをカッコいいとして発信しているのに、そんな相反するフレーズをあえて言う言葉の重さも込めた感じですね」(松尾さん・Vo/Gt)

ほかのアーティスト同様、この2年半は思うようにライブやイベントには出られなかった。しかしその不自由をバネに、ふたりはまったく未経験のことにチャレンジ。その成果もこのアルバムの核になっている。

「ミュージシャンを集めてのレコーディングが自由にできなかったので、ずっとやってみたかった《打ち込み》にトライする機会がもらえて楽しかったですね。僕らのリスナーは、生演奏が聴きたい人が多いので、めっちゃ打ち込みに対するハードルが高いんですよ(笑)。試行錯誤しながらですが、CDとして出せるレベルにはブラッシュアップできていると思います」(亀本寛貴さん・Gt)

生演奏にこだわるアナログ派でバンドマンイメージな亀本さんが、パソコンを駆使して打ち込みサウンドを存分に使用したことにもびっくりしたけど、片や松尾さんもデビュー8年目にして初体験、なことが。今まで頑なに使わなかった《イヤーモニター》(歌声や演奏を直接聴ける、耳に装着するモニター)ではじめてライブを行った。歌へのアプローチも変わったようだ。

「ライブ会場でのコンサートができなかったので、配信ライブをすることになって。観てくれる人に、できる限り本当のライブに近いクオリティで届けたくて、イヤモニにはじめてチャレンジしました。いざ使ってみたら、歌がぐっとリアリティを持って聞こえるんです。表現ももっと感情的にとか、もっとガッといこうとか、こだわって歌ったりする場面も多かったですね。その経験がアルバム制作にも、すごく反映されていると思います」(松尾さん)

打ち込みとかイヤモニとか、専門用語が登場したけど、ふたりの果敢なチャレンジまでもが入った新作で、変化した歌声とサウンドをじっくり味わいたくなった。この挑戦を経てさらに成長したライブツアーも決定。生のステージでふたりの熱いパフォーマンスが見たい!

6th Album『Into The Time Hole』。新曲「形ないもの」ほか11曲収録。【初回限定盤(CD+DVD)】2020年に開催した初のオンラインLIVEの模様を収録。¥5,170 【通常版(CD)】¥2,970(UNIVERSAL MUSIC JAPAN)

グリムスパンキー 松尾レミ(Vo/Gt)、亀本寛貴(Gt)のロックユニット。松尾の力強いハスキーボイスとブルージーな亀本のギターで多くの人の心を掴んでいる。11〜12月に全国ツアーも開催。

※『anan』2022年8月10日号より。写真・YUHO 取材、文・北條尚子

(by anan編集部)

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