かまう飼い主×そっけない猫!? “動物が登場する浮世絵”に注目した展覧会

動物が登場する浮世絵を集めた人気の展覧会『浮世絵動物園』が、5年ぶりに始まった。

「浮世絵のあらゆるジャンルには、動物の姿が描かれています」

と学芸員の赤木美智さん。例えば美人画は猫との組み合わせが多い。

「着替えの途中に猫にじゃれつかれて『困ったな』という顔をしていたり、猫が女性の仕草、表情を引き出すパートナーとして描かれることが多かったようです」

ペットだけでなく、街中に動物がいることが日常だった江戸の町。名勝を描いた風景画には、雨上がりに遊ぶ子犬、宿場町で荷車を引く牛や馬がごく自然に描き込まれている。一方で擬人画を見ると、鋭い風刺に筆の冴えを見せる個性派絵師たちも。

「遊女を浮世絵に描いてはいけないという禁令が出たときには、雀を遊女になぞらえ吉原の様子が描かれましたし、明治の初めに空前のうさぎブームが起こると、その狂乱ぶりを揶揄する風刺絵も描かれました」

擬人画が得意だった歌川芳藤(よしふじ)、ずば抜けたユーモアセンスを持つ歌川芳員(よしかず)など、魅力的な絵師に出会えるのも本展ならでは。

「そのほかにもミミズクを描いた『疱瘡(ほうそう)絵』と呼ばれる疫病よけに用いられた浮世絵を見ると、動物が祈りの対象でもあったことがわかります。浮世絵はただ鑑賞するだけでなく暮らしのあらゆるシーンに活用するものだったからこそ、そこに描かれる人間と動物とのディープな関係が見えてくるのだと思います」

歌川国芳「木菟と春駒」(前期)

流行り病の疱瘡にかかった子どもを慰めた「疱瘡絵」。当時は失明の危険もあり、ミミズクの丸い目に回復を託した。

月岡芳年「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」(後期)

かまう飼い主にそっけない猫の今も変わらない関係。「うるささう(うるさそう)」というタイトルも秀逸。

歌川芳員「東海道五十三次内 大磯をだハらへ四リ」(前期)

恋人を思う虎御前という遊女が姿を変えた「虎子石」。本来は石なのだがキャラ造形に漫画的センスが。

葛飾北斎「狆」(後期)

武家や遊郭の女性に人気だった日本固有種の狆(ちん)。

歌川芳藤「兎の相撲」(前期)

力士や行司、観客もすべてうさぎの「うさぎ相撲」の図。うさぎの表情がちょっと怖い?

『浮世絵動物園』 太田記念美術館 東京都渋谷区神宮前1‐10‐10 前期:開催中〜8月28日(日) 後期:9月2日(金)〜9月25日(日)※前後期で全点展示替え 10時30分〜17時30分(入館は17時まで) 月曜(9/19は開館)、8/30〜9/1、9/20休 一般1200円ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2022年8月10日号より。取材、文・松本あかね

(by anan編集部)

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