『六本木クラス』は信念を貫く“父と子”の物語―竹内涼真らが織り成すチャレンジング作の妙

気になる話題のドラマなど映像作品をおすすめするコラム【テレビっ子の窓】第3回。日本の作品から韓国の作品まで日々チェックしている、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりがお届けします。

最終回へ向けてラストスパート


『六本木クラス』 主人公の「二代目みやべ」店長、宮部新(竹内涼真)。 ©Kwang jin/ tv asahi

【テレビっ子の窓】vol.3

Netflixで大ヒットした韓国ドラマ『梨泰院クラス』の舞台を東京・六本木に移した、日韓共同プロジェクトの“ジャパン・オリジナル版”ドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系 毎週木曜 午後9時/Netflixでも配信中)は現在、最終回へ向けてラストスパートをかけています。

高校生のときの出来事により、絶望の淵に立たされた青年が復讐を誓い、金と権力を振りかざす巨大企業に屈することなく、仲間とともに立ち向かっていく姿を描く痛快なヒューマンドラマです。

主人公の宮部新を演じるのは、竹内涼真さん。『anan』2022年8月17・24日合併号にご登場いただいた際、今作について「演者や舞台が変われば、自ずと違う魅力を持った作品になる」と語っている竹内さん。今回に限らず、原作からの実写化作品は始まるまで賛否両論が起こりやすいものですが、今作はオリジナルに忠実なところと、日本ならではの構成で展開される場面が絶妙に組み合わされ、実際に回を増すごとに視聴率も上昇しています(韓国版も最終的には後半へ向け視聴率アップ)。

韓国のドラマはだいたいが1週間に2話ずつの放送で全16話が基本なのですが(最近は全12話までの少ない話数も増えてトレンドの様子)、日本のドラマは全10話前後が基本となるなか、今作は異例の13話までのドラマとしても、その展開が話題を呼んでいます。

主人公ら登場人物の吸引力


『六本木クラス』 新の初恋の人、楠木優香(新木優子)。 ©Kwang jin/ tv asahi

最近の日本の第4次韓流ブームを牽引したドラマとしても、不動の人気を誇るパク・ソジュンさん主演作としても、注目度が高かった『梨泰院クラス』。だからこそ、ソジュンさんをはじめ韓国版と日本版のキャストを比べる声も少なくありません。

主人公のパク・セロイ(パク・ソジュン)=宮部新(竹内涼真)。セロイの同級生で初恋の人のオ・スア(クォン・ナラ)=楠木優香(新木優子)。IQ162のインフルエンサーのチョ・イソ(キム・ダミ)=麻宮葵(平手友梨奈)。巨大外食企業の会長で宿敵のチャン・デヒ(ユ・ジェミョン)=長屋茂(香川照之)。その息子、チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)=龍河(早乙女太一)など。それぞれのキャラクターの個性が際立っているのは、日本版でも同じです。

主演の竹内さんは、近年の主演作『テセウスの船』(2020年)や『君と世界が終わる日に』(2021年)で見せた男気は今作でも感じられましたし、複雑で繊細な役の心情を見事に体現。これまでは、泣きの演技でもグッと心を持っていかれることが多々ありましたが、今作の新に関しては“泣かない男”なのです(!) いえ、厳密には父・信二(光石研)の前では素直に感情を吐露し、信二が龍河に殺され茂に隠蔽され、信二の葬儀や龍河に激怒する場面では泣いていました(つまり全部信二絡みのときです)。

『六本木クラス』 「二代目みやべ」店員で IQ162の麻宮葵(平手友梨奈)。 ©Kwang jin/ tv asahi

ただ、それ以降は茂たちへの憎悪と復讐心、そして何よりも「自分の信念を貫け!」と信二にかけられた言葉を胸に、強靭な精神で地獄から這い上がっていく新。でも、正義感の強い新は、良くも悪くも鈍感なところも。自分を慕う葵の恋心に気づかないうえ、初恋の優香への想いも貫いているのですから……。竹内さんは、真っ直ぐで古風な新そのものとなって、魅了します。

そんな新は、優香に学生時代からずっと恋心を抱き続けますが、優香役の新木さんは、韓国版のクォン・ナラさんともどことなく雰囲気が似ていますよね。新の宿敵である長屋ホールディングスが資金援助する児童養護施設で育ったため恩義を感じて働くものの、敵対する新との間で揺れ動く優香。本当は新のことが大事なのに、はっぱをかけるツンデレ感も上手です。

『六本木クラス』「二代目みやべ」店員の内山亮太(中尾明慶)。 ©Kwang jin/ tv asahi

そして物語が大きく進展してくキーキャラクターの葵を演じるのは、アイドル時代から一目置かれる存在感を放つ平手さん。韓国版のイソを演じたキム・ダミさんは、韓国のゴールデングローブ賞と言われる「百想芸術大賞」で『梨泰院クラス』の演技が評価され新人賞に輝きましたが、平手さんも原作漫画の作者でドラマ『梨泰院クラス』の脚本も担当したチョ・グァンジンさんから直々に役に推薦されただけあって、今後も葵の動向から目が離せません。

宿敵の会長・茂を演じる香川さんの重厚さは言うまでもなく、龍河役の早乙女さんは感情を押し殺すような表現や口元を細かく震わせる表情の作り方など、さすがの演技力。信二役の光石さんは、主人公の大事な存在として韓国ドラマ『星から来たあなた』のリメイクとなる日本版ドラマにも出演していたので、偶然とはいえ、韓国版日本版ドラマの常連キャストになりそうな予感も。

父と子の姿から見返す親子の絆


『六本木クラス』 長屋茂の次男で愛人の子、長屋龍二(鈴鹿央士)。 ©Kwang jin/ tv asahi

『六本木クラス』は、新が繰り広げる下剋上や、仲間たちとの揺るぎない友情についても見どころではありますが、忘れちゃいけないのは時折起こる“きゅんポイント”です。

新から優香への長〜い片想いや、実は優香も新への想いを長〜く秘めているところもそうですが、もっともきゅんきゅんするのはきっと葵のパート。新に告白して玉砕してもめげず、お店のマネージャーとしても役に立とうと必死で、とにかく一途。頭脳明晰ゆえに最初はどこか人を小馬鹿にしていたような葵が、新によって愛を知り、人間らしくチャーミングになっていくさまにも惹きつけられることでしょう。

今作は、ダイナミックに巻き起こる新の復讐劇に目が向きがちですが、根底に流れる“父と子”の絆も重要なトピック。信二と新、茂と龍河。相反する父子の形ですし、正義と悪、白と黒といったふうに、敵対するコントラストがハッキリとしているふたつの父子関係。でも、どちらも、自分にとっての正義をもとに動いているんですよね。それぞれの親子関係から、親や子の在り方を見つめ直すきっかけにもなるかもしれません。

『六本木クラス』 「二代目みやべ」の料理人、綾瀬りく(さとうほなみ)。 ©Kwang jin/ tv asahi

そんな『六本木クラス』の次回9月15日放送第11話は、料理対決番組の最終決戦。長屋グループからの妨害に屈せず、より結束を固める新の店「二代目みやべ」のメンバーたち。不動産業界の大物である田辺弘子(倍賞美津子)のおかげで店の経営が安定し、全国展開も現実となり始めた頃、葵と桐野雄大(矢本悠馬)に次なる計画を伝える新。そのとんでもない内容に葵と桐野は驚くものの、新の本気を見せられて心を決めます。いよいよクライマックスとなる残り3話、見逃せません!

文・かわむらあみり

Information


木曜ドラマ『六本木クラス』 https://www.tv-asahi.co.jp/roppongi_class/出演:竹内涼真、新木優子、平手友梨奈、早乙女太一、中尾明慶、鈴鹿央士、さとうほなみ、田中道子 ・ 光石研、矢本悠馬 ・ 緒形直人、稲森いずみ、香川照之原作:チョ・グァンジン『六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~』(ウェブ漫画/電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」掲載中)チョ・グァンジン/キム・ソンユン『梨泰院クラス』(テレビシリーズ/JTBC)脚本:徳尾浩司音楽:髙見優監督:田村直己、樹下直美ほかゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、西山隆一(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)制作協力:アズバーズ制作著作:テレビ朝日©Kwang jin/ tv asahi

文・かわむらあみり

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