この2年でエンタメ界は激変!? いま求められているオンラインコンテンツとは

この2年で、エンタメ界で一気に進んだオンライン化。そこで起きていたムーブメントを読み解くと、分かち合うことこそエンタメの神髄だと気づかされる。感動も体験も日常的な時間さえも、シェアして楽しもう!

エンタメとは本質的にシェアして楽しむもの。


コロナ禍以降、加速度的にオンライン化が進んだエンタメの世界。

「エンタメの世界では、デジタル優位の未来が訪れると予測されていましたが、コロナ禍で予想より数年早まり、“地殻変動”と呼べるほどの激変がこの2年で一気に起こりました。リアルなコミュニケーションが断絶され、強烈に孤独を感じた人の心を埋めてくれたのが、他人とも仲間になれるオンラインコンテンツだったのです」

と、エンタメ社会学者の中山淳雄さん。コロナ禍によってわかったことはもうひとつある。

「無観客ライブの配信から有観客でできるようになり、同じ空間を多くの人とシェアする楽しさが再確認されました。同時に、声を出せない状況下で、歓声によって感動を分かち合い、深めていたことにも気づかされました。本質的に誰かとシェアすることで喜びが膨らむのがエンタメなのです」

そしてオンラインでのシェアがうまいのが、元より日常的にSNSで誰かとゆるくつながっていたデジタルネイティブのZ世代。

「いいものはシェアするのが当たり前の彼ら。推しのいいところをSNSで拡散するような推し活、時間を共有する生配信なども盛り上がっています。表現の幅が広がったことで、自らが発信者になる人も増え、コンテンツは爆発的に制作されていますが、必ずしも有名人になりたいわけでもなく、趣味の一環であるのも特徴です」

と、若者マーケティングに詳しいSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣さん。また若者はテレビを見ないといわれるようになって久しいが、6割は普段からテレビを見ているし、2~3か月に一回は映画館にも行くという。

「コンテンツ過多の今、受け手が、オンラインは“ながら視聴”で、世界観に没入したい作品は映画館へと、視聴態度にメリハリをつけるようになってきていると感じます。ただ、双方向で楽しめるオンラインと比べると、テレビは一方通行で物足りないと感じる人がいるのも事実。そこで、テレビの現場でも視聴者が制作サイドと一緒に作っている“チーム感”を大事にする番組作りが促進中。例えば『あざとくて何が悪いの?』では視聴者のリアルな悩みにMCが答える、オンラインのスピンオフ番組『あざとお悩み相談室』が人気を得ています」(長田さん)

既存メディアにも刺激を与えるオンラインコンテンツ。シェアをキーワードに読み解いていきます。

ゲームの世界観を大人数でシェアできる。オンラインゲーム。


放課後、部室に集まる感覚でオンライン上で集合。世界中の見ず知らずの人と一緒に楽しむことが当たり前になったゲームの世界。「すでにクリアした人やゲームをしない人も集まるのは、そこに誰かが必ずいるから。放課後、ふらっと部室に立ち寄る感覚です。大規模なイベントが開かれるなど、集まりたくなる仕掛けがゲームの世界にも増えました」(中山さん)

『ファイナルファンタジーXIV』は、ネットワーク上で大人数とつながれるオンラインRPG。街の人やモンスター以外は全て実在のプレイヤー! バトルで助け合うことで仲が深まるほか、ゆるく集まって交流することも可能。ドマ式麻雀も実装された。©2010 ‐2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

LIVE配信という時間の共有はデジタル×アナログのいいとこどり。


リアルタイム配信で臨場感ある演出が実現!エンタメはアーカイブ化するかと思いきや、熱狂を生んだのは生配信。「アーカイブは便利ですが、“今”を共有できる感覚が強いのは生配信。今年配信された『あの夜を覚えてる』では、視聴者のコメントがセリフに反映されるなど、演出の一部に。その“参加”している感覚こそが感動の体験!」(中山さん)

ストーリーレーベル「ノーミーツ」がニッポン放送と組んだ演劇。本物の社屋を使い、ラジオ×演劇×配信の新しい形を提示。千葉雄大さんらが出演。Blu‐ray年内発売予定。

誰かとゆるくつながっていたい。日常の時間のシェアが当たり前に。


オンラインで浅く広くつながる。コロナ禍で漂った閉塞感。打開したのは存在感を得られる日常のシェア。「視聴してる自分と同じ感覚で見られる、ゆるいコンテンツの人気が高まりました」(中山さん)。また、「Z世代は友人の友人がインスタライブで集まったり、他人の勉強動画を見たり、常に人とゆるくつながっているのが当たり前」(長田さん)。

“一人暮らし大学生の日常”をテーマに発信しているYouTuber・pikeチャンネルさん。窓辺の机で、集中できるBGMを流しながら勉強。その日の天気や時間に合わせて動画を選べる。

なんでもシェアしてくれる距離の近さがニュースターの鍵に。


自分も仲間のような親近感に共感が集まる。恋バナからメイクやファッション、喧嘩でさえ共有される動画の世界。そこでのキーワードは“身近さ”だ。「テレビの有名人は遠いけど、YouTuberとは画面越しに“あなたと私”の1対1の感覚が味わえます。自分のクラスにいそうな人たちが有名になっていく過程も含めて、楽しまれていますね」(長田さん)

こま、ゆら、とうあの男女3人組YouTuber・ウチら3姉妹。恋バナが人気。大食い企画でも食べきらずゆる~くトーク。

元カップルYouTuber・夜のひと笑いは、関西ノリの面白さが魅力。“#キュンです”をバズらせた。別れの理由も赤裸々に公開し、今もありのままの関係性で配信。

去年は音声元年! ファジーなおしゃべりをシェアする音声メディアはもっと盛り上がる!


ダラダラ喋ってもOK! 女子会っぽくて楽しい。自分で発信できるアプリなど音声メディアが大盛況になる中で、オーディブルエンタメを受容する習慣もより一般的に。「アーカイブに残らないものもあるので構えず話せるところが、幅広い世代をキャッチ。音声メディアは、新しい交流の場として’21年以来、期待が高まり続けています」(中山さん)

語り合うまでがエンタメに。止まらない考察&感想シェアブーム!


イラストや考察トークで二次創作まで楽しむ!サスペンス系ドラマで火がついた、ドラマの展開を推理し合いSNS上で盛り上がる考察ブーム。「これまでアレコレ感想を言い合っていたのは、家族や友達止まり。その範囲がとてつもなく広がり、今は、見ながら、もしくは見た後に自分と人の考えを比較・共有して答え合わせするまでが、コンテンツです」(長田さん)

東大法学部卒の芸人・大島育宙さんのYouTubeチャンネルは、サスペンスドラマや映画の考察・感想を発信。一層魅力を深掘りしていると人気。【映画・ドラマ考察】の大島育宙「コンテンツ全部見東大生」

男子高校生同士の恋愛を描いた『美しい彼』など、イラストつきレビューで溢れる作品も。Twitter:@hassaku_yuri

中山淳雄さん エンタメ社会学者。エンタメ企業のコンサルティングを行うRe entertainment 代表。慶應義塾大学、早稲田大学、立命館大学で研究員も務める。著書に『オタク経済圏創世記』(日経BP)など。

長田麻衣さん Z世代をメインに、若者文化やライフスタイルを研究するSHIBUYA109 lab.所長。『ひるおび』(TBS系)にコメンテーターとして出演中。繊研新聞にて「#これ知ってないとやばみ」連載中。

※『anan』2022年9月21日号より。取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)

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