高橋優「手放しに今の世の中を素晴らしいと歌おうとは思わなかった」 8thアルバム発表

8枚目のアルバム『ReLOVE&RePEACE』はコロナ禍で生まれた楽曲を中心に構成され、タイトルにも表れている通り、“再会”が軸になっていると話す高橋優さん。

人が生きてることを美化する必要もないと思って「雪の筆跡」を書きました。


「再びフェスが開催されるとか、再びツアーができるとか、再び会えるといったことを意識して作った曲が多いなと思いますね」

ただ、何を書くべきかわからなくなった時期があったという。

「コロナ禍でみんなが何を信じていいのかが曖昧になった気がしました。誰かにとっての希望が誰かにとっては悪になったり、良かれと思って発した言葉が誤解を生んだり。音を奏でるべき方向性がわからなくなったんですが、そのまま『新しい希望が何かわからない』って歌うのがいいんじゃないかと思ったんです」

1曲目に収められた激しいギターのカッティングから始まる「あいのうた」では、コロナ禍で感じた矛盾や、困難な時代において鳴らす音楽の意義について歌っている。

「半ば突発的に部屋でギターを持って吐き出したような音源を元に作りました。『世界平和を祈って歌うような柄ではないので』という歌詞がまず出てきて。僕はまっすぐにラブ&ピースを歌える人を眩しいと感じるタイプ。戦争していない人類を知らないし、クラス内でいじめもありました。手放しに今の世の中を素晴らしいと歌おうとは思わなかった」

特にアルバムに入れたいと強くプッシュしたのが「雪の筆跡」。雄弁なアコギの旋律とともに、市井を生きる人々の生き様を歌った楽曲だ。

「レギュラーラジオ番組の中で、手書きの手紙を見る機会があったんです。僕は文字を消した跡が残ってるお手紙が好きなのですが、今は手書きが少なくなったこともあって、綺麗になったものをみんな見ているなあと。あと僕は秋田出身で、雪が降ると白銀世界といわれたりと美しい景色を浮かべることも多いと思うんですが、人間が生活している場所の雪は時間が経つとともに踏まれて汚くなっていく。人間が生きてる証しっていうのは、雪景色でいうと汚しにあるのかなって。人が生きてることを美化する必要もないかなと思って書きました」

生々しく社会の今を歌うシンガーソングライターとしての存在感を高める高橋さん。今作から楽曲の作り方に変化があったそう。

「これまでは作詞作曲をしてそれを録音するというアナログなデモ作りをしていたんですが、アレンジ部分もできるだけ自分でやろうと思って機材も増やしました。自分の人生が何歳まであるかわからないですが、できるだけ長く伸び伸びと音楽を楽しんでいたいと思っていて。いろんな人と一緒にやることも楽しいと思いますけど、高橋優としてやっていく以上はどこかで曲を聴いてくれる人以外に理解者がいないくらいの気持ちでやっていく方が、自分の足でしっかりと立てるんじゃないかと思ったんですよね」

8thアルバム『ReLOVE&RePEACE』。JICA海外協力隊CMソング「Piece」など複数のタイアップ曲含む全12曲収録。【初回限定盤A~C(CD+DVD)】¥4,950 【通常盤(CD)】¥3,300(Warner Music Japan)

たかはし・ゆう 1983年生まれ、秋田県出身。2010年、シングル『素晴らしき日常』でメジャーデビュー。’13年、日本武道館公演を開催。’22年、10周年記念の弾き語りライブを日本武道館で2日間にわたって開催。12月23日から全国ツアーを開始。

※『anan』2022年10月12日号より。写真・土佐麻理子 スタイリスト・上井大輔(demdem inc.) ヘア&メイク・中込奈々(Octbre.) 取材、文・小松香里

(by anan編集部)

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