『うる星やつら』主題歌を収めた記念作完成! MAISONdes管理人とasmiが登場

【音楽通信】第132回は、多彩なアーティストがコラボレーションして“六畳半ポップス”を発表し続けている音楽プロジェクト「MAISONdes(メゾン・デ)」。今回、MAISONdesの管理人さんと、「ヨワネハキ」や「PAKU」が大ヒットしてTikTokでバズを巻き起こしたasmi(アスミ)さんが登場!

“六畳半ポップス”を生み出す音楽プロジェクト


写真左から、asmi、管理人。

【音楽通信】vol.132

「架空の六畳半アパートの各部屋で生まれる、あなたの歌」をコンセプトにした、音楽プロジェクト『MAISONdes』。アパートの一室にアーティストが入居し(参加し)部屋番号を携えながら、毎回異なる歌い手と楽曲提供者がコラボレーションして、自由に楽曲を発表するという斬新なスタイルが話題を呼んでいます。

なかでも、シンガーソングライターのasmiさんが2021年5月にMAISONdesに入居して発表した「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」は、「TikTok流行語大賞2021 ミュージック部門賞」を受賞してTikTok再生回数30億回を超えるバズヒット曲として脚光を浴びました。

そんなMAISONdesが、2023年3月15日に、初めてのミニアルバム『ノイジールーム』をリリース。今回、各部屋の入居者となるアーティストを迎え入れる立場の管理人さんと、今作の収録曲にも参加しているasmiさんに、お話をうかがいました。

――架空の六畳半アパートを軸に、アパートの一室にアーティストが入居して楽曲を発表していくという「MAISONdes」のコンセプトは、いつ頃から考えていたのですか?

管理人 2020年頃からです。実際に2021年2月にMAISONdesが始動して、現在で約2年が経ちました。

――asmiさんは2019年から関西を拠点に音楽活動するなか、MAISONdesに入居されて発表された「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」が大ヒットされ、ご自身の歌が多くの聴き手に届いたという手応えはいかがですか?

asmi たくさんの方々に歌を聴いてもらえるようになっても、大ヒットするという経験が初めてだったので、最初はなかなか実感がわかなかったんです。でも、配信リリースして半年ぐらい経ってから、ある日コンビニに買い物に行ったとき「ヨワネハキ」が流れてきて。思いがけず自分の声を聴いて、そこでやっと「自分の歌がさまざまな場所でたくさんの方に聴かれているんだな」と実感しました。

あとは全然しゃべったことのない顔見知りぐらいの人や、地元の中学が同じだったけれどそんなに知らない人からもメッセージが来るようになって、私の同世代の人たちが歌を聴いてくれているんだなと、そういったことからも多くの人たちに歌が届いていることを感じましたね。

管理人 親戚も増えたんですよね?

asmi なんか全然知らん人やけど、父から「サインしてほしい」と言われたとかで、書いたりしたことがありました(笑)。

――asmiさんはMAISONdesとしても活動をすることで、ご自身の音楽活動にも刺激を与えることや変化があったのでしょうか。

asmi MAISONdesで「ヨワネハキ」を歌ったことが、私の音楽の歴史において、すごく大きな転機になりました。自分ひとりの活動では、曲作りも歌も全部自分でやっていますが、「楽しそうだな」と思って参加したMAISONdesでは他の方に楽曲提供いただいて歌うのも初めてでしたし、本当にたくさんの方に歌を聴いてもらえるようになったのも初めての経験だったのでいま思い返しても、さまざまな可能性が広がったと思います。

――MAISONdesの最初の配信リリースは、2021年2月の「Hello/Hello feat. yama, 泣き虫」でしたが、入居者の方は、どのように選んでいますか。

管理人 「このアーティストのこういう一面が見せられたら面白いだろうからちょっと一緒に制作してもらおうかな?」と考えて、こちらからお声をかけるケースもありますが、一方で、「MAISONdesに興味ある人はご連絡ください」というようにSNSで募集もしています。とはいえ、MAISONdesを始めた当初は興味を持ってくださる方がいませんでしたね。最近やっと「入居したいです」と連絡をくださる方が現れ始めました。その中には、正直なところ、どこのどなただか存じ上げていない方もいますが、「なんか面白いな」と感じてやり取りを重ね、入居していただいたケースもあります。

asmiさんの「ヨワネハキ」のときは、和ぬかさんに楽曲を提供してもらってasmiさんに歌ってもらうよう組み合わせていくと、なんか面白いことが起きるんじゃないかな? と思い、また、おふたりにとっても、普段活動されて見せている姿とは少し違う魅力がMAISONdesとして出せるんじゃないかなと考えて、お二方にオファーさせていただきました。

ミニアルバムは『うる星やつら』の記念作


アパートの各部屋に入居者を受け入れる「MAISONdes」の管理人。素顔は謎に包まれている。

――2023年3月15日にMAISONdes初のミニアルバム『ノイジールーム』をリリースされます。今回、ミニアルバムとして発表される理由はなんでしょうか。

管理人 約36年ぶりにテレビアニメ化された『うる星やつら』(フジテレビ系 毎週木曜24:55)のオープニング曲とエンディング曲を2クール連続でMAISONdesが担当させていただきまして、その記念としての作品になります。通常、アニメはワンクール3か月のところ、今回は2クールあり、さらにそのオープニングとエンディングのテーマを全部やらせていただくなんて、普通では考えられない大抜擢でして。しかも、MAISONdesという中身が何だかわからないものに対して(笑)。

国民的アニメとがっつりとコラボレーションさせていただけたので、その楽曲をまとめた今回の活動の記念品という気持ちと、MAISONdesはこれまで配信曲のリリースが多かったのですが、CDとして世の中に形にして出したいと思って作りました。

――asmiさんが歌う、現在『うる星やつら』のオープニング曲として放送されている「アイワナムチュー feat. asmi, すりぃ」も収録されています。ボカロPとしても活動されるすりぃさんが楽曲提供された今作を最初に聴いた印象や、歌ってみての感触はいかがですか。

asmi 最初に曲を聴いたときは、めっちゃ可愛いのにめっちゃカッコいい! と感じました。カッコいい部分はすりぃさんが独自に持たれている雰囲気でもあると思いますし、可愛さは『うる星やつら』の世界観からすりぃさんが引っ張ってこられたんかなと、めっちゃ素敵やん! と。私があまり歌ったことのない曲調というのもありますし、歌ってみると、楽しいんですよね。歌詞もめっちゃ好きで、ラムちゃんの恋心みたいなものをすりぃさんが書かれたのかなと思いました。

――実際にasmiさんの歌が、MAISONdesとして『うる星やつら』のオープニングテーマとしてテレビから聴こえてくるお気持ちはいかがですか。

asmi すごく感動しました。私が歌った曲に乗って『うる星やつら』のキャラクターが動いていて、特にオープニングムービーの最後あたりに、ラムちゃんの唇が歌詞に合わせて動くところも、シンプルに「すごーっ!」って(笑)。

――もともと『うる星やつら』自体はご存知でしたか?

asmi 知っていました。母がめっちゃ好きでアニメを観ていたということもありますし、昔の『うる星やつら』の「あんまりソワソワしないで〜」と歌う主題歌「ラムのラブソング」もめっちゃ聴いていました。

――「アイワナムチュー」はすりぃさんとコラボされましたが、普段MAISONdesの他の参加アーティストの方とは交流はあるのでしょうか。

asmi すりぃさんは一度お会いしたことはありますが、交流となると、2回以上会ったことがあるのはyamaさんかな。あとmeiyoさんも。2022年にリリースした私の曲「PAKU」を楽曲提供していただいたので、交流していますね。

大阪在住のシンガーソングライター、asmi。「十代白書2020」グランプリ獲得。「CDショップ大賞」2021年関西ブロック受賞。MAISONdesとしては2曲発表している。

――「PAKU」は「TikTok2022上半期トレンドチャレンジ部門賞」も受賞された可愛い曲ですよね。

asmi ありがとうございます。

管理人 そういえば、「ヨワネハキ」を作った和ぬかさんとは会ったことないですよね?

asmi はい、一度もお会いしたことがないですね。

管理人 本当は存在しないのかもしれないですよ(笑)?

asmi まさか〜(笑)! 今度会わせてください。

――管理人さんは、歌い手と作り手をつなげるけれども、それぞれはそんなに接点はないんですね?

管理人 そうですね。「絶対に会って一緒に制作したい」という人もいるのでそれぞれでもありますが、基本的にはあえて会わないでいただくことが多いです。

――あえて会わないという意図はなんでしょうか?

管理人 だいたい楽曲を作る人は、歌う人のことを想像しながら書く場合があると思いますが、作り手と歌い手の顔が見えたり、コミュニケーションを取ったりすると、ちょっとした遠慮が入るといいますか。本当に微々たるものかもしれませんが、「この人、これで嫌じゃないかな」と気を遣い合うと思うんですよね。歌う方も、「この歌い方、作った人的には大丈夫かな……」とか。それが良いように作用するときもありますが、せっかくMAISONdesという看板を背負ってやっていただくとなったら、極端に振り切ったことをやってほしいので、とくに希望がない場合は両者が会わないことが多いです。

――今作には『うる星やつら』のタイアップ曲以外に新曲「トラエノヒメ feat. むト, Sohbana」「もういいもん feat. 缶缶, ハイノミ」の2曲が収録されています。

管理人 むトさんもSohbanaさんもけっこうお若くて。自分でSNSなどを駆使して活躍されている方で、面白い活動を行っている方ですし、缶缶さんとハイノミさんもそうです。今回CDを出すにあたって、みんなが知っている4曲をまとめるだけでなく、これらの曲に合う新曲を入れたくて、『うる星やつら』の世界観から遠くない楽曲を作っていただきました。

――どんなふうに聴き手にMAISONdesの楽曲が届いてほしいですか?

asmi  MAISONdesは「六畳半アパートで生まれる、あなたの歌」というコンセプトがあるので、ひとりでイヤホンで聴いていただくことをイメージしています。ひとりで聴いたときに、みなさんが心の中で思っているのに言えない心の叫びを、私が歌で代弁できたらと思って歌っていますし、その気持ちが届くといいなと。

――asmiさんは今後もまたMAISONdesに参加されることも?

asmi お部屋の空きがあればぜひ(笑)。

管理人 参加いただけるのであればもちろん入居してください。お部屋の空きが多くて、家賃ばっかりかさんじゃって大変かもしれませんが(笑)。

――MAISONdesに入居しているアーティストは、顔出しされていない方もいらっしゃいますが、今後ライブのご予定はありますか。

管理人 ライブといえば、それぞれに活動されている方が多いので、ご自身のライブでMAISONdesの曲を歌ってくださる方もいてすごくうれしいですし、どんどんいろいろな場所で歌ってほしいですね。asmiさんもライブで「ヨワネハキ」を歌ってくれていますし。

asmi そうですね、歌わせていただいています。

管理人  将来的にはMAISONdesへ入居してくださった方が集まってのイベントのようなものができるといいなあとは思っていますね。

MAISONdesの歌は“誰かひとりのためのもの”


――お話は変わりますが、asmiさんはメイクやファッションでお好きなものはありますか。

asmi 私はピンク色が好きなんです。衣装を着せてもらうときも、必ずどこかにピンク色を取り入れてもらっていて。今日は私服ですが、ワンポイントで胸元にピンク色の文字が入っています。メイクをするときは、チークをめっちゃ濃い目に入れるのが好きですね。

――asmiさんは、以前ananwebのこの音楽取材にご登場いただいた新世代ラッパーのRin音さんと同じ事務所ですが、交流はありますか?

asmi Rin音くんは福岡在住で私は大阪在住なので、連絡を取ることはありますが、しょちゅう顔を合わせることはないですね。でも、お互いに東京に行く期間が同じときは「ごはん食べに行こうぜ!」とか言って(笑)、遊ぶことがあります。

――asmiさんは今後、個人的にやりたいこと、音楽活動でやりたいことを教えてください。

asmi 音楽活動は、いままで同世代の子たちを意識して曲を作っていたところがあったんですが、「ヨワネハキ」を機にお子さんにも歌を聴いてもらえるようになって。お母さん世代の方からも「asmiちゃんの曲を流したら子どもが泣きやみました」というメッセージをいただくこともあって、すごく嬉しかったんです。だから、私より上の年代の人にも可愛い曲やなと思って聴いてほしいですし、同世代の子たちには共感して聴いてほしいですし、下の年代の子たちも楽しんで聴いてくれたら嬉しいなと。多くの人に歌を聴いてもらって、いつか京セラドームでライブができるようになりたいですね。

個人的には、富士山に登りたいです。去年の元旦に東海道新幹線に乗っていて、きれいな富士山を見た瞬間、「登りたい」と。日本で一番高いところに行って、大きなパワーをもらってみたいと思いました。

――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、管理人さん、MAISONdesの今後の抱負をお聞かせください。

管理人  MAISONdesは、すごく抽象的なものではありますが、だからこそできることがいっぱいあると思っていて。「架空のアパートって何?」という、世間ではよくわからないもの、というところからスタートしているからこそ、柔軟にいろいろなことにトライしていきたいですね。これからも楽曲を作って歌ってくださるアーティストが入居してくださる形はずっと変わりません。

そもそもMAISONdesは「みんなの歌じゃなくていいから、誰かひとりのための歌であればいい」と思って始めました。漠然と多くの人に音楽を届けることもあるなかで、“誰のための歌なのか”を明確にして、音楽を作っていきたいという思いがあります。これからも、MAISONdesの歌が“誰かひとりのためのものである”ことだけは忘れないようにして、楽曲を届けていきたいですね。

取材後記


個人で活動するアーティストの方やSNSを中心に活動するネットクリエイターの方などがコラボして、色とりどりの歌を聴かせてくれる、架空のアパート「MAISONdes」。ananwebでは、管理人さんとasmiさんにお話をうかがいましたが、このプロジェクトから生み出される音楽の力を強く感じました。きっとあなたの心を満たしてくれる楽曲がこれからも届くはず。そんなMAISONdesのミニアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。

取材、文・かわむらあみり

MAISONdes PROFILEMAISONdes(メゾン・デ)は、「今最もSNSで使われる音楽」を生み出している架空のアパート。楽曲毎に部屋が割り振られ、部屋毎に歌い手と作り手を変えて、「六畳半ポップス」というポップミュージックを生み出している。地球かもしれないし、宇宙かもしれない。未来かもしれないし、過去かもしれない。決まっているのは、部屋のサイズが六畳半なことだけ。この場所、今の時代でしか生まれない歌い手と作り手のコラボレーションによって、それぞれの部屋の歌を発表している。それぞれの部屋に、それぞれの物語と歌があり、きっと、あなたが「自分の物語」だと感じる部屋が、ひとつはある。このアパートは、「あなたの歌」が見つかる場所。

Information


New Release『ノイジールーム』

(収録曲)01. アイワナムチュー feat. asmi, すりぃ02. トウキョウ・シャンディ・ランデヴ feat. 花譜, ツミキ03. トラエノヒメ feat. むト, Sohbana04. もういいもん feat. 缶缶, ハイノミ05. アイタリナイ feat. yama, ニト。06. アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti

2023年3月15日発売*収録曲は全形態共通。

(完全生産限定盤)SRCL-12440(CD+アクリルスタンド)¥7,700(税込)

(期間生産限定盤)SRCL-12442(CD+BD)¥3,350(税込)※BD(ノンクレジットOP/ED2クール分収録)

取材、文・かわむらあみり

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?