アメリカがついた衝撃の嘘…『スタンド・バイ・ミー』の名匠が暴く!

フェイクニュースが蔓延し、メディアに対する信頼度も揺らぎつつある現代。そんななか、アメリカ政府による “巨大な嘘” が引き起こした歴史的な事件の真相を描いた話題作がいよいよ公開となります。その作品とは……。

知られざる実話『記者たち〜衝撃と畏怖の真実〜』!


【映画、ときどき私】 vol. 221

2001年9月11日。アメリカで同時多発テロが発生し、ジョージ・W・ブッシュ大統領はテロとの戦いを宣言する。その後、アメリカは大量破壊兵器保持を理由にイラク侵攻へと突き進もうとしていた。

そんななか、新聞社ナイト・リッダーの記者たちはある驚きの事実を突き止める。それは、イラクが破壊兵器を保有している証拠はなく、アメリカ政府が情報をねつ造し、操作しているというものだった。真実を伝えるために、奮闘する4人の記者たち。ところが、傘下の新聞社に記事の掲載を拒否され、孤立してしまうことに……。

アメリカ人のみならず、世界中の人々にとっても忘れることのできない9.11アメリカ同時多発テロやイラク戦争。現実とは思えないような映像の数々と緊迫した情勢に固唾を飲んでニュースを見ていたという人も多いはず。

本作では、その裏に隠された驚きの事実が明らかになっていますが、このテーマへ長年情熱を注いできたこちらに方にお話を聞いてきました。それは……。

出演・監督・製作を務めたロブ・ライナー監督!


ライナー監督といえば、不朽の名作として愛され続けている『スタンド・バイ・ミー』で知られているアメリカの巨匠。今回は、ナイト・リッダーのワシントン支局長役として出演も果たしていますが、本作を手がけたきっかけや日本の観客へ伝えたい思いを語ってもらいました。

―念願の初来日となりましたが、これまで日本に対してはどのような印象をお持ちでしたか?

監督 日本は『スタンド・バイ・ミー』がアメリカに次ぐ大ヒットとなっていたから、僕も前から来たいとずっと思っていたんだけど、なかなかチャンスがなかったんだ。でも、観客のみなさんが作品のことを本当に大切に思ってくれているのは伝わっていたよ。

だから、日本にはほかの国よりも通じる部分があるだろうと興味を持っていたんだ。今回は取材の前から日本に滞在しているんだけど、おいしいものをたくさん食べたり、最高の時間を過ごしているよ!

『スタンド・バイ・ミー』は大人になるための通過儀礼


―いまお話にもあったように、『スタンド・バイ・ミー』は日本でも絶大な人気を誇っている1本。監督にとっても、ご自身に一番近い作品だそうですが、その理由をお聞かせください。

監督 僕の父カール・ライナーは、俳優としても監督としてもアメリカでは知られていることもあり、「有名人の息子」として父と比べられてしまうことが続いていたんだ。そんななか、自分のパーソナリティや感受性を純粋に表現し、初めて自分らしい作品を作ることができたのが『スタンド・バイ・ミー』。

しかも、それが周りから評価されたことによって、父とは別のひとりの人間として認められたというのもすごく大きかったかな。当時すでに30代だったけれど、登場人物の少年たちと同じように、僕にとっても“大人になるための通過儀礼”という意味があったと思うよ。

―その後、『恋人たちの予感』や『最高の人生の見つけ方』などのヒット作を数々生み出していますが、今回取り組んだのは社会派の作品。2003年から映画化を考えていたそうですが、原動力となっていたのはどのような思いですか?

監督 もともとアメリカがイラクに侵攻することになった過程にとても心が乱されていたんだ。ベトナム戦争に続いて、自分の生涯でまさか2度もアメリカが嘘の情報によって戦争をすることになるなんて思いもしていなかったからね。また同じことが起きていたからこそ、「これは映画にしなきゃいけない」という気持ちになったんだ。

いかに真実が届いていないかを感じた


―そのなかでも、今回登場する4人の記者にフォーカスしたのはなぜですか?

監督 どういう物語にするかというのがなかなか見えないまま数年が経過してしまったんだけれど、そんなときにホワイトハウス報道官だったビル・モイヤーズのドキュメンタリーを見て、ナイト・リッダーの記者たちの存在を初めて知ったんだ。そこで、いかに一般市民に真実が届いていないのか、そして政府が説明責任を問われることなくいかに自分たちの好きなようにしているのか、というのを強く感じたよ。

彼らは市民に真実を届けようとしたけれど、当時の政権のプロパガンダのなかでどうしても届けることができなかった。それを知ったときが、この作品の入り口が見えた瞬間となったと言えるんじゃないかな。だから、僕にとっては「自由で独立したメディアなくして民主主義は成立しない」というのがこの作品のテーマでもあるんだ。

―では、実際の出来事を映画化するときには、どんなことに気をつけていますか?

監督 歴史的な事件を取り上げるうえで重要なのは、なるべく正確に描くこと。最近は、本よりもテレビや映画から歴史を知る人も増えているからこそ、映画の作り手としては、そういう責任を感じているよ。

真のコラボレーションをすることができた


―今回はナイト・リッダーの記者の方々の協力なくしては描けない部分も多かったと思いますが、どのようなやりとりがありましたか?

監督 脚本を書いている段階から、彼らは本当に密に関わってくれたよ。それだけでなく、4人とも撮影現場に毎日来てくれて、「これは正確だ」とか「僕はこういうことはしないよ」といったアドバイスをその場でどんどんしてくれたんだ。

そういう意味でも、「今回は真のコラボレーションだった」と言えるんじゃないかな。もし、作品を見てすごくリアルだったと感じてもらえるのなら、それは彼らのおかげだよ。

いままさにインターネットの力を実感しているところ


―この作品には、「政府や権力の影響を受けない報道をどのように手に入れていくか」というメッセージを込めているそうですが、いまはインターネットの発達もあり、正しい情報を得るのが難しい時代でもあります。私たちはどういう意識を持つことが必要だとお考えですか?

監督 難しい質問だよね。というのも、「インターネットの持つ力は、我々の想像を遥かに超えている」というのをいままさに知りつつある段階だといえるから。

たとえば、マーク・ザッカーバーグが作ったFacebookは、人と人がもっとコミュニケーションを取りやすいようにと、「いいことに使って欲しい」という思いで作ったもの。にもかかわらず、それがいかに悪用できるかということは、みなさんも目の当たりにしているんじゃないかな?

―確かに、日本でもそういう部分を実感している人が多いと思います。

監督 あとは最近で言うと、トランプの大統領選やプーチン大統領の介入によるイギリスのEU離脱問題もいい例だと思うよ。つまり、誤った情報や嘘は簡単に広げられるということ。とはいえ、フェイクニュースか誠実なニュースかをどう見極められるのか、これは容易なことではないんだ。

いますぐに答えの出せない問題と直面している


―では、監督なりのアドバイスがあればお願いします。

監督 たとえば、オンラインであれば見出しを含め、テキストや画像をどう切り取るかでいくらでも印象操作ができるよね。だから、何らかの形で全員が知恵を合わせて、いい形でインターネットの力を使えるようにしないといけないと考えているよ。

たとえば、素晴らしいジャーナリストたちがインターネット上で新しいニュース機関のようなものを独立して作って、そこからニュースを発信していってもらえたらいいんじゃないかな。ただし、そこには収益性はないかもしれないけれど……。

なぜなら、インターネットの場合は、収益性を望んでしまうと、クリック数やいいねの数ですべてを計られてしまい、結果的に「収益を上げるためにこういうふうに見せよう」ということになり、誠実さから遠ざかってしまうからね。これはすぐに答えが出せないことだし、アドバイスをするのは難しい問題だと思っているよ。

他人事では済まされない現実と向き合う


私たちにはまだまだ見えていないことがいかに多いかを思い知らされる本作。ジャーナリズムの意義や真実を知ることの重要性、そして信念を貫くことの大切さをそれぞれが感じるはず。こんな時代だからこそ、過去の出来事から改めて考える必要がありそうです。

真に迫る予告編はこちら!


作品情報


『記者たち〜衝撃と畏怖の真実〜』3月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー配給:ツイン? 2017 SHOCK AND AWE PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.  .

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