工業高ならではの小ネタも必見! “合唱”題材の『はしっこアンサンブル』

小学生や中学生のときに、誰もが経験したであろう合唱。しかしながら思春期には特に気恥ずかしさも手伝って、その魅力がわからずじまいだった人も意外と多いのでは。漫画『はしっこアンサンブル』2について、作者の木尾士目さんにお話を聞きました。

工業高校×合唱、悩めるキミよ、歌でつながろう!


「実を言うと、私もやりたくないです(笑)。声を出すのも恥ずかしいし、下手くそなのを聞かれるのを想像するだけで恥ずかしい。でもそういうコンプレックスを仲間となら越えていけるという構図が、合唱はとても作りやすいんですよね」

主人公・藤吉晃は、作者の木尾さんと同様、低い声にコンプレックスを抱いている。工業高校に進学したのも、声を使わなくてもいい仕事に就けることを期待したから。声のせいで性格自体も引っ込み思案なのだが、その独特な声を熱烈に称賛したのが、合唱部を作ろうと意気込む同級生の木村仁だった。

「工業高校を舞台にしたのは、単純に男声合唱をやりたいので、男が多い舞台が必要だったのと、もうひとつは理系的なアプローチがしたかったから。声を出す、歌う、ハモるといった行為を理屈で説明できれば、私のようなひねくれた人間でも納得できるのではないかと考えました」

合唱が好きすぎて周囲から浮いている木村が、その理系的アプローチの役割を担っているのだが、合唱の魅力や声の出る仕組みを情熱的に説明する姿に、藤吉のみならず読み手も思わず引き込まれてしまう。またマイクを自作したり、ちぎれたコードをハンダづけしたりなど、工業高校ならではの小ネタも。2巻までは、部の前身となる同好会を作るため、メンバー集めに奔走する様子がメインに描かれるのだが、常にケンカ腰な金髪ヤンキーや、ピアノを挫折した不器用な女子など、前途多難な雰囲気たっぷりの個性的な面々。

「行き当たりばったりなところもあるのですが、こういうライブ感でキャラが入り乱れるのが、木尾士目の一番おいしいところなんですよ、たぶん(笑)。キャラが出そろって、ようやく面白くなってきてくれたかな、と正直ホッとしています」

名曲が数々登場し、歌声が聞こえてきそうな音楽シーンも見どころ。

「今後は部に昇格するための実績作りとして、コンクールや演奏会に参加するようになっていきます」

ついに本格的(?)に始動する同好会。その行く末を見届けよう。

『はしっこアンサンブル』2 リアルな工業高校の日常と、合唱に挑戦するはみだし者たち。不登校、虐待、親の過度な期待など、さまざまな問題を抱えた高校生が歌でつながる青春物語。講談社 648円

きお・しもく 1994年「点の領域」でアフタヌーン四季賞を受賞してデビュー。主な作品に『四年生』『五年生』『げんしけん』など。『はしっこアンサンブル』3巻は夏に発売予定。

※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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