絵画から豪華な舞台衣装まで “色彩の魔術師”ラウル・デュフィ展

「色彩の魔術師」と呼ばれたラウル・デュフィ。彼は20世紀のパリを代表するフランス近代絵画家のひとりで、アンリ・マティスやアンドレ・ドランなどと並び野獣派と呼ばれる画風を志向した人物。野獣派とは、原色を多用した、平面的で強烈な色彩と激しいタッチが特徴の絵画だ。『ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン』が開催中。

「まるで音楽が聞こえてくる」と称されたデュフィの鮮やかな世界。


1877年、ノルマンディの港町に生まれたデュフィ。音楽好きで教会の指揮者兼オルガン奏者だった父と、ヴァイオリン奏者の母の間に生まれたため、音楽と海はとても身近なモチーフで創作の原点となってゆく。18歳から美術を学び始めた彼に、転機が訪れたのは32歳の時。当時“豪華王”と呼ばれたファッション・デザイナーのポール・ポワレと知り合い、版画でテキスタイルデザインを創り始めると、その鮮やかな色彩と大胆なモチーフの布地は、上流階級の女性たちを魅了し大評判に。これを機にデュフィは本の挿絵や舞台美術、タペストリーや陶器の装飾、『VOGUE』の表紙を手掛けるなど時代の寵児へと駆け上がってゆく。

本展ではそんな彼の画業とテキスタイル、2つに注目。特にテキスタイルは草花や昆虫のモチーフ柄から、ダンスホールの風景やスポーツをする人々など、時代を映したモダンデザインまで充実の115点を展示する。また会場には、クリスチャン・ラクロワやオリヴィエ・ラピドスがデュフィデザインの布地を使用した艶やかなドレスや、豪華な舞台衣装も登場。当時の洗練されたモード界の息吹を感じられるはずだ。

《ニースの窓辺》1928年 油彩/キャンバス 島根県立美術館蔵

A.《花と蝶〔デザイン原画〕》1916‐28年頃 インク/紙 デュフィ・ビアンキーニ蔵 B.《夏〔デザイン原画〕》1925年 グワッシュ/紙 デュフィ・ビアンキーニ蔵 C.《ヴァイオリン》1989年(デザイン1914‐20年頃) 毛織物 デュフィ・ビアンキーニ蔵 D.《幾何学模様の構図〔デザイン原画〕》1919‐28年頃 グワッシュ/紙 デュフィ・ビアンキーニ蔵

A.花と蝶を図案化したテキスタイル。B.特にバラはデュフィが好んだモチーフで、様々なバリエーションが残っている。C.ヴァイオリンと楽譜は音楽好きのデュフィが一生のモチーフにしたもの。D.幾何学模様をテキスタイルにいち早く取り入れたのもデュフィだった。

『ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン』 パナソニック汐留美術館 東京都港区東新橋1−5−1 パナソニック東京汐留ビル4F 開催中〜12月15日(日)10時〜18時(11/1、12/6は〜20時、入館は閉館の30分前まで) 水曜休 一般1000円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2019年10月16日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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