「今のなでしこは、やっぱりどこか寂しい」エース・岩渕真奈が誓う、リオ五輪予選敗退の雪辱

6月13日(日)、サッカー日本女子代表の国際強化試合 『MS&ADカップ2021』が開催され、なでしこジャパンがメキシコ女子代表と対戦する。

東京オリンピックを直前に控え、代表活動の中で最後の選手選考の場となる今大会。本番に向けチームの成熟が求められる一方、18名の代表の椅子をめぐって選手たちのアピールが必須となる。

そんなチームのなかで、得点源として期待されているのがFWの岩渕真奈(28歳)だ。

6月13日(日)に放送される『TOKYO応援宣言』(テレビ朝日の情報番組『サンデーLIVE!!』内で放送中) では、メキシコ戦に臨む岩渕にテレビ朝日サッカー解説・松木安太郎がインタビュー。

本記事ではその一部を紹介する。

◆28歳で決断した海外再挑戦

キレのある変幻自在のドリブルを武器とし、10代の頃から“日本女子サッカー界の未来”と目されてきた岩渕。

早くから海外のチームで活躍し、2013年〜2014年をドイツのホッフェンハイム、2014年〜2017年を名門バイエルン・ミュンヘンでプレー。

ドイツでプレーした4年間はリーグ優勝を飾るなど輝かしい成績も残した一方、右膝の靭帯を3度負傷するなど、度重なる怪我もあり、2017年3月でバイエルンを退団して帰国。その後は国内のINAC神戸でプレーしたが、2021年から活躍の場をイングランドのアストンビラへ移し、先日にはイングランドの名門アーセナルへの移籍を発表した。

松木:「コロナ禍でかなり大変だったと思うんですけど、移籍を決断されたのはなにか理由はあるんでしょうか?」

岩渕:「元々2020年に東京オリンピックが予定通りやっていたら、そのあとに移籍したいなと思っていたんです。オリンピックが延期になって日本のリーグが9月にはじまることになって、自分の今の年齢を考えたときに今かなと思って決断しました」

松木:「なぜもう1回海外に行きたいと思ったんでしょう?」

岩渕:「ドイツ時代はよくケガで苦しんだと言われるんですけど、自分の中ではリーグ優勝もできたし、本当に充実した4年間でした。いろいろなサッカーを知れるし、人間としていろいろな感性を知れるので、それがすごく楽しくてもう1度行きたいなと思っていました」

松木:「(イングランドに渡ってから)違うチーム(アーセナル)に移籍したことを考えると、これまで成功した何か月間だったんじゃないでしょうか?」

岩渕:「こうやってアーセナルに移籍できることになって、やっと成功したと胸を張って言えるかなと思います。正直サッカー人生の中で本当に苦しんだ半年間だったので、移籍が決まったからこそ(イングランドに)行ってよかったなとあらためて思います」

松木:「どんなことが苦しかったですか?」

岩渕:「やっぱり言葉ですね。英語も勉強して行ったんですけど、自分の意見を100%伝えられたかと言われたらそうじゃない。やっぱりサッカーって11人でやるスポーツなので、その部分の物足りなさというか、息苦しさはすごくあって、サッカーの質も日本とはまったく別物なので、自分がどうやってそこで生きられるかすごく悩みました。はじめての経験で苦しかったですね」

松木:「具体的にどんなところが違いました?」

岩渕:「スピード感は全然違います。ゴールラインからゴールラインまでよーいどんで走っても、日本だったらそこそこ速い方に入るんですけど、ダントツでビリとかで。フィジカルの要素が違いすぎて、それをサッカーに活かしているのがイングランドのサッカーなんだなとすごく感じました

松木:「僕なんか個人的に、岩渕選手の細かいドリブルやテクニックはすごくチームにとってプラスの力になったんじゃないかなと思うんですけど、そこはいかがですか?」

岩渕:「自分なりにやったつもりなんですけど、チームとして結果が出ない時間が長かったので、『自分のよさはここだ』というのがわかった反面、『自分はここがほんとに足りないんだ』ということもわかりました。自分のよさを活かすのも殺すのもチーム次第というのがサッカーなので」

松木:「そんな中で成功を収めたのは、ご自身の自信にもつながりましたか?」

岩渕:「やっぱり残留を目標にして移籍したので、残留を決めることができてホッとした気持ちはすごくありましたね」

◆澤穂希から受け継いだ“なでしこのエース”

16歳でなでしこジャパンデビューし、2011年『FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会』の優勝メンバーとして国民栄誉賞を受賞した岩渕。

2015年に澤穂希が引退した後は、背番号10こそ背負わないものの“なでしこジャパンのエース”という称号を受け継ぎ、これまでチームをけん引してきた。

松木:「16歳でなでしこジャパン。どうですか? 今年で12年目ですけど」

岩渕:「成長したねっていう言葉をいろいろな人からいただくんですけど、自分なりにいろいろな経験をさせてきてもらったので、少しずつ還元できたらいいなという気持ちは年々増しています」

松木:「ご自身でどこが変わったと思いますか?」

岩渕:「昔は試合のスタートから出ることがあまりなかったので、試合の流れを変えたり、ドリブルを仕掛けることでチャンスを生むのが自分の仕事だと思っていました。でも今は立場も変わってスタートから出させてもらえますし、点を取ることにものすごくフォーカスしながらプレーできているかなと思います

写真提供:アフロ

松木:「海外でこれだけ素晴らしい経験をされて、高倉(麻子)監督いわくかなり得点力が上がったという評価ですけど、ご自身はいかがですか?」

岩渕:「自分自身はストライカーではないなと思っていて、それでもチャンスメイクをしながら最後仕留められているのは今までの積み上げというか、いろいろな経験をさせてもらって責任感やゴールへの意欲が増した結果だと思います。そこは自分の自信にしてこれからも継続していきたいなと思います」

松木:「昔は性格的に少しやったら『どうぞ先輩たち』っていう気持ちもあったんですか?」

岩渕:「いや、全然そんなのはなかったし、自分が自分がっていう気持ちをすごくもっていたんです。今は自分よりチームというか、なによりチームが勝てばいいなと思えている自分がいて、昔は自分が点とる、自分が試合に出る、自分が活躍したいっていう欲が本当に強すぎたので、それは選手として成長した部分かなと思います

◆「東京オリンピックでは金メダル」

そんな岩渕が、悔しい想いを抱いているのがオリンピックだ。

2012年のロンドンオリンピックでは、決勝のアメリカ戦で決定的な同点チャンスを外して号泣。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、まさかのアジア最終予選で敗退し、五輪本大会出場を逃した。

その結果、2011年の『FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会』の優勝でもたらされた“なでしこフィーバー”は去り、女子サッカーへの世間の関心も年々低くなっているのが現状だ。

松木:「今のなでしこの人気状態についてはどう思われますか?」

岩渕:「2011年を自分は経験させてもらって、リーグの観客数や代表へのサポートをすごく感じていたので、今のなでしこはやっぱりどこかさびしい部分はあります。いろいろな人が期待してくれるのに対して、結果であまり応えられていないのが現状だと思うので、勝つことで人に応援されるものなんだというのはすごく感じています。いい試合をしていい結果を残して、もっともっと応援してもらえるチームになれたらいいなとは思っています

松木:「なでしこにとってワールドカップは優勝経験もありますが、前回のオリンピックは予選敗退ということで、やっぱりオリンピックって大きいですか?」

岩渕:「オリンピックってやっぱりどのスポーツにとっても大きくて、ロンドンのとき銀メダルを獲ったんですけど、銀メダルだったからこそ金メダルを獲ることの重要さをすごく身に染みて感じました。他競技があって金メダルをバンバン獲っていく中で埋もれてしまうので、東京オリンピックでは金メダルを獲って、もっともっとなでしこを応援してもらえるようになったらいいなと思います」

松木:「澤さんが現役時代も同じことを言われていましたね。『ワールドカップで上位に行くことも大事だけど、やっぱり自分たちにとってオリンピックがすごく大事なんだ。オリンピックで自分たちが活躍しているところをみなさんにアピールしたい』という言葉があったんです。まさに真奈さんもそうですか?」

岩渕:「東京でやる、いろいろな人に応援してもらえる、恩を返せる大会だと思うので、今まで以上の気持ちで臨みたいと思います」

※番組情報:『女子サッカーMS&ADカップ2021 なでしこジャパン×メキシコ女子代表』
2021年6月13日(日)午後1:55〜、テレビ朝日系(一部地域を除く)

番組情報:『TOKYO応援宣言
2021年6月13日(日)午前5:50〜『サンデーLIVE!!』内で放送 ※一部地域は6時20分〜放送)

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