映画『町田くんの世界』、「高畑充希さんと前田敦子さんの演技が本当にすごい」

コンサート、映画、舞台など、あらゆるエンターテインメントをジャンル問わず紹介する番組『japanぐる〜ヴ』(BS朝日、毎週土曜深夜1時〜2時)。

6月1日の放送では、映画評論家の添野知生と松崎健夫による映画コーナーで『海獣の子供』と『町田くんの世界』という話題の映画が紹介された。

◆『海獣の子供』に太鼓判

©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

添野が「大問題作だ!」と興奮気味に語ったのは、6月7日から公開の『海獣の子供』。

同作は、五十嵐大介による人気漫画を原作にした長編アニメーション映画で、江ノ島の中学に通う女の子・安海琉花が主人公。夏休み、父親が務める江ノ島水族館で、海と空という謎の少年と出会うことで、物語が始まる。

制作をSTUDIO4℃が手がけた他、監督に渡辺歩、作画監督に小西賢一、音楽を久石譲というアニメ映画界におけるトップクリエーターが集結した作品で、主題歌の『海の幽霊』をトップアーティストの米津玄師が手がけていることでも話題だ。添野は、感動の物語を実現させたスタッフ陣の手腕に注目した。

「原作漫画は、細密な絵を独自のタッチで描いている。それも主にボールペンを使って。そうやって細かく描き込まれた絵だから意味があり、それをそのままアニメーションにして動かすのは、無理があると思われていた。しかし、その無理を成し遂げたのが、スタジオ4℃という制作会社。『アリーテ姫』、『アニマトリックス』、『マインドゲーム』、『鉄コン筋クリート』など数多くのヒット作を生み出してきた。そこに渡辺歩というスーパー監督、小西賢一というスーパーアニメーターといった、優秀な人材を集めたことで、本作の映像化を可能にした」

また、原作はコミックで全5巻あり、一部のエピソードを抜粋して映画化するのではなく、全体を一つの作品としてしっかり描いたことも特筆すべき点だと、添野は言う。

「どこも逃げずに脚色している。枝葉はいっぱい切っているけど、“よくやったな”と感心する」。緻密な描写、完成された脚色、そして音楽。ストーリーと共に、細部まで意識を広げて鑑賞したい作品だ。

◆ベテランの中に新人2人のキャスティングの妙

©安藤ゆき/集英社 ©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会

『町田くんの世界』(6月7日公開)は、「第20回手塚治虫文化賞新生賞」を受賞した、安藤ゆきの漫画が原作。松崎は、「年末にキネマ旬報などで年間ベストテン作品などの投票をする時に、おそらく一票入れるだろう素晴らしい作品」と同作を推した。

運動も勉強も出来ないけれど、すべての人を分け隔てなく愛することが出来るという、たったひとつの才能を持った町田くんが、人嫌いの猪原さんと出会ったことで、初めて“わからない感情”に向き合いながら物語が進んでいく。

出演陣は、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、松嶋菜々子など錚々たる役者。しかし、主人公の町田くん役の細田佳央太、猪原さん役の関水渚は、1000人からオーディションで選ばれた新人。松崎は、このキャスティングに注目した。

「高畑充希さんと前田敦子さんの演技が本当にすごい。バケモノみたいな演技をする。片方はバンカラで、もう片方は意地の悪い女の子の役。その2人の演技を見るだけでも価値がある。一方、主演の2人はオーディションで選ばれた新人で、周りを実力派で固めていることによって、ベテランという集団の中で、新人の2人だけが浮いて見えてくる。物語のなかでも2人は浮いた存在であるので、このキャスティングは実は狙いなんじゃないか。狙いだとすれば見事に当たっている」と、キャスティングを絶賛した。

また、今の時代だからこそ響く作品だとも言う。「純粋でいることは、こんなにも難しいんだと思わせる。逆に、社会にこんなにも悪意が溢れているんだと感じた。町田くんの姿を観ることで、今の社会のあるべきか姿を考えさせられる」と、単なる青春映画ではないことも付け加えた。

くしくも漫画原作という共通項のある映画を紹介した2人。『海獣の子供』は全5巻、『町田くんの世界』は全7巻で完結しているので、映画を観てからぜひともコミックも読んでみたいと思わせた。また、どちらもコミックを読破済みの人であっても、そうとう楽しめる映画になっているとのこと。雨の休日は、この映画と漫画で決まりだ。(文=榑林史章)

※番組情報:『japanぐる〜ヴ』
毎週土曜深夜1時〜2時、BS朝日

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