アキラ100%、ブレーク後に“白髪”が増えた理由

©テレビ朝日

2017年にピン芸人コンクール『R-1ぐらんぷり』で優勝したその日から仕事のオファーが殺到したというアキラ100%さん。10年以上続けてきたバイト、スポーツジムのインストラクターも辞めて売れっ子芸人として超多忙な日々を送ることに。

©テレビ朝日

◆“見えそうで見せない”裸芸は毎回ヒヤヒヤの連続

−お盆を手に1日に何回もやるわけですから神経も使うでしょうね−

「そうですね。確かに。やっぱりミスできないというプレッシャーだと思うんですけど、優勝してからすごい白髪が増えちゃって(笑)。緊張する回数も増えましたし、ストレスでしょうね。

R-1も生放送で緊張したんですけれど、優勝したらすぐにもう翌朝の情報番組にも出させてもらうことになって、それも緊張しました。ずっとそういうことが続いている感じで、毎回ヒヤヒヤしながらやっています(笑)」

−お母さまは裸芸については何かおっしゃっています?−

「おふくろは笑うというよりも心配だって言っていましたね。『見えちゃうんじゃないか、失敗するんじゃないかって心配で、面白いかどうかよくわからない』って(笑)。

優勝してすぐ親戚のおばさんからもメールがきたんですけど、面白いとかっていうことよりも、『上手に隠せていましたね』って書いてありましたから、身内はみんなそうかもしれませんね(笑)」

ブレークしてテレビ番組の企画にも多く出演するようになったアキラ100%さん。昨年は『芸能人が本気で考えた!ドッキリさせちゃうぞGP』(フジテレビ系)で、お母さんが昔から大ファンだった中尾彬さんとお母さんを対面させるという企画も。

−アキラさんの本名はお母さまが中尾彬さんから付けられたそうですね−

「おふくろが昔から中尾彬さんの大ファンだったので、『彬』って付けたかったみたいなんですけど、僕が生まれた当時はあの字が人名として使えなかったらしいんですよ。それで“さんづくり”だけ残して『彰』にしたんだと思います」

−お母様が大好きな中尾さんと会うことができたのもブレークされた結果ですね−

「そうですね。おふくろがすごい喜んでいたのでうれしかったです」

−とても親孝行な企画でしたね−

「はい。僕が『はい』って言うのもおかしいですけど(笑)。本当におふくろはうれしかったんだろうなぁって思います。あんなにテンションが上がっているおふくろを見るのは、それまでに1回か2回あったかどうかっていうぐらいで、ずっと中尾さんのネジネジを持って話していましたからね(笑)。ドッキリだとわかっても、もうどうでも良いという感じでハグまでしちゃって…(笑)。青春時代の気持ちがちょっとよみがえったかもしれないですね」

(C)2018「こはく」製作委員会

◆売れなかった時代を投影して心に深い傷を負った難役に挑戦

もともと俳優志望だったというアキラ100%さん。ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-SEASON II』(TBS系)、『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)、映画『ゆらり』(2017年)に俳優として出演。

7月6日(土)から公開される映画『こはく』では初の大役に挑戦。本名の大橋彰名義で、幼い頃の両親の離婚により心に深い傷を負った兄・章一を演じている。

※映画『こはく』
幼い頃に別れた父(鶴見辰吾)が借金とともに残していったガラス細工会社を受け継ぎ、経営を立て直しつつある亮太(井浦新)。父のことはほとんど覚えていないが、兄の章一(大橋彰)が街で父を見かけたと言い出したことから行方を探すことに。

アキラ100%さんが横尾初喜監督の作品に出演するのは、『ゆらり』に続いて2度目。『こはく』は、監督自身の幼少時代の実体験を基にした半自伝的なストーリー。

−前作の『ゆらり』では東北弁、今回は舞台が長崎ということでセリフが大変だったと思いますが−

「実際には佐世保弁と言うのですかね。長崎と佐世保でもちょっと違うらしいですし、年代でもちょっとしゃべり方が違ってくるみたいで、撮影する前に監督が『こういう感じです』っていうのを聞いて、セリフをしゃべるというのが多かったです。

あとは監督のお友達も来ていたので、そういう方にも聞いてイントネーションをやり直してみたいな感じでしたね。

監督は『自然にやってもらって大丈夫。違うようにしゃべりたかったら、それでもいいですよ』っておっしゃってくれたんですけれども、標準語しか出てこないんですよね。だから台本に沿ってそこで完結するようにっていうことをイメージしてやっていました」

−イメージが全く違っていて、すぐにはアキラさんだとわからないですね−

「ほんとですか(笑)。確かに僕もネタをやるときには髪の毛をあげて蝶ネクタイをしてやっているんですけども、髪の毛をあげるとネタっぽくなっちゃうので、髪をおろしているのが良かったのかもしれないですね」

−屈折した感じがとてもよく出ていました−

「それはもう本当に売れなかった20代30代を思い出しながらやっていました(笑)。お風呂のシーンだったと思うんですけど、そこはやっぱり普段の自分の鬱屈(うっくつ)している部分というか、何事もうまくいかないというか、そういうイメージの顔でお願いしますと言われたのはよく覚えていますね」

−弟役の井浦さんを相手に思いをぶつけるシーンはリアルで迫力がありました−

「ありがとうございます。あれはほんとに井浦さんとか監督といろいろお話をさせてもらって、監督のイメージする章一像に近づけていったという感じですね。だから本当に皆さんに助けていただきながら演じていました」

−幼い頃に別れた父親と対面するクライマックスのシーンもすごかったですね−

「そうですね。あそこはもうほんとに何日も前から、『やっぱりここのシーンは最後の部分なので、オヤジと会うシーンを大事にしたい』という監督の思いをずっと聞いていたので、自分でも大事なんだなっていうふうにも思いました。

ただ、それをほんとにやりきれるのかどうか、自分のスキル的な問題で不安な日々は送っていましたね。『大丈夫かなぁ、できるかなぁ』っていう不安はずっとありました」

−監督は撮影のときに号泣されていたそうですね−

「そうですね。撮影はほとんど順撮りだったので、順番にクライマックスのシーンに向かっていく段階で、僕も集中したかったですし、井浦さんも監督も、それに向けてどんどんどんどん集中力を高めていくような感じだったんですけど、僕もなかなかうまくできなかったので、1人にしてくれる時間を作ってくれたり、すごく配慮をしていただきました。

撮影は2週間だったんですけど、その間はお笑いの仕事で東京に戻ってきたのは1日だけで、あとはずっと映画に集中してできたので、それは本当に良かったなあって思います」

−出来上がった作品をご覧になってご自身ではいかがでしたか−

「最初は自分が本当に映画になじんでいるのかどうかとか、変な演技をしていないかとか、そういうことばかり気になっちゃって、ストーリーが全然入ってこなかったんですよ(笑)。自分のことばかり見ちゃって。3、4回ぐらい見てやっと全体として見られたという感じがしました。

本当に物語としてはすごく派手な出来事が起きるわけでもないですし、兄弟がお母さんも含めて少しずつ前に進んでいくという話ですけど、監督が思っている日常の大切さだったり、希望に向かっていく作品にしたいという優しい気持ちが伝わると思いました」

©テレビ朝日

◆父親の死に目には会えなかったが…

アキラ100%さんのお父様は芸人になることにずっと反対だったそうだが、お盆を使った裸芸を見てからは応援してくれるようになったという。

「オヤジはR-1優勝の1年前に亡くなったので、優勝した姿を見せることはできませんでしたけど、テレビに出ているところは見てもらえたので、それは本当に良かったと思います」

−家族がテーマの映画に出演されてご家族に対する思いは変わりました?−

「やっぱり親のことを考えたりとか、オヤジは亡くなってるんですけど、おふくろも実家に兄貴といたりするので、ちょっとこの映画の話と似ている部分があるんですよね。

自分は次男なんですけど、やっぱり家族のことをこれだけ考える時間というのはあまりなかったですし、それこそ兄弟のこととか考えることはそんなになかったので、改めて家族と言うベースの部分を考えました。

妻がいて、妻のご両親も健在で、自分でも家族が増えたりするという経験を考えたりすると、家族のことをより深く考えた時間だったなぁと思います」

−奥様とは長いお付き合いで、ずっと支えてくださったと聞いていますが、奥様は自分がアキラさんに助けられたとおっしゃっているそうでステキなご夫婦ですね−

「そうですね。そう言ってもらえるとうれしいです。彼女は『いつまでお笑いをやるの?』とか『結婚のこと考えているの?』というようなことは、1回も言ったことがなかったんですよね。

そういう意味ではR-1に優勝して、こうして映画に出させてもらったりとか、いろいろお仕事をいただけるようになって本当に良かったと思っています。彼女は仕事の都合でまだこの映画見てないんですけれども今度見に行くと言っていたのでその感想を聞くのも楽しみではあります」

−今こうして本業でブレークされていることを奥様も喜んでらっしゃるでしょうね−

「そうですね、確かに。それはR-1のときなんかも、もし結婚してなかったら自分だけのことを考えて『絶対に優勝したろ』みたいなのがありましたけど、オヤジも死んで、結婚もしてというのがあると、自分のためというよりも応援してくれる人がいっぱいいるから頑張ろうみたいな気持ちにはすごくなりましたね」

人柄の良さがにじみ出るステキな人。ハードなスケジュールのなか、時間を作っては事務所の会議室でお盆ネタの練習をしているというアキラ100%さん。ブレークしても努力を怠らない真摯(しんし)な姿勢が愛される秘訣。(津島令子)

(C)2018「こはく」製作委員会

※映画『こはく』
長崎先行公開中
7月6日(土)よりユーロスペース、シネマート新宿ほか全国順次公開
配給:SDP
原案・監督:横尾初喜
出演:井浦新 大橋彰(アキラ100%) 遠藤久美子 嶋田久作 塩田みう 寿大聡 鶴田真由 石倉三郎 鶴見辰吾 木内みどり

関連記事(外部サイト)