元サッカー日本代表・中澤佑二、女子ラクロス部のコーチとして奮闘!「引退後、毎日球拾いをしていた」

元サッカー日本代表の中澤佑二氏、ラクロスのコーチとして活動 大学選手権の解説も

記事まとめ

  • 「第11回ラクロス全日本大学選手権大会」が東京・駒沢オリンピック公園で開催される
  • 元サッカー日本代表の中澤佑二氏が女子決勝戦の解説を担当する
  • 中澤氏は女子ラクロス部のコーチとして活動、コーチになるまでの経緯を明かした

元サッカー日本代表・中澤佑二、女子ラクロス部のコーチとして奮闘!「引退後、毎日球拾いをしていた」

日本で普及し始めてから30年、注目度は年々高まり、2028年のロサンゼルス五輪では正式種目有力候補となっているラクロス。

12月1日(日)に、ラクロスの大学日本一を決定する「第11回ラクロス全日本大学選手権大会」が東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で開催される。

大学日本一の称号を懸けて、女子は立教大学と同志社大学、男子は早稲田大学と東北大学が激突するこの決勝戦の模様をCSテレ朝チャンネル1で生中継することが決定。さらに中継では、現在、女子ラクロス部のコーチとして活動している元サッカー日本代表の中澤佑二氏が、女子決勝戦の解説を担当する

そこで、中澤佑二氏にインタビューを実施。ラクロスの魅力や、コーチになった経緯、試合の見どころについて語ってくれた。

©テレ朝POST

−−改めて、サッカーを引退されてからラクロスのコーチになるまでの経緯を教えてください。

実は、サッカーを引退する前から興味があって、よく練習や試合などを見に行っていました。子どもがラクロスをしていたこともあって、オフなどの休みの期間中はタイミングがあったときに球拾いをする感じで練習に参加していました。

引退後、毎日通って球拾いをしていたので、学校側も「本気なんだね」「毎日来てるし仕方ないな…」って思ってくれたみたいでボランティアですが一応コーチの肩書きを頂きました。

−−中澤さんは、コーチとしてどういったことを学生に指導していますか?

最初はラクロス以外の部分を教えるところからスタートしました。プロスポーツ選手として経験してきたことを学生たちが理解しやすい言葉で伝えたり、体の使い方やフィジカルトレーニングの重要性を教えたりしています。

今は現場にいる時間も以前より長くなって、ラクロスの戦術的な部分も少しではありますが教えられるようになりました。

−−ラクロスのコーチになると決まったとき、周囲の反応はいかがでしたか?

みんな「えっ!? 何してるの、サッカーじゃないの?」とか、「せっかく20年もサッカーやってきたのに、その経験をなぜラクロスに注ぎ込むの?」って驚いていました。

今の日本サッカー界には優秀な指導者や色々な経験をしているコーチがたくさんいるので、僕がそこに入る必要性はないのかなと思って、ラクロスの道に進むことを選びました。

ちなみになんですけど、Jリーグで今年の8月からルール改正があったのを知っていますか?僕はそれをつい最近まで知らなかったんですよ(笑)。

それまでは、ゴールキックのときはペナルティーエリアからキーパー以外の人は出なきゃいけなかったんですけど、新ルールでは出なくてもOKになったみたいで。

ルール改正後に、あるフレンドリーマッチに呼んでもらったんですが、その変更点を知らなかったのでゴールキックのときにペナルティーエリアから出ようとしたら「出なくていいんだよ!」「ルールが変わったの知らないの?」って周りのプレーヤーたちにツッコまれました(笑)。サッカーに関しては引退した時点で、時間が止まっちゃっていますね(笑)。

−−今、サッカーのことをお話ししてくださいましたが、ご自身が感じたサッカーとラクロスの似ている点や、大きな違いを教えてください。

女子ラクロスでは接触プレーが基本禁止されているんですが、そこがサッカーと大きく違いますね。

ただ、体の向きや視野の確保の仕方、体の反転の仕方など、サッカーで培ったテクニックはラクロスでも応用できるので、そういったことを学生たちに教えています。

−−なるほど。では中澤さんがコーチをして感じた、ラクロスの魅力を教えてください。

男子ラクロスは“地上最速の格闘技”って呼ばれているので、その呼び名どおり迫力があります。女子ラクロスは、さっき説明させてもらったように、接触プレーが禁止されているので、クロスを使った技術がより重要になります。いろいろなテクニックが飛び出すので、見ていて面白いです。

あと、サッカーと違ってゴールの後ろのスペースが使えるのがラクロスの醍醐味というか、魅力のひとつだと感じます。ゴール後方からの攻撃や、点を取る形のバリエーション、360度のゴールの攻防戦ってあまり経験したことがなかったので、そこも面白く感じる点ではありますね。

また、女子は守備・攻撃などポジションの役割分担が流動的なので、ボールを奪ってから攻撃に転じるときのスピード感は女子ラクロスならではだと思います。自陣のゴール付近からだと、相手ゴールまで100mぐらいの距離を全速力で駆け抜けるので。一気にシュートまで持ち込むスピード感満載のファーストブレイク(速攻)は見ていて爽快です。

©テレ朝POST

−−ご自身が考える、他のラクロスコーチにはない“強み”を教えてください。

他のコーチの方と比べると、ラクロスの経験では何十年分も差がある。その点において自分は勝てないと自覚しているつもりです。ただ、プロスポーツ選手として実践してきた、練習の仕方やコンディションの作り方、食事法、それから体のケアの仕方など、そういった知識や経験を活かせればなと考えています。

また、ラクロスの外の世界から来た人間として、違った視点でラクロスを見ることができるという点もあるのかなと思います。サッカーをしていた人間の視点からラクロスを観察してみると、まだ実現されていない戦術や練習法、アイデアなどもあるなと感じていて。

先輩コーチの後追いをするだけでは絶対に追いつけない。だから、自分なりの方法を見つけて、ラクロスの発展に貢献できたらなと思っています。

−−中澤さんは現役時代、コンディション管理のため「揚げ物は一切取らない」「お酒を飲まない」などストイックな生活を送っていたことで有名でした。プロのアスリートではない学生たちに、自身がこなしてきた厳しい体調管理法などを指導するとき、何か苦労された点はありましたか?

学生たちはプロではないので、もちろんその点は理解したうえで接しています。「今日ご飯何食べた?」って聞くと「ラーメンと唐揚げ!」って、プロのアスリートでは考えられない答えが返ってくるときもありますからね(笑)。だから「いいよ〜!いっぱい食べて。その代りいっぱい練習しようね!」って言っていますね。

一方で、体型を気にする年頃なのでダイエットのため「食事を軽くしています」って学生がいるんですが、それはヤメてくれってお願いしています。

まずは「ご飯をいっぱい食べる」っていうことを徹底しています。食事を抜くと怪我のリスクも高まるし、スポーツをするうえでいいことはないんです。

−−そうした考えをどのような言い方で学生たちに理解させていますか?

体型を気にする学生たちには「いっぱい食べても、いっぱい走るから大丈夫」って教えています。練習で体を動かせば自然と痩せるので。とにかく「食事は抜かないで」とお願いしています。

若いので体が動くぶん無理が効くのですが、いつかガタが来ますからね。食事を抜くと、ぼーっとしちゃうし、集中力も下がるので、いいことはひとつもない。

−−その他に、コンディション管理に関して学生たちに注意していることはありますか?

バランスの良い食事をとることを心がけるように伝えています。あと、朝・昼・晩は違うものを食べることを意識してもらっています。

でも、あまり細かく干渉し過ぎると学生たちのストレスになってしまうので、ファストフード店やファミリーレストランに行ったとしても「いいよ!」と言っています。その代わり、野菜ジュースでも何でもいいから必ず野菜をとるように話をしています。

−−中澤さんの教えを学生たちは実践できていますか?

実践している学生もいますし、普通に菓子パンとかで食事を済ませちゃう子もいますね(笑)。

−−プロではないですし、特に年頃の学生だとそうなりますよね…(笑)。

でも、それはそれでいいよって。その代わり、その後しっかりとバランスを考えた食事をとって栄養を補ってねと言っています。

すべて、ダメとはいいません。それはそれとして受け止めて、そこからプラスアルファでどうすると良くなるかっていうのを教えています。

−−理想だけを追求するのではなく、相手のペースや気持ちも考えながら指導されているんですね。

そこも勉強しながらですね。最初はいろいろな食事を禁止にしたかったんですけど、彼女たちはプロではない普通の学生ですから、そんなに意識の高い人もめったにいないので。

まずは、学生たちの“事情”を考慮して、自分の意識の目線を彼女たちに合わせるところからスタートしました。

−−元々プロとして高い目標を定めて日々トレーニングされてきた中澤さんですが、学生を教えるにあたってその目線を合わせる際、苦労や葛藤はありましたか?

例えば、筋トレした後の晩ごはんがお菓子だけだと、僕からすると「もったいないな〜」って正直思っちゃいますよね。せっかく苦労して積み上げたトレーニングが、全く活かせないよなって。

でも、そう言ったところでなかなか理解してもらえないですね。トレーニングをして「何ヶ月後にこうなる」っていうのを考えないと。

だから、今のトレーニングを3ヶ月続けるとこうなるよって、先の成果を説明して、理解してもらったうえでトレーニングを進めるようにしています。

個人間で温度差はありますが、トレーニングに積極的に取り組んでくれている学生のなかには、「校内のマラソン大会の順位が上がった」って成果がでて喜んでいる子もいます。小さなことですが、そういう成功体験があると「今の走りのトレーニングは効果があるんだな」って自信にもつながるし、積極的にトレーニングに参加してくれるきっかけになるので。

©テレ朝POST

−−なるほど。では、中澤さんのラクロスコーチとしての目標を教えてください。

微力ですが、ラクロスがオリンピックの正式種目になるお手伝いができればと思っています。

それ以外では、ラクロス部のある学校(中学、高校)を増やしていきたいと考えています。また企業の運営するラクロス部を増やし、そこからリーグ戦ができるぐらいに拡大していくのも理想です。ゆくゆくは、その社会人のリーグが盛り上がってプロ化の流れになればなという夢を思い描いています。

そして、オリンピックの正式種目に採用される前後ぐらいに、ラクロスを取り巻くしっかりとした環境の土台が出来上がっていると最高ですね。

この目標を達成するには、多くの人達の協力が必要だと思います。そして僕自信もラクロスの勉強をもっとする必要があります。ラクロスを頑張りたいと思える子たちを育て、ラクロスが発展するための基礎の部分から支えていきたいですね。

−−いまお話ししていただいた目標を達成するために、ご自身が一番貢献できると思う点は何だと思いますか?

今はメディアで「ラクロス」っていうワードを発信して、たくさんの人にラクロスを認知してもらうことですね。でも、メディアで発信するだけでは説得力がないので、現場にしっかり顔を出すことも大切だと考えています。

今、中学・高校・大学や社会人でラクロスをされている方の現状を聞く限りでは、少し厳しい状況かなと感じています。

ラクロスの代表戦では、プロリーグのあるアメリカやオーストラリアのナショナルチームと対戦したときに、大きな差を見せつけられてしまうのが現状です。

その差を埋めるためにも、ラクロスに集中できる環境づくりが重要になってくると考えています。国内のグランドも、サッカーや野球はOKでもラクロスはダメっていう場所が多いんです。ラクロスに対する行政の理解も今はまだない状況なので、まずはラクロスという競技を知ってもらい理解してもらうことが大切だと考えています。

写真協力:日本ラクロス協会

−−では最後に、ご自身も解説として参加される12月1日(日)にCSテレ朝チャンネル1で放送される「第11回ラクロス全日本大学選手権大会決勝戦」の見どころを教えてください。

技術、フィジカルなど学生でトップのチーム同士の試合なので、他の学生たちが「こういう舞台に立ちたいな」と思える素晴らしいゲームになるように期待しています。

男子は、東北大学と早稲田大学。女子は、同志社大学と立教大学の東西対決です。お互いに特色を持ったチームの対決なので、ものすごい試合になるんじゃないかと思います。今からワクワクドキドキしています。

※番組情報:『リポビタンD presents 第11回ラクロス全日本大学選手権大会』
女子決勝:2019年12月1日(日)午前11:20〜午後1:20、CSテレ朝チャンネル1
男子決勝:2019年12月1日(日)午後1:50〜3:50、CSテレ朝チャンネル1

※放送日時は編成の都合により、予告なく変更になる場合があります。

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