北原里英、コロナ禍で感じた“あること”「以前よりも、この仕事に…」

2018年4月30日(月)にAKB48グループを卒業後、女優として目覚ましい活躍を続けている北原里英さん。

2018年7月には、若手女優の登竜門と言われるつかこうへいさんの名作舞台「『新・幕末純情伝』FAKE NEWS」に主演。殺陣(たて)やエロチックなシーンにも果敢に挑み、高く評価された。

2019年には、自身初のホラー映画『映画 としまえん』に主演し、舞台『HERO〜2019 夏〜』でヒロインをつとめるなど、ドラマ、映画、舞台に多数出演。

現在は舞台版に続きヒロインを演じた映画『HERO〜2020〜』が公開中。6月24日(水)に29歳の誕生日を迎えたばかりの北原さん。20代最後の年、女優として幅広い活動を続けている。

◆舞台の楽しさを骨の髄まで感じて

沖田総司は女だったという大胆な設定で、繰り返し上演されてきたつかこうへいさんの不朽の名作『幕末純情伝』。広末涼子さん、石原さとみさん、鈴木杏さん、桐谷美玲さんらが出演し、若手女優の登竜門と言われているこの作品で、北原さんは10代目の沖田総司役で主演をつとめた。

「もともと舞台をみるのは好きだったんですけど、AKB48を卒業する前までは、自分が舞台に立つということがあまりピンときてなかったんです。

でも、卒業してはじめての舞台が、つかさんの舞台だったんですけど、そのときに本当に舞台の楽しさを骨の髄までドーンと味わって…。

1か月間、クーラーや空調もきかない暑いなか、汗だくになって稽古をしていたんですけど、稽古のときにみんなで作っていくという楽しさや、稽古が終わった後、みんなで飲みに行ったりという楽しさも感じることができて、舞台がすごく好きになりました」

−殺陣(たて)もキレがあってカッコよかったですね−

「本当ですか?うれしいです。でも、あの舞台に関しては、『もうちょっと殺陣ができたな』って、反省している点はあります」

−何ごとにも真剣で真面目ですね−

「いやぁ、毎度反省してます。でも、それを生かして成長するのが一番大事なんですけど」

−反省を引きずって暗くならないところがいいですね−

「暗くはならないです。ポジティブに反省しています(笑)。だからこそ、私はもう一回殺陣をやりたいんです、どうしても。「『新・幕末純情伝』FAKE NEWS」は、本当に一から基礎を学びながらの舞台だったので。

そのときにしか出せない、いい意味での初々しさみたいなものはあったと思うんですけど、今だったら、あのときより舞台の流れ、やり方もわかってきたので、もう一回、剣を使う作品をやりたいと思っています。あらためて殺陣をちゃんと習って臨みたいな…と」

−AKB48時代に踊りもやってらしたので、カンはよいのでは?−

「殺陣の手を覚えるのははやいと言われました。舞台のときに出会った殺陣師の方もすごくいい方だったので、また習いに行けたらいいなと思います」

◆遊園地は、居るだけでテンションが上がる

今年の8月末日をもって閉園する東京の老舗遊園地「としまえん」を舞台に、高校時代に仲のよかった女性たちが、その場所にまつわる都市伝説「としまえんの呪い」を軽い気持ちで試したことで、恐ろしい怪現象に襲われていく様を描く『映画 としまえん』。北原さんは主人公の女子大生・早希を演じた。

−ホラー映画は好きですか?−

「『ジャパニーズ・ホラー』作品が好きで、そのなかでも『着信アリ』が一番好きです。『映画 としまえん』はNetflixで配信が開始されたので、あらためていろんな方に見ていただけてうれしいです」

−ほぼ全編「としまえん」での撮影でしたね−

「はい。人のいない夜の遊園地で、普段は入れないようなところにも入ることができている特別感がすごくありました。

もともと遊園地は好きなので、『としまえん』にはAKB48のメンバーと遊びに行ったこともあるんです。ああいう地域に根ざした遊園地が大好きなんです。

撮影でもアトラクションに乗りましたし、撮影期間中に閉園まちの日が何日間かあったので、閉園直前のすいてきたタイミングでジェットコースターに乗せてもらったりもしました」

−お化け屋敷のシーンも怖かったです−

「そうですよね。撮影のために行っていたわけですし、何かが追いかけてくるというシチュエーションもわかっていたんですけど、それでもビックリしてしまいました(笑)。

としまえんは8月で閉園してしまうので、その前に絶対にまた行きたいと思っています」

(C)「HERO」〜2020〜製作委員会

◆付き合って2年目の日、別れなければいけない恋

2019年にヒロイン役で出演した舞台『HERO〜2019夏〜』が映画化。舞台版に続き、映画『HERO 〜2020〜』でも北原さんはヒロイン役を演じている。

※映画『HERO 〜2020〜』(監督・脚本:西条みつとし)
2年前、浅美(北原里英)に好きだと打ち明けられた広樹(廣瀬智紀)は、2年間だけという約束で付き合うことに。そして2年後、運命の日、浅美は広樹の別れの決意が変わらないことを知って落ち込む。だが、2人をめぐり、広樹の妹、入院患者、“死神”まで巻き込んでとんでもない騒動になっていく。そして広樹が抱える秘密が明らかに…。

−舞台公演のときには、映画化されることは知らされていたのですか?−

「舞台の本番初日のカーテンコールでサプライズ発表されたので、みに来てくださったお客様と同時に喜べたのはすごくうれしかったです。

それまでまったく知らされてなかったんです。何か謎の仕事が9月にあるなとは思っていたんですけど(笑)」

−舞台は一期一会ですが、その舞台が映画化され映像として残ることに関しては、いかがですか?−

「舞台の映画化というのは、私ははじめての経験だったので、『どうなるんだろう?』ってワクワクしました。

あと、映画が好きなので、映画に出られるということが素直にうれしかったです」

−去年、舞台をやられたときはどうだったんですか−

「AKB48のメンバーに西条(みつとし)さんの舞台のファンがたくさんいて、西条さんと舞台をやることが決定したときに、すごく羨(うらや)ましがられました。

私が信頼しているメンバーがみんな口をそろえて好きだと言っていたので、最初から西条さんに対しては信頼が厚い状態ではじまり、稽古期間と撮影期間を通して、さらに信頼できる存在になっていきました。

だから、これもまたひとつすごく素敵な出会いができたなあと思える現場でした。

−“2年間限定の恋”というのはどう思いますか?−

「この作品は、もともとは西条さんが主宰する劇団(TAIYO MAGIC FILM)で、7年くらい前にやっていた演目なんです。

私自身、伏線を回収していくストーリーが大好きなのですが、西条さんの作品は、まさに色々な伏線が散りばめられていて、それを最後に全部回収していく気持ちよさが魅力だと思います。

しかも西条さんのお話は、必ずハッピーエンドじゃないですか。困難なことがあったり、泣かされることもあるけれど、最後にはちゃんとハッピーで終わるというところが、私はすごくいいなと思って。

ちょっとダークな作品も好きだったりするんですけど、やっぱりこういうハッピーエンドこそ映画の醍醐味(だいごみ)だなというふうにあらためて思えた作品でした」

(C)「HERO」〜2020〜製作委員会

−とくに今は、コロナウイルスの影響で気持ちが沈みがちですからね−

「そうですよね。この作品は見終わった後、すごくホッコリした気持ちになれるし、日常をあらためて愛せる映画だと思うので、今こそ見てもらいたい作品になったと思っています」

−北原さんが、好きな人から2年間限定の恋と言われたらどうします?−

「『どういうこと?』って、まず不信感を抱くと思いますけど、でも、『2年付き合っていたらきっと情が生まれるでしょう?』って自分に言い聞かせて、多分付き合うと思います(笑)」

−劇中のヒロインと同じですね−

「そうですね。『2年たったら別れなくなるでしょう』みたいな感じで(笑)」

−映画では広樹の抱えている秘密が、ハッキリと映像で出てくるのでよりリアルですね−

「そうですね。映画のあのはじまり方は衝撃的ですごく好きです。舞台にはなかったシーンもあることによって、広樹の秘密や2人の2年間の交際、それぞれの思いがより濃く描かれているので、余計別れることがつらく感じられるのではないかと思います」

−撮影で印象に残っていることは?−

「舞台からの映画化だったので、舞台を重ねて固まってしまっているものをほぐす作業が難しかったです」

−出来上がった作品をご覧になっていかがでした?−

「恥ずかしかったです(笑)。あと、反省が1番にきちゃうタイプなので、やっぱり試写をみたときは、いろいろと思うところはありました。

でも、み終わった後、西条さんが、『やっぱり里英ちゃんは、映像向きだったね』って言ってくださったんです。

西条さんは舞台稽古をしているときから、そういう風に言ってくださっていて。そのときには、それがいいのか悪いのか判断ができていなかったんですけど(笑)。試写の後に言われたのは、すごくうれしかったです」

 

◆「STAY HOME」で『あつまれ どうぶつの森』と「料理」にハマる

コロナウイルスの自粛期間中、北原さんは毎日のようにブログを更新。おいしそうな手料理の写真も数多くアップされている。

−ブログを拝見させていただきましたが、自粛期間中はお料理にも色々チャレンジされていましたね−

「見ていただいてありがとうございます。自粛期間の約2か月間はほとんど家から出られなかったので、料理にハマっていました。あと『あつまれ どうぶつの森』ですね。自粛期間中なので、ゲームのなかで色々なキャラと会って。

もともと人がすごく好きなので、人と会うこと自体が趣味みたいな感じだったんです(笑)。そうやって気分転換するタイプだったので、最初は外に出られない、人と会えないことでストレスが溜まっていました。

でも、わりとすぐに順応していける性格なので、家にいる環境にも慣れて、料理に目覚めたりとか。

食べることがすごく好きなのも大きい理由ですが、『作ってみよう。料理を極めてみよう』って、スパイスカレーを作ったりして。さらに今、食生活アドバイザーの資格を取ろうと思って勉強も始めています(笑)」

−ようやく少しずつ撮影も再開されるようになりましたが、いかがですか?−

「約2か月間の自粛生活で家にいることに慣れちゃっていたので、いざ取材や仕事で外に出るとなったら、すごく緊張しちゃいました(笑)。

でも、仕事は大好きなので、はやく普通にお仕事ができる日常に戻ってくれたらなあと思います」

−今年はコロナウイルスの影響で多くの映画や舞台が延期になったり中止になっています−

「そうですね。この映画も予定通り公開できるかどうかわからない時期があったので、公開できることが当たり前じゃないんだなというのをすごく感じて、以前よりも増して、この仕事に関して、真剣に向き合うことになりました。

エンタメの存在が当たり前じゃなくなって、なくても生きていけるけど、逆にないと心の豊かさが奪われてしまうとあらためて思ったので、私はこの仕事とこれからも向き合っていきたいと強く思える期間になりました」

−今後はどのように?−

「約2か月間の自粛期間で、あらためてお芝居に関わっていきたいという思いがすごく強くなったので、今後も女優として挑戦していきたいと思います。

女優というお仕事にはゴールがないと思うんです。自分では当然、まだ全然満足していなくて。

今後も自分が満足いくところまで、きっといけないのがこの仕事だと思うんですけど、自分の理想に向かっていきたいと思います。あと、海外の映画祭に行くことが、昔からの夢なんです。まだ自分が行ったことはないので、いつか行けるよう、今を頑張っていきたいです」

−元AKB48のメンバーの皆さんも、結婚、出産、電撃引退…それぞれ色々な選択をされていますね−

「そうですね。やっぱりずっと一緒にやってきたメンバーも、いろんな人生の節目を迎えているので、自分も何かちゃんと結果を残せるように今後も生きていこうと思います」

まっすぐな視線でハキハキと話す姿がすがすがしい。コロナの影響で、いろいろなことが変わり、YouTubeのような自分発信でも何かやっていこうと考えているそう。今後のさらなる活躍に期待がふくらむ。(津島令子)

(C)「HERO」〜2020〜製作委員会

※映画『HERO〜2020〜』シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開中
配給:ベストブレーン
監督:西条みつとし
出演:廣瀬智紀、北原里英、小松準弥、松尾諭、斎藤工(友情出演)ほか
2年間限定の約束ではじまった広樹(廣瀬智紀)と浅美(北原里英)の恋。広樹には、2年しか付き合うことができない“秘密”が…。

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