西武・山川穂高が手に入れた新たな“武器”。屈辱を味わい、野球人生最大の決断で弱点克服

いよいよ開幕したプロ野球ペナントレース。パ・リーグ3連覇を目指す埼玉西武ライオンズの主砲・山川穂高は、今シーズンを迎えるにあたり、野球人生最大の決断をくだしていた。

6月21日(日)の『GET SPORTS』では、開幕直前の山川にテレビ朝日野球解説者・古田敦也が話を聞いた。

◆「悔しくてしょうがなかった」

古田:「練習試合を見ると完全に仕上がっているなって思ったんですけど?」
山川:「そうですね。打ち方はいいと思いますし、過去にないくらい仕上がっています」
古田:「今年は120試合という話なんですけど?」
山川:「ホームランは3試合に1発打てば40発なので、目標は40本です」
古田:「盗塁は3個くらいでいいですか?」
山川:「盗塁は…遠慮しておきます」

直前の練習試合では10試合で5本のホームランと絶好調の状態で開幕した山川だが、実は昨シーズン、かつてないほどの大きな屈辱を味わっていた。

その日は監督の顔も見たくなかったし、コーチの顔も見たくないくらい。悔しくてしょうがなかった」(山川)

そう振り返るほどの悔しさを味わったのは、2019年8月11日(日)のロッテ戦。リーグ連覇へ首位争いの真っただなか、極度のスランプから2年間座りつづけた4番を外れたのだ。

山川の代わりに6度の本塁打王を手にした中村剛也が4番に定着すると、チームは快進撃。9月にはじめて首位に立ち、そのままリーグ連覇へと登り詰めた。

優勝が決まった歓喜の夜、山川に自己採点してもらうと「2点です。4番を打てていないし、打率低いし…」。

屈辱の4番降格、その原因となった打撃不振を象徴する試合がある。

山川:「去年7月のロッテ戦、相手は二木康太投手」
古田:「何があったのですか?」
山川:「ストレートを待っていたのにまったく当たらず。手が出なかった

4番降格の1か月前、2019年7月のロッテ・二木康太投手との対戦でのこと。山川は初球、狙っていたストレートを空振り。

古田:「タイミングを自分で合わせるつもりでも当たっていない」
山川:「大きいのを打ちたいという気持ちが強すぎた。フォーム的な問題で言ったら動きが大きい。ムダな動きが多かった気がします」

さらに2ボール2ストライクとなっての6球目のストレート。今度は手が出ず見逃し三振。

山川:「プロ野球人生のなかでもなかなか…。ストレートを待っているのに、ストレートに手が出ないのはマズイと思って。今だから言いますけどキャッチャーの田村も『山川さんどうした?』と言いながらやっていたんで、僕も打席で『いや当たらんのよ』って言いながら…」
古田:「そこでこれじゃいけないなと?」
山川:「オフになったらすぐにバッティングを極端に変えようというのを決めました」

ストレートを狙っているのにもかかわらず、空振りを喫し、さらにまったく手が出ないという非常事態。そこで決断したのが、打撃フォームの改造だった。

◆「弱点」を克服するための打撃改革

2020年1月、地元・沖縄での自主トレで、山川は新たなフォームを模索していた。

参考にしたのは、メジャーリーグで三冠王も獲得したミゲル・カブレラ。ムダな動きのないシンプルな打撃フォームを目指し、新たなフォームへと生まれ変わっていった。

去年と今年のフォームで大きく違うのは、手の動きだ。

古田:「どういう風に変えたか教えてもらえますか?」
山川:「手の動きをあまり使わなくなったことで、ボールに対して素直にバットが出る打ち方にしました」
古田:「明らかに違う。テイクバックもあんまり引かないよね。その方がコンタクトしやすい。ミスショットしづらいってことですか?」
山川:「そうだろうと。単純にボールを引き付けられるようになったのはあります。打率が高い人はストライクを打ててボール球を見極めている。シンプルなフォームのほうがバットに当たる幅も広いと思います。“ヒッチ”と言われているトンって打つ感じだったのをやめて」

山川はシンプルなフォームを追い求めるなかで、「ヒッチ」と呼ばれる動作をやめた。ヒッチとはバットを振り出す前の動きで、山川の場合は構えた位置から一度手を下げ、再び元の高さに引き上げていた。

実は、この「ヒッチ」について、かつては「ヒッチから生まれる反動を使って遠くに飛ばす」と言っていた。考えをあらためた理由は、「弱点」に気づいたからだ。

「バットを1回下げて上げる動きなので、クイックを投げるピッチャーや変則的なピッチャーにかなり弱かった。タイミングが合わなければ変な空振りもいっぱいしていたので」(山川)

手を上下させるタイミングに少しでもズレが生じると、ボールを正確に捉えることができない。そのため、手の動きをやめたのだ

しかし、反動を使えるヒッチをやめるとなると、ひとつの懸念が生まれた。

古田:「捉えやすいけど飛距離大丈夫かなって?」
山川:「ホームラン減ったらマズイだろうなとは思いながらも、自分のなかで分析して理論をもってこのフォームにしたので。実際やってみて、全然飛距離的にも大丈夫だなって思いました」

新たなフォームで挑む今シーズン。開幕前の練習試合で、確実な手ごたえを掴んでいた。練習試合では、ストレートが武器のロッテ・ハーマンから148キロのストレートを一振りで弾き返し、ホームランを放っていた。

こうして生まれ変わった男には、ずっと口にしてきた野望がある。

山川「3つ獲ったら、ナンバーワンじゃないですか。三冠王ですね
古田「いい感じだと勝手に思っているんで、目標はどうですか?まぁ三冠王目指しているって言っていますからね?」
山川「120試合なので打点は120打点から。1試合1打点、それぐらいしないと西武の4番とられますので。1回も3割は超えたことないので、3割3分3厘は打ちたいと思うんですけど。ギータさん(柳田)とか3割6分とか打っちゃうので」
古田「それで三冠王取れなかったら柳田がすごいということで」
山川「お手上げです。ただ今年1年ぶれずにやったら、去年や一昨年よりはるかにいい成績が出ると信じてやっています」

4番降格という屈辱から手にした新たな打撃フォームで、いざ令和初の三冠王へ。

番組情報:『GET SPORTS

毎週日曜日夜25時30分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

関連記事(外部サイト)