【ぴいぷる】映画監督兼小説家・ふくだももこ「書く・撮る」創作愛は止まらない! 「いつか自分が書いた小説を映画化したい」

【ぴいぷる】映画監督兼小説家・ふくだももこ「書く・撮る」創作愛は止まらない! 「いつか自分が書いた小説を映画化したい」

ふくだももこ

 映画監督の登竜門「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」に22歳で入選。監督デビューを飾ったその2年後、今度は作家の登竜門「すばる文学賞」で佳作に選ばれ、25歳で小説家デビューを果たした。メガホンとペンを巧みに使い分ける“才媛”だ。

 その発想は奇抜。「もし突然、オトンがオカンになったとしたら…。その姿を想像するだけで面白くて」。こんな独創的な着想から脚本を書き、監督を務めた新作映画「おいしい家族」が20日から全国で封切られる。

 高校まで大阪で過ごし、“映画修行”のために、神奈川県の日本映画学校に進学。以来、関東で暮らしているが、今も関西弁が抜けない。

 映画好きの父に連れられ、幼い頃から映画館へ通い、「中学2年のときには、将来、映画監督になろうと決意していました」と振り返る。

 高校時代の文化祭。クラスで発表した演劇の芝居で、脚本を書き、演出し、主演まで務め、創作の魅力にのめり込む。

 「映画監督になりたい」という彼女の夢を知った高校の先生から「今村昌平監督が創設した映画学校を知っているか」と教えてもらい、「そこにします」と進学を決めた。

 運命に導いてくれた恩師は「社会科の今村先生。今村監督と同じ名前なんですよ」と笑った。

 「おいしい家族」はオリジナル脚本で書いた初めての長編映画だ。

 東京・銀座でのOL生活に疲れた橙花(松本穂香)が、久しぶりに離島の実家へ帰郷すると、亡き母の服を着た父(板尾創路)が台所にいて…。

 LGBT(性的少数者)がテーマではない。先立たれた妻のことを父は忘れられず、心から「家族にとっての母になりたい」と思い始める物語だ。

 「子育てなど母親の仕事は大変だな、とずっと思っていました。周囲から母親という概念に縛られて。でも一方で、そんな母親の姿に憧れている父親もいるのではないか、と思っていたんです」

 こう彼女が考えるように、近年、早起きをして子供や家族の弁当を作る父親が少なくない。毎朝、作った弁当の写真をネットで配信する父親の姿も珍しくない。

 母の服を着て出歩く父を島民が温かく見守る姿が印象的でほほえましい。

 「私の父は兵庫県の淡路島出身で母は愛媛県の岡村島の出身。よく両親の島へ遊びに行っていたので、いつか島を舞台に映画を撮りたいと思っていました。島をユートピアとして描きたかった」

 現在、映画監督、小説家という二つの肩書で活躍するが、順風満帆だったわけではない。

 「一度、監督の夢をあきらめ、大阪へ戻って書いたのが小説『えん』。あきらめきれず再び上京し、書いたのが新作映画の原案になった短編『父の結婚』の脚本でした」

 この「父の結婚」の脚本が、若手監督育成プロジェクトで選ばれ、2015年、プロの映画製作者の協力を得て短編映画として製作された。

 父役は長編と同じく板尾だった。短編の舞台挨拶で彼は「誰かこの短編を長編で撮るために協力してください」と頭を下げたという。「多くの人の協力がなければ映画は撮れません。本当に感謝しています」と真摯に語る。

 映画監督と小説家。両立について聞くと、「両方続けていきたい」と即答した。

 小説は一人だけで自分の内面を掘り下げていく作業。一方、映画は大勢のキャストやスタッフたちとともに同じ目標に向かって創作していく作業。「どちらも大好きだから両立したい」と覚悟を語った。

 「将来? 自分が書いた小説を原作に、監督として映画化できれば…」

 中学2年の頃、心に描いた夢は、まだ始まったばかりだ。(ペン・波多野康雅 カメラ・前川純一郎)

 □初の長編映画監督 「おいしい家族」20日公開

 ■ふくだももこ 映画監督、小説家。1991年8月4日生まれ。28歳。大阪府出身。2013年、日本映画学校(現日本映画大学)卒業。監督、脚本を務めた卒業製作の「グッバイ・マーザー」が、14年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で入選。小説「えん」が、16年、すばる文学賞で佳作を受賞した。今年公開されたオムニバス映画「21世紀の女の子」で短編の監督を務めた。

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