【織田哲郎 あれからこれから Vol.35】ポンポコリンの次だし、ヒデキさんだし… 「走れ正直者」が縁になって西城秀樹さんをプロデュース

【織田哲郎 あれからこれから Vol.35】ポンポコリンの次だし、ヒデキさんだし… 「走れ正直者」が縁になって西城秀樹さんをプロデュース

西城秀樹さん

 エンディングテーマとしての『おどるポンポコリン』は1年で終わり、次の曲は西城秀樹さんが歌うことになりました。

 当時、レゲエやスカのような裏打ちの曲は日本で売れたことがなく、日本人には向いていないなどと言われましたが、ポンポコリンの次だし、ヒデキさんだし、何だか普通のものは作りたくないなぁと思っていましたから、思い切ってスカにしてしまいました。

 結局出来上がってみれば、さくらももこさんの素晴らしくインパクトのある歌詞にヒデキさんの強烈な歌唱で、スカだろうが何だろうが関係ないレベルでとてもパワフルな1曲になりました。こうして出来上がった『走れ正直者』はどうやら日本初のスカのヒット曲と言われているようです。

 その縁で、ヒデキさんのアルバムをプロデュースさせていただくことになりました。

 実は私は中学の頃からヒデキさんには思い入れがありました。英国で暮らした2年間、Tレックスやデヴィッド・ボウイなどがティーンエイジャーの“スター”として君臨するさまを見てきました。ところが日本に帰ってくると、ロックはあくまでマイナーで、ヒットチャートは歌謡曲、ときどきフォークという状態でした。

 その頃、ヒデキさんが『薔薇の鎖』という歌をマイクスタンドを振り回しながら歌っていたのです。「こういうルックスも声もかっこいい人がロックをやってくれれば良いのになぁ」と強く思ったことを覚えています。

 その後、私がプロになり、「9th IMAGE」というバンドで作ったアルバムから『Dreamer』という曲をヒデキさんがテレビで歌ってくれて、「あまり売れてないアルバムなのにちゃんと聴いてくれて、この曲を選んでくれたんだ」ととてもうれしく思ったものでした。

 そんないきさつもあったので、プロデュースさせていただいた『MAD DOG』は、とにかくかっこいいロックアルバムにしたいと思いました。奥田民生くんやサエキけんぞうさんらにも作詞作曲を依頼し、本当にいいロックアルバムに仕上がったと思います。

 彼はあんな大スターなのにとても気さくで、レコーディングもただのロック好きの音楽仲間として楽しくやらせていただきました。いつかまた一緒に何かできたらとずっと思っていたので、昨年亡くなられたのは本当にショックでした。

 1991年、ヒデキさんがコンサートのゲストに呼んでくれて、1本のマイクで一緒に歌ったことは、私の人生の本当に貴重な思い出です。

 ■織田哲郎(おだ・てつろう) シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。現在「オダテツ3分トーキング」をYouTubeで配信中(毎週土曜日更新)。

 「織田哲郎ライブ・ツアー2019」は10月19日(土)=大阪・BIG CAT▽20日(日)=名古屋・ReNY limited▽25日(金)=東京・日本橋三井ホールで開催する。詳しくは公式サイトt−oda.jpへ。

 弦カルテットとの競演による『幻奏夜IV』は2020年2月23日(日)=名古屋ブルーノート▽同24日(月祝)=ビルボード大阪で開催。一般予約は10月14日スタート。

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