映画「キングダム」の佐藤信介監督「若者は大志を抱け」

映画「キングダム」の佐藤信介監督「若者は大志を抱け」

武功を重ね、大将軍になる夢を見る若者を描く映画「キングダム」の一場面。(C)原泰久/集英社 (C)2019映画「キングダム」製作委員会(提供写真)

 中国・春秋戦国時代の秦を舞台にした同名の人気漫画を実写化した「キングダム」(原泰久原作)は、後の始皇帝の右腕となり中華統一を目指す若者を壮大なスケールで描いた青春物語。佐藤信介監督は「こぢんまりとまとまらず、大志を抱いて夢を実現してほしい」と若者に期待を込めた。(高橋天地)

 日本の城が数個積み重なったような異様な外観の宮殿。大平原を駆け抜けてこちらに迫る数千騎の騎馬、色鮮やかな衣装に身を包んだ人物たちが繰り広げる死闘の数々…。撮影は中国の浙江省に作られた巨大なセットを使って行われた。広大な風景を舞台に描かれるのは歴史劇というよりはファンタジーに近い。

 佐藤監督は「原作に負けないスケールの大きな映像が撮れた」と胸を張る。

 原作は平成18年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載開始。単行本53巻、累計発行部数は3800万部を超える人気作品だ。数年前に原作を読んだ佐藤監督はその魅力を「史実に基づく青春群像劇であり、アクション、冒険活劇…。一口にくくれない魅力がある」と指摘する。

 監督の打診を受けた佐藤監督は原作者の原らと脚本も執筆。描きたかったのは「中華統一の夢につかれた人間の心の奥底に秘められた圧倒的なパワー」だ。主人公、信(しん)を演じた山崎賢人には「野山を駆け回る猿のように野性味あふれる演技」を追求させた。

 映画では秦が中華統一へ打って出る5巻までの内容が描かれたが脚本作りは難航。信の思いを「映像に語らせたい」とする佐藤監督に対し「せりふで伝えたい」と原。議論は日々12時間を超えた。統一の夢を追って戦い続ける信に、無数の殺戮(さつりく)を繰り返してきた敵の元将軍が「戦場に夢など転がっていない」と吐き捨てる印象的なせりふも原の粘りの賜だった。

 撮影を終えて再認識したのはチャレンジ精神の大切さだ。「若い頃、映画で身を立てようと田舎から“東京という中華”を目指した。あの気持ちを忘れてはいけないですね」

 19日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。

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 【あらすじ】紀元前245年、中国の秦。戦災孤児の信(しん)(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は大将軍になる夢を抱き剣の修行を積んでいた。やがて漂は王の用心棒になったが、王宮で反乱が勃発。瀕死の重傷を負った漂は信の元へ逃げ、「近くの村にある小屋を訪ねよ」と指示し、絶命する。

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