野田秀樹氏が行政に問いかける“文化混流”の本気度「五輪の時期だけ利用するのか続けるのか」

野田秀樹氏が行政に問いかける“文化混流”の本気度「五輪の時期だけ利用するのか続けるのか」

記者懇親会に出席した松たか子(左)と野田氏

 演出家の野田秀樹氏(63=東京芸術劇場芸術監督)、女優の松たか子(41)が10日、都内で開かれた「東京キャラバン2019」記者懇親会に出席した。

 同イベントは、東京2020五輪・パラ五輪の文化プログラムを先導する東京都のリーディングプロジェクトとして、野田氏の発案で2015年に駒沢オリンピック公園で始まり、リオデジャネイロ、東北、京都、熊本、秋田などで行われてきた。

 多種多様なアーティストが国境、言語、文化、表現のジャンルを越えて“文化混流”することで全体が一つの大きなうねりとなり、新しい表現が生まれるというコンセプトだ。これまで松らの有名人が、秋田のなまはげなど地方の伝統芸能・文化と共演してきた。

 野田氏は「行政はなかなか文化に予算を出さないが、東京五輪をきっかけに面白いことがずっと文化遺産として残るものができないかなと思った。それで文化サーカスを思いついた。ただ、2015年からやっているが認知度がない。その土地、土地では楽しんでもらえて盛り上がっているが、全体として浸透していないので、ぜひ皆さんに知っていただきたい。そして、2020年で終わることなく続いていって、日本という共同体の底力を知っていただきたい」と熱っぽく説明した。

 自らを出たとこ勝負の演出家と評する野田氏は、アイデアを完全に固めずに現地に赴き、タップダンスと民謡など全く違うものを“野田マジック”で互いに邪魔することなく融合させ、新しいものに昇華させる。

「極端に違うものは割と交ざりやすい。出合うことでしか新しい文化は生まれないし、保存もされない。地方の伝統に関しては、退屈という先入観があったが、その土地を訪れて、その風の中で見ると、改めて素晴らしさに気づかされた、自分がいかに無知だったかわかったし、表現者としてこっそり見て、自分の中にため込んでいる」と語った。

 20年は代々木公園か明治神宮エリアで開催する意向。野田氏は「集大成というよりは、一つの節目として1964年の五輪があったところでやって、その先に続けたい。五輪があるこの時期だけ文化という名前を利用するのか続けるのかは、行政がより文化に本気度があるかが問われる」と行政にプレッシャーをかけた。

 一方、松はこれまで複数回出演したのみならず、東京スカパラダイスオーケストラを野田氏に紹介して出演につなげるなど、裏方としても重要な役割を果たしている。

 伝統芸能一家に育っただけに、文化には理解があり「最初は怪しいものだったり、信用ならないものが、それを面白がる人の手で伝統になり、変わらないけど変わっていく。それを生かすも殺すも、今生きている私たち次第」と持論を述べた。そして、4歳の長女の迎えのため、野田氏より一足先に会場を後にした。

 イベントは今年、いわき市(5月19日)、埼玉県(10月13日)、富山県(11月3、4日)、岡山県(12月8日)、北海道(12月ほか)の5都市で開催予定。

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