吉本興業の内紛を政界が糾弾

吉本興業の内紛を政界が糾弾

大崎洋会長(右)と“トップ会談”に臨んだ加藤浩次

 闇営業問題をめぐり23日、吉本興業の大崎洋会長(65)と“トップ会談”に臨んだ「極楽とんぼ」の加藤浩次(50)が、24日放送の日本テレビ系「スッキリ」で会談が平行線に終わったことを明らかにした。加藤は大崎会長および“グダグダ会見”を行った岡本昭彦社長(52)の実名を挙げ「この体制が続くのなら、僕は会社を辞めます!」と宣言していた。そんな吉本の騒動に政界からも苦言が続出。お笑い専門の事務所から、国家事業に携わるまでに成長した同社だが、今回の一件で振り出しに戻ることを懸念しているという。

 2011年に島田紳助氏(63)が暴力団幹部との密接交際を認め、引退したころから吉本興業はコンプライアンス順守に力を入れてきた。

 今回、「カラテカ」入江慎也(42)の仲介で「雨上がり決死隊」宮迫博之(49)や「ロンドンブーツ1号2号」田村亮(47)らが特殊詐欺グループの忘年会に参加していたことがわかると、すかさず入江を解雇。参加した11人に謹慎処分を科した。

 その後、宮迫と亮の謝罪会見で会社側との見解の相違に加え、岡本社長の“パワハラ発言”も明るみに出たことで、焦点は闇営業問題から吉本の体制問題にズレてしまった。

 さらに加藤が「スッキリ」で堂々と体制批判を展開すると、批判の矛先は宮迫ら“闇営業芸人”から、吉本上層部に向けられることになった。

 そうしたなか、厳しい声を上げたのが政界だ。世耕弘成経産相は「企業活動において反社会的勢力と付き合うのは慎むべきだ。また、どのような契約形態でも内容について双方の合意が前提であるのは当然の常識だ」とピシャリ。柴山昌彦文科相も「文部科学省としても関心を持っている。文化の健全な振興という観点から、組織におけるガバナンスやコンプライアンスは極めて重要になってくる」と述べた。

 片山さつき地方創生担当相も「一国民としては『すっきりしない。喝!』ということではないか」とコメント。世論に便乗するのが政治家だけに、すべてをうのみにできないが、吉本にとっては耳の痛い話だ。

 とりわけ“効いた”とみられるのが、平井卓也IT担当相の「吉本興業はクールジャパンのコンテンツ制作者として非常に有力な企業の一つであり、法令順守の徹底や説明責任を期待せざるを得ない」という言葉。

 吉本は4月、NTTとの共同による新プロジェクト「ラフ&ピース マザー」の立ち上げを発表している。スマートフォンやタブレット端末でゲームなどを楽しみながら学習する仕組みをつくる事業で、官民ファンドのクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)から資金が拠出される。

 関係者によれば「教育分野に参入する上、クールジャパン機構とは、政府からの出資も受ける官民ファンド。そこから最大100億円が出資される予定だが、社長が“パワハラ”している会社に出資するのはおかしいと言われても仕方がない。それで政界から批判が出ている」という。

 吉本は先月のG20大阪サミットに協力し、2025年の大阪万博にも積極的に関わっている。松井一郎市長の「素直に笑えない。そもそもの問題は反社会的勢力の会合でタレントがギャラをもらっていたこと。法令順守を徹底してもらいたい」という言葉も肝に銘じなければならない。

「もはや吉本はただのお笑い事務所ではない。吉本新喜劇に安倍晋三首相が出演したように、政権中枢にもパイプを持つようになった。これらを推し進めたのが今の大崎・岡本体制。反社との交流はもっての外で、宮迫や亮に厳しい姿勢で臨んだのも、お国の仕事に今後も関わっていきたいからだ」(政界関係者)

 吉本が関わる省庁は法務省、国交省、スポーツ庁、復興庁など幅広い。一方で、そうした野望ばかりが先走り、肝心の「芸人ファースト」が欠如していたのも事実。加藤の言うように、変わらなければいけないことは確かだ。

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