【いろもの伝】内海桂子師匠のこだわり「ビールは一息で飲むもの」

【いろもの伝】内海桂子師匠のこだわり「ビールは一息で飲むもの」

内海桂子

 平成の初めごろ、先代の三遊亭円楽さんと営業の旅に行かせてもらったことがありました。日本香堂さんが今も続けている「爆笑寄席」に出演するために、新潟、富山、金沢を回ったんですね。

 その時にご一緒させてもらったのが内海桂子・好江さんです。ブッチャーブラザーズに師匠はいませんでしたが、旅の間に“芸”に関する教えをたくさん授けてくれました。

 14歳離れていたおふたりは、仲がいいとか悪いではなく、新幹線では必ず離れた座席に座りました。必然的に空いた隣には僕とぶっちゃあさんが座り、移動中はずっと話し相手をつとめなけ…いや、お話を聞かせてもらってました。芸の話、芸人の話、芸から発せられる思い出話などなど。話の節々で出たのが“粋”かどうかでしたね。

 公演が終わると毎日打ち上げ食事会をやってました。僕が桂子師匠の横に座った時、桂子師匠はテーブルのコップを見て、「ビールはこんなんで飲んじゃダメ。一口で飲めるサイズのをちょうだい」と小さいコップを頼んでました。「一息で飲める量しかついじゃダメよ」と言われながら飲んでみたら、確かにビールはこの方がうまいんですね。こういうこだわり、粋やなぁと思ったもんです。

 また桂子師匠はものを食べる時の作法、箸の置き方なども細かく教えてくれました。しっかり身につければ、それなりの方との食事の時に、相手を不愉快にさせる“やぼ”はやりません。

 桂子師匠、御年96歳。いまだ現役で舞台に立たれています。食レポをやる芸人は教えを請うた方がええかもですが、さすがに無理なお願いですかね。

☆りっきー=1958年9月8日生まれ。京都府出身。本名・岡博之。81年に「ブッチャーブラザーズ」結成。サンミュージック初の所属芸人に。プロダクション人力舎に移籍後、92年に開校した東京初のお笑い専門学校「スクールJCA」講師を務めた。現在サンミュージック常務取締役。

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