気象庁 異例の言葉遣い「世界が変わる」が話題に!

「非常に強い」台風15号(ファクサイ=ラオス語の女性の名前)は9日午前3時の観測で「強い」台風に変わり、神奈川県の三浦半島を通過後の同5時前、千葉市付近に上陸した。記録的な強風と激しい雨をもたらした台風の直撃により、首都圏のJRは9日、始発から在来線の運転を見合わせる「計画運休」を実施。車の横転などの被害が伝えられる中、警戒を呼びかけた気象庁の予言者めいた言葉遣いが話題になっている。

 千葉市では9日午前4時半ごろ、同市では観測史上最大となる瞬間最大風速57・5メートルを観測。5日に台風13号の影響により沖縄・宮古空港で観測された同61・2メートルには及ばないが、関西を中心に甚大な被害をもたらした昨年9月の台風21号当時に関西空港で観測された同58・1メートルとほぼ同じレベルだから、その猛威がうかがえる。

 千葉県館山市の地元消防によると、同市や周辺の自治体で10人以上のけが人が出た。多数の建物の被害も出ているとしている。JR東日本によると、山手線の架線に木が倒れかかっていたほか、横須賀線の踏切で警報機が倒れていたりしているのが見つかり、両線は運転再開の見通しが立っていない。

 台風上陸に先立つ8日に開かれた気象庁の臨時記者会見では、記録的な暴風やうねりを伴った高波、大雨による土砂災害、河川の増水・氾濫の恐れがあるとして厳重な警戒を呼びかけ、ホームページも含めて非常に重い言葉を使った。

「夜には一気に世界が変わり、猛烈な風、雨になる」「今晴れているということで安心している人も多いかもしれないが、接近とともに世界が変わる」「首都圏も含めて記録的な暴風になる」「関東を直撃する台風としては、これまでで最強クラスといっていい」

 注意喚起というより、予言者のような言葉遣いだ。とりわけ「世界が変わる」にネットユーザーは反応した。

「さすがにビビった」と警戒感を強めたような声があれば、「J―POPみたいなリリック」と表現そのものに関心を抱いた人も。「台風で世界が変わる世の中」と時代の変化?を感じ取ったような受け止めや、実際に台風が通過したことで「そこそこの名言だった」と言葉にリアル感が増したと感心するような書き込みもみられた。

 防災関係者は「災害心理学で『正常性バイアス』という言葉があります。どんなに『注意して』と言われても、異常事態が来ることを受け入れられず、『自分には関係ない』『自分は大丈夫』『まだ大丈夫』と、いつもの日常が続くと思い込んでしまうことです。危険なところに行ったり、逃げ遅れてしまう原因となります。だから、気象庁は非常に重い言葉で注意を呼びかけたのです」と指摘する。

 メディアの現場でも8日午後10時15分ごろ、報道番組「Mr.サンデー」(フジテレビ系)で、静岡県熱海市のJR熱海駅前から台風中継した三田友梨佳アナが大雨に打たれながら、「1時間前までは考えられないぐらい、世界が一変しました」と驚きをもってリポートしていた。

 災害への警戒呼びかけをめぐっては東日本大震災以降、「命が助かる行動を」と生存第一を強調したり、「経験したことのないような大雨」などと、切迫感を促すような文言が目立つ。「世界が変わる」は人々の想像力をかき立てる新たなバージョンか…。

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