深海の神秘深まるばかり…ダイオウグソクムシ“謎の死”

 謎多き生物は簡単には生態を明らかにしてくれない――。三重県鳥羽市の鳥羽水族館で飼育されていた謎の深海生物「ダイオウグソクムシ」の雄「bQ3」が死んだ。グロテスクながら、巨大なダンゴムシのようでかわいく見える面もあり、ぬいぐるみになるなど人気のダイオウグソクムシの生態は謎だらけだ。

 同館によると、bQ3は2014年5月30日、同館23体目のダイオウグソクムシとして入館。当時の体長は31センチ、体重は1004グラムだった。今年の10月13日に世界で5例目、同館で3例目となる体の後ろ半分の脱皮の確認に成功。世界初の快挙となる前半分の脱皮にも期待が膨らんでいたが“完全脱皮”しないまま死んでいるのを10日午前、飼育員が発見した。

 世界最大の等脚類(フナムシ、ダンゴムシの仲間)であるダイオウグソクムシは、メキシコ湾などの光の届かない深海の底に生息しており、生態については分からない部分が多い。

 これまで30体のダイオウグソクムシを飼育している同館でも同様で、関係者はbQ3の死因について「正直なところ分からない。脱皮した後の硬化不全ではないかと推測はできるが、それがなぜ死につながるかも分からない」。寿命についても「当館に来た時に何歳だったのか分からないし、飼育下での繁殖実績もないので平均寿命も不明」と謎だらけだ。

 海底に沈んだ動物や魚の死骸を食べることから「深海の掃除屋」とも呼ばれ、同館ではカマスやサバをエサとして与えている。一方で、深海という過酷な環境に適応していることもあって絶食もへっちゃら。bQ3も15年2月27日を最後に何も食べていなかったそうで「ほとんど動かないし、何をきっかけに、どのタイミングで食べるのか全く分からない」(同)。

 小型の生物が多い等脚類の中で、体長は20〜40センチ、体重は1キロを超える。さらに2対の触角、7対の脚と遊泳脚を持ち、頭部には約3500個の個眼で形成された複眼。まるで宇宙からやってきたかのような風貌も相まって“なんか気持ち悪いけどかわいい”と人気は高い。

 関係者は「脱皮の兆候はないですが、まだ6個体いますし今後に期待したいですね」と語っている。

 鳥羽水族館では、14年2月に死んだ「bP」が1869日間にわたりエサを食べなかった。4か月間、エサを食べずに死んだ「No.9」を解剖したところ、消化管に未消化のエサがまだ残っていたため、“餓死”ではなかった。解剖の結果、胃が謎の液体で満たされていたというが成分は不明。

“完全脱皮”に成功した個体が確認できないように、何年飼育しても大きさが変わらない。エサが極端に少ない深海にしては巨体。しかも、絶食に強い。不老、不食などに関わる夢のメカニズムが隠されているのかもしれない。

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