【昭和ロックを語る時が来た】鮎川誠が見てきたロックの変化

【昭和ロックを語る時が来た】鮎川誠が見てきたロックの変化

「男は女とやりたい!ちゅうことをブルースは歌ってきたんやから(笑い)」(鮎川)、「鮎川さんは永遠のロックファンですね」(ユカイ) 撮影協力=下北沢トロワ・シャンブル

【ダイアモンド☆ユカイ 昭和ロックを語る時が来た】「レッド・ウォーリアーズ」のボーカル、ダイアモンド☆ユカイ(57)が、ゲストを招いて昭和時代に巻き起こった日本のロックムーブメントをひもとく。「シーナ&ロケッツ」のギタリスト、鮎川誠(71)と語る最終回。鮎川がその目で見てきた「ロックの変化」とは?

 ユカイ:鮎川さんはロックの黎明期から、ご自身の目と耳と体でロックと接し続けてきました。昔と今を比べて、ロックが変わったと思うところはありますか?

 鮎川:1960年代にマーシャルのアンプが出てきて、PAシステムで同時に何十万人が音楽を一緒に聴けるようになって、それまでキャバーンクラブのような狭い場所でやりよったのが、70年代はスタジアムが当たり前になった。巨大化して、動くお金も大きくなったから、いろいろ変わって当たり前やけど、バンドがやることはずっと変わらんよ。いい曲を作って、一生懸命演奏する。そこはずっと同じやね。

 ユカイ:かつてロックは“反体制”の象徴的な存在でしたが、その点はちょっと変わりましたね。

 鮎川:60〜70年代は高校生や大学生がロックを求め、推進する世代やった。若いヤツが体制から飛び出す横にロックがあった。特にウッドストックがあった69年から、サンハウスも出た福島・郡山のワンステップフェスのころまで、あの5年間ぐらいはロックに求められるものが強かったち思う。でも今は「社会とロック」を結びつけて考えることもないやろね。ゲームやスキーと同じようにエンターテインメントのひとつ。「どれにする?」ぐらいで。

 ユカイ:変わったと思ったのはいつごろでしたか?

 鮎川:80年代ぐらいにはブツブツ言うやつがおったかな。70年代のニューウエーブのころまでは、まだ夢を持てたんよ。「この音楽がたくさんの人に届きますように」ち。あのころは「どうしてこんな音楽が生まれたんやろ」っち、アーティストのルーツをたどりたくなるような音楽にもよく出合いよったけど、80年代ぐらいからあまりなくなったかもしれん。マニュアル化の悪い影響がロックにも入ってきたかもしれんね。「こうやれば正解」ちゅうね。

 ユカイ:確かにロック周りの“熱量”は変わったかもしれませんよね。

 鮎川:僕たちは自分の全てを預けるほどの気持ちでやりよった。それは思い込みやったかもしれんけど。最近は若い子がギターを持っているのが、ゲートボールに行く人に見える。

 ユカイ:親睦会的な?

 鮎川:人間がぶつかるのがロックやからね。みんな好きな音楽が違って、とことんお互いを探り合い、でも一緒に“ロックの神様”を目指してしよったのが、最近のはぶつかる前にやってるロックに聞こえるんよ。まあ時代も形態も変わるもんやから、俺が「昔はこうやけど今は…」っち言うこと自体がダメな話やね。それはしょうがない。だけど俺が夢見ているのは、昔と変わらぬ世界やから。

 ユカイ:鮎川さんのすごさは、ロックの中に人生がどっぷり漬かっていて、ステージに立つとその濃いサムシングが飛んでくるんですよ。鮎川さんとステージに立った時に思ったんだけど、シーナさんはこの熱量の中で普通に歌ってたんだなあって、すごいエネルギーのボーカリストだったんだなと。

 鮎川:エルビス・コステロの前座でシーナが初めて歌った時、俺はこんな歌初めて聴いたと思った。うまい下手やなく、ロックを好きな気持ちがそのまま伝わってきよる。俺たちはよう一緒におっていつも語り合いよったけど、ロックはこうあるべきとか、誰かのように歌うべきとか全然なかった。自分には自分のロックがあるっち思ってたからね。

 ユカイ:シーナさんも鮎川さんも永遠のロックファンですよね。

 鮎川:俺は今も、毎日自動更新しながら新しいロックを求めとるからね。うまく締まらんけど、まだまだこれからです!(笑い)。

☆ダイアモンド・ユカイ=1962年3月12日生まれ。東京都出身。86年にレッド・ウォーリアーズのボーカルとしてデビュー。89年に解散後、数度再結成。最新ソロアルバム「The Best Respect Respect In Peace…」が発売中。

☆あゆかわ・まこと=1948年5月2日生まれ。福岡県出身。九州大学在学中の70年からブルースバンド「サンハウス」で活躍。78年に妻シーナと「シーナ&ロケッツ」結成。海外デビューも果たし、国内外で37枚のアルバムを発表。2015年にシーナ死去後もバンドは継続。現在、鮎川誠の71歳を記念して、シーナ&ロケッツ“ROCK OF AGESツアー”を全国で開催中。

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