「なつぞら」雪次郎好演の山田裕貴「役者は天職」認知度に自虐「カメレオンのまんま」

「なつぞら」雪次郎好演の山田裕貴「役者は天職」認知度に自虐「カメレオンのまんま」

連続テレビ小説「なつぞら」にレギュラー出演、ヒロインの幼なじみを好演している山田裕貴(C)NHK

 ◇山田裕貴インタビュー(上)

 “カメレオン俳優”の異名も持つ若手実力派の山田裕貴(28)がNHK連続テレビ小説「なつぞら」(月〜土曜前8・00)で朝ドラ初出演。ヒロイン・なつの幼なじみ・小畑雪次郎を好演している。菓子職人修業のために上京した雪次郎だが、劇団「赤い星座」と出会い、高校時代に入れ込んだ演劇への情熱に再び火がつく。第73回(6月24日)からの第13週「なつよ、『雪月』が大ピンチ」は雪次郎にスポットが当たる。自身とダブる役への思い、朝ドラの影響力、父のプロ野球広島・山田和利1軍内野守備・走塁コーチ(54)の反応などについて、山田に聞いた。

 女優の広瀬すず(21)がヒロインを務める節目の朝ドラ通算100作目。大河ドラマ「風林火山」や「64」「精霊の守り人」「フランケンシュタインの恋」、映画「39 刑法第三十九条」「風が強く吹いている」などで知られる脚本家の大森寿美男氏(51)が2003年後期「てるてる家族」以来となる朝ドラ2作目を手掛けるオリジナル作品。戦争で両親を亡くし、北海道・十勝の酪農家に引き取られた少女・奥原なつ(広瀬)が、高校卒業後に上京してアニメーターとして瑞々しい感性を発揮していく姿を描く。

 山田が演じるのは、十勝の菓子屋「雪月」の店主・小畑雪之助(安田顕)の長男・雪次郎。お調子者の目立ちたがり屋だが、一緒にいると気分が明るくなる、なつの大親友。十勝農業高校時代は芝居にハマり、演劇部長。クラスメイトのなつを部活に誘った。卒業後の昭和31年(1956年)の春、日本一の菓子職人になるべく修業のため、なつと一緒に上京した。

 父も修行した戦前から続く新宿の老舗ベーカリー兼カフェ「川村屋」で働くが、なつの兄・咲太郎(岡田将生)が製作部にいる劇団「赤い星座」の公演「人形の家」を見に行き、主演女優の亀山蘭子(鈴木杏樹)とも知り合いに。「人形の家」は連日、仕事終わりに第3幕だけ見に行くほどで、眠っていた演劇への思いが目覚める。雪次郎は川村屋を辞め、芝居の道に進む決意を固める。

 役者を目指す雪次郎と自身の共通点について、山田は「僕は俳優しかやれることがないぐらい、この仕事が一番好き。自分は無個性で、つまらない人間だと思っていたので、違う人になってみたい欲求はすごくありました。だから、役者は天職だと思っているので、雪次郎のセリフには自分に重なる部分がたくさんありました」

 第62回(6月11日)、「人形の家」に感動した雪次郎は「本物は普通なんだと思いました。普通の人がまるでそこにいるみたいというか。普通の人が言いたい言葉を代弁するというか、伝える力がプロなんだと思ったんです。別にスターとかじゃなくて、普通の人間だから伝わる精神を持っているのが、なまら(とても)すんげぇ俳優なんだと思いました」と蘭子に感想を伝える。蘭子には「よく芝居を辞められたわね」と言われ、演劇への衝動に駆られた。

 「雪次郎の『普通の人間だから伝わる精神を持っているのが、すごい俳優』というセリフも、まさに僕が目指している役者像。特別扱いされがちですが、一番普通でいなきゃいけない職業だと思っているので。僕と雪次郎のシンクロ率は、かなり高いです。だから、台本を頂くたびに(脚本の)大森さんが僕の過去のインタビューをめちゃくちゃ読んでいただいているんじゃないかと思うぐらい」と笑いを誘い「大森さんにはまだお会いしていないので、打ち上げの時に最大の感謝を伝えたいと思っています。お会いしていない状態のに、僕の考えていることを台本に盛り込んでいただいているので、ちょっと不思議な力を感じます」と大森氏の“アテ書き”を喜んだ。

 山田の父は、プロ野球・広島の山田和利1軍内野守備・走塁コーチ(54)。雪次郎が菓子職人を辞めたいのは、山田が小学・中学と続けた野球を「高校で辞めたいと決意した時と似ていると思いました」と、しみじみ振り返った。

 5月27日放送の日本テレビ「しゃべくり007」にゲスト出演した際、父・和利氏からは「だいたい『まだまだだな』みたいな。自分、芝居をやっていたの?ぐらい」と冗談めかしながらも厳しく“ダメ出し”されていると明かした。

 今回のインタビューでも「作品を見て、どこが面白かったということより、父からは『おまえ、よかったな。こういう作品に出られて。みんなに感謝しろ』と人間的な部分のことを言われます」。朝ドラ初出演は喜んだ?と水を向けると「特に(ありません)。たぶん朝ドラがゴールじゃないと思っているからだと思います。本当に口数が少ない人なので。僕の芝居の熱量はどの作品も変わらないことは、たぶん父も分かってくれているので、どれを見ても同じような反応なんです」と打ち明けた。

 父・和利氏は、役柄上の父・雪之助とも重なると感じている。実家を継ぐ道から外れたい雪次郎に対する雪之助の接し方が「自分の父も、ただただ見守るという人だったので。野球を教えてもらったこともないですし、野球に関して話したこともありません。だから、ヤスケン(安田顕)さんといる時は、父といるような感覚がして、不思議とちょっと緊張するんです。父ちゃん、母ちゃん(仙道敦子)、ばあちゃん(高畑淳子)、三者三様の家族の愛をビシビシ感じて、雪次郎としては、やっぱり自分のやりたいことをしっかり伝えないとダメだと思いました」

 今回のインタビューには約20人の記者が集まり、目の前にボイスレコーダーがズラリと置かれると「おおっ」と驚いた。「朝ドラの影響力?まさに、これじゃないですか」と笑いを誘いながらも「こんなに話を聞いていただけるんだと思う反面、今までも同じ熱量で頑張ってきたのに…と悔しくもなりました」と率直な心境。街中でも「赤ちゃんを抱いたお母さんとか、おじいさんやおばあさんに『朝ドラ見ているよ』と言われるようにはなりました」と反響は大きいが「ただ、まだ名前は覚えてもらえていないみたいで。役者としては、役が知れ渡っているのが一番いいことなんですが、やっぱり僕はそこから抜け出せられないのかなと。“カメレオン俳優”じゃなく、カメレオンのまんま」と苦笑いして自虐した。

 ただ、それは最も影響を受けた英俳優ゲイリー・オールドマン(61)に通じる。「レオン」「ハリー・ポッター」シリーズや「ダークナイト」など作品ごとに別の顔になり「エンドロールまでゲイリー・オールドマンだと気付かない作品もあって、それぐらい役に染まりたいと思っているので、名前は覚えていただいていなくても役を知っていただいているのは、うれしさと寂しさ、半々ぐらいですかね」。第13週は山田が“メイン”。山田の顔と名前を覚える視聴者が一気に増えるに違いない。

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