【男優主演賞】「アンダードッグ」森山未來 ボクシングから学んだ…悲哀、本能、快感

【男優主演賞】「アンダードッグ」森山未來 ボクシングから学んだ…悲哀、本能、快感

男優主演賞を受賞しポーズを決める森山未來 (撮影・久冨木 修)

 ◇2020年(第75回)毎日映画コンクール各賞決定(2021年1月21日)

 2020年(第75回)毎日映画コンクールの各賞が21日、決定した。実際にあった事件をモチーフに母子の共依存関係の深層に迫った大森立嗣監督(50)の「MOTHER マザー」が日本映画大賞に輝いた。男優主演賞は「アンダードッグ」の森山未來(36)、女優主演賞は「喜劇 愛妻物語」の水川あさみ(37)が受賞。田中絹代賞には梶芽衣子(73)が選ばれた。表彰式は2月17日、東京・めぐろパーシモンホールで開催予定。 

 「モテキ」以来、10年ぶり2度目の戴冠。森山は「素直にうれしいです。賞を頂けることで映画に興味を持ってくれる人が1人でも増えて、映画館に足を運んでもらえればこんなにうれしいことはないです」と相好を崩した。

 14年の映画賞を席巻した「百円の恋」のスタッフが再結集し、再びボクシングをテーマに据えた「アンダードッグ」は前後編で4時間半近い壮大な叙事詩。日本タイトル戦で不運な敗戦を喫して以降、「かませ犬」などとさげすまれながらもボクシングに執着する末永晃を演じた。

 「寡黙な役柄なので、数少ない言葉をどう発するかも含め、負け続けながらもボクシングにしがみついてしまう人間の悲哀を体現するにはやっぱりボクシングしかなかった」と、撮影の1年前からトレーニングを始めた。元日本ランク1位という設定を重視。実戦的なスパーリングに多くの時間を費やし、クランクイン直前にはプロテストも受けた。

 「後楽園ホールのリングで初めましての相手と対じした時に、計算だけでは戦えないとはっきり分かりました。原初的な闘争本能が湧き上がってくる感覚、快感を通して、どうして末永がボクシングに病みつきになってしまうのかが見えてきた部分はありました」

 クライマックスでは、末永に憧れてボクシングを始めた大村龍太(北村匠海)との壮絶な戦いに挑む。後楽園ホールの客席には多くのエキストラも動員され「観客が自然発生的に興奮している。見る側もやる側も血がたぎる、共犯関係のようなボクシングのエネルギーを感じました」と満足げに振り返る。

 5歳からダンスを始め、10歳からは演劇の舞台にも立って表現の可能性を追求してきた。映画に携わることも「凄く至福な時間」という。その上で「表現世界を隔てているわけではなく、全ての場所に身を置きたいわがままな欲望があるので本当に体が足りない。それでも、映画であれ、ほかのものであれ、真摯(しんし)に関わっていくということを肝に銘じなければならないと改めて思います」とさらなる意欲を見せた。(鈴木 元)

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