【おかえりモネ】東京編でキーパーソン演じる「今田美桜」に“新CM女王”という期待

【おかえりモネ】東京編でキーパーソン演じる「今田美桜」に“新CM女王”という期待

今田美桜

 この夏、にわかに注目度が上がっているのが、女優の今田美桜(24)である。7月9日公開でヒット中の映画「東京リベンジャーズ」のヒロイン・橘日向を演じる一方、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月〜土曜午前8時)の同19日からの新章・東京編で気象予報士の神野マリアンナ莉子に扮している。その魅力と将来性は?

「東京リベンジャーズ」は主人公の花垣武道(北村匠海、23)がタイムリープを繰り返すというSF要素が含まれているものの、高校生たちが友情のためにケンカ三昧の日々を送る王道のヤンキー映画。武道は弱虫で見かけ倒しのヤンキーだが、今田が演じる日向はそう思っていない。

「武道くん、君は弱くなんてないよ」(日向)

 精神的に強いと言っているのである。だから武道が敵対するヤンキーに腕力で負けてコテンパンにされようが、見捨てない。何があっても応援する。それどころか、将来にわたって愛することを誓った。

 いつの時代であろうが正統派と呼べるヒロインだ。武道もまた日向のために命を賭ける。

 上映中、日向の顔が何度かドアップになるので、テレビ画面で見るのとは少し違った今田の魅力に触れられる。

 共演は無敵のヤンキーに扮する吉沢亮(27)、やはり化け物のように強い男役の山田裕貴(30)ら。人気者ぞろいである一方、ほぼ男性陣一色だから、今田にとってはオイシイ役柄にほかならない

 一方、「おかえりモネ」で演じる神野マリアンナ莉子もある種、オイシイ。この朝ドラは7月16日までの前編(登米・気仙沼編)には悪人も嫌な人も一切出てこなかったのだが、どうやら莉子は少し困った人らしいからだ。気丈で上昇志向が強い。その分、出演陣の中で埋没せず、目立つはずだ。

 なぜ「マリアンナ」莉子なのかは不明。近年、ハーフやクォーターのキャスターが増えているから、そうしてみただけなのか? ちなみに今田自身はハーフでもクォーターでもない。

 莉子は気象キャスター・朝岡(西島秀俊、50)の代打としてJテレのニュース番組の天気コーナーに登場することになった。普段は中継リポーターを務めているものの、初めてキャスターを務めることになったのだ。

 原稿等は全て朝岡が準備してくれたが、大張り切りの莉子は自分で原稿を書くという。

「私が話すんですから、私が書いたほうがいいと思うんです」

 結局、原稿は莉子が書き、リハーサルもつつがなく終了した。準備万端。だが、本番直前に大きなニュースが飛び込んで来てしまい、天気コーナーは大幅に短縮。莉子の出番ははかなくも消滅した。

 それでも笑顔を絶やさなかった莉子。局内の自販機コーナーで会ったモネにも「お疲れさま」と微笑んだ。しかし、缶コーヒーを2口ほど飲むと、「あーっ、あーっ、やってらんない」と、オッサンばりに呻いた。もちろん笑顔は消えていた。落差が激しくて愉快だった。

 莉子は将来、報道キャスターになりたいという野望を秘めている。現時点では上昇志向というものがまるでないモネと今後どんなやり取りをするのか興味深い。

 今田の朝ドラ初出演で、こうコメントしている。

「莉子は、ハッキリしていて、器用なようで、不器用なような、かなり素直で正直な子だなと思います。莉子の頑張りに私も元気をもらいます。そんな可愛く、愛嬌たっぷりの気象予報士、莉子がスタッフ・キャストの皆さまと一緒に、成長できたらと思ってます!」(※1)

 莉子は東京編のキーパーソンの1人になるだろう。


■観光ポスターをきっかけにスカウト


 話題の映画が公開中で朝ドラが放送されている今、SNSに目を落とすと、「今田美桜ちゃん、かわいい」という言葉が数珠つなぎのように並ぶ。

 それも不思議ではない。メジャーデビューした際のキャッチフレーズが「福岡で一番かわいい女の子」だったのだ。今田が19歳、2016年のことだった。「かわいい」は今田の武器なのである。

 地元の福岡市内で芸能活動を始めたのは県立高校2年生だった2014年の時。市内のモデル事務所にスカウトされ、まず観光客向けのPRビデオや同ポスターに登場する。高3時には地元テレビ番組にレギュラー出演するように。卒業後も地元に留まった。

「東京に行きたい気持ちもあったんですが、行ってどうしたらいいのかもさっぱり分からなくて、ちょくちょく東京でオーディション受けに行ったりしていて、落ちて帰ってきたり、受かってお仕事して帰ってきたりとか。そういうことをしていて『これでいいのか』というのはずっとありました」(※2)

 そんな時、今田が登場していた観光ポスターをたまたま目にしたのが、現在の所属事務所スタッフ。すぐにスカウトされ、上京することになった。2016年、19歳の時だ。

 それから約5年。大きな特徴はCMの多さだ。かわいらしさと清潔感がスポンサーにとって魅力的らしい。第一生命保険、P&G、みずほ銀行、楽天モバイル、リクルート、AOKI、コーセー、第一三共ヘルスケア、集英社、CJ FOODS JAPANの10社と契約中だ。

 この数は「2021年上半期タレントCM起用社数ランキング」(ニホンモニター)で3位。これまでスキャンダルと無縁だったこともスポンサーが好感を抱く大きな要因だろう。

 キャリアはそう長くないが、実は演技力も早くから認められていた。LGBTの親友を好奇の目から守り抜こうとする女子高生に扮した初主演映画「カランコエの花」(2018年)で高い評価を受けた。

 この映画は「京都国際映画祭2017/クリエイターズ・ファクトリー」でグランプリに輝くなど映画祭で10冠を獲得。今田は未成熟な女子高生の複雑な心象風景を表情で表しきった。

 昨夏に放送された「半沢直樹」(TBS)で、東京セントラル証券のOL・浜村瞳役を好演したのはご記憶のはず。瞳は入社2年目の溌剌としたOL。半沢直樹(堺雅人、47)にとって頼りになる部下だった。このドラマは一部で「職場での女性の活躍場面が少ない」と批判されたが、その中で確かな存在感を示した。


■CMと主演ドラマの関係


 ドラマの主演作はまだない。だが、時間の問題だろう。CMが多いことが大きい。民放がCMを獲得しにくくなっている今、ドラマに主演するにはCMに多く起用されているほうが圧倒的に有利だからだ。企業がドラマのスポンサーになってくれる。

 スポンサーとしてもドラマの合間に主演俳優や女優のCMを流せたら、宣伝効果がより期待できる。例えば今田の主演ドラマが実現し、10社のうち1社がスポンサーになったら、今田の顔がCMでも映されるわけだ。

 現在、放送中の「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」の場合もそう。放送延長の部分を、主演の鈴木亮平(38)をCM起用しているKIRINなどがスポンサーになっている。

 また朝ドラの助演から主演の座を掴む役者が多いのは知られている通り。「おかえりモネ」のヒロイン清原も2015年度後期の「あさが来た」と2019年度前期の朝ドラ「なつぞら」で助演している。

 一方、「東京リベンジャーズ」を制作したのはフジテレビ。大ヒットした暁の今田へのご褒美は主演ドラマではないか。

※1 NHK公式ホームページ
※2 スポーツ報知2000年5月8日付

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月23日 掲載

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