「片岡仁左衛門」「坂東玉三郎」38年ぶりの共演はなぜ実現した? 歌舞伎の収益低下が影響

「片岡仁左衛門」「坂東玉三郎」38年ぶりの共演はなぜ実現した? 歌舞伎の収益低下が影響

起死回生のビッグ共演(左から玉三郎と仁左衛門)

 全国的にコロナ禍が続く中、東京・東銀座の歌舞伎座界隈は活況を呈している。

「27日まで「九月大歌舞伎」が上演中ですが、3部構成の中でも、片岡仁左衛門(77)と坂東玉三郎(71)の二人が顔を揃えた演目が大盛況なんです」

 と言うのは芸能記者。

「第1部の中村芝翫(しかん)(56)による『お江戸みやげ』と『須磨の写絵』はとにかく空席が目立つ上、続く松本幸四郎(48)が主演を務める第2部『近江源氏先陣館』と『女伊達』は、開幕直前に出演者にコロナの感染者が出て6日まで公演中止に追い込まれた。対照的に、人間国宝の仁左衛門と玉三郎が共演する第3部の『東海道四谷怪談』は、連日、満席という状態です」

 言わずと知れた、お岩とお袖の姉妹を巡る怪談話。仁左衛門がお岩の夫・民谷伊右衛門を、玉三郎がお岩という配役だ。

「この演目で二人が共演するのは実に38年ぶり。8月に発売されたチケットは、瞬時に完売したそうです」

 仁左衛門は長らく本名の「孝夫」を名乗っていたことから、かつての二人は「孝玉コンビ」として親しまれた。が、1998年に孝夫が十五代目片岡仁左衛門を襲名。以降は共演の機会が減っていた。

「コンビ復活の理由は収益の悪化。歌舞伎座は昨年8月から公演を再開させましたが、感染症対策でいまも演目は減らしたまま。ならばと今年4月と6月、36年前に孝玉コンビで人気を博した『桜姫東文章』を上演したところ、これが大ウケ。つまりは二匹目のドジョウを狙ったワケです」

 会場では当時のポスターが復刻され、来春にはシネマ歌舞伎での上映も。“ドル箱”のブーム再来だが、さる歌舞伎座関係者の表情は沈んだまま。なぜなのか。

「十三代目團十郎襲名を控えた市川海老蔵(43)や、テレビドラマ『半沢直樹』での怪演が話題を呼んだ市川猿之助(45)も集客力はありますが、仁左衛門と玉三郎には及びません。この苦境下、合計148歳という二人の大御所に頼り切りという状態で、歌舞伎界の将来を考えれば、とても喜んでばかりはいられません」

「週刊新潮」2021年9月16日号 掲載

関連記事(外部サイト)