「行列のできる法律相談所」から“法律”がなくなる……不可解なリニューアルの真実

「行列のできる法律相談所」から“法律”がなくなる……不可解なリニューアルの真実

「行列のできる法律相談所」(日本テレビ公式HPより)

 日本テレビは、10月改編で放送20年目となる「行列のできる法律相談所」のリニューアルを発表した。変更点は番組タイトルのみで、なんと“法律”を外すという。法律バラエティから、番組の柱である法律を外してどうするのか、と思ったら、実際はなーんにも変わらないという宣言なんだとか。

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 日本テレビの田中宏史編成部長は「行列」のリニューアルに際し、こう説明したという。

「節目となるこの年に、法律だけでなく、旬な話題を幅広く扱う王道のエピソードトークバラエティ目指して、より内容をパワーアップするべくタイトルを変更いたしました」

 エピソードトークバラエティ?

 もともと「行列」は、誰にでも起こりうる身近な法律的な悩みを再現ドラマにして、“史上最強の弁護士軍団”が法律的見解で答える法律バラエティだった。キャラの濃い弁護士たちが人気となり、そこに島田紳助のトークが加わることで高視聴率を獲得してきた。ところが近頃は、法律問題はどこかに追いやられ、トーク番組となっていることにお気づきの方も少なくないだろう。

 それが証拠に現在の番組タイトルは、「行列のできる相談所」の左肩に、小っちゃく“法律”の文字が乗っているだけなのである。密かにリニューアルは進行していたということだろうか。日テレ関係者は言う。


■何も変わらない


「要はタイトル以外、何も変わらないということです。視聴者からは“ためになる法律ネタを放送してほしい”“くだらないトークばかりでつまらない”といった声が、かなり寄せられているそうです。一方で『行列』が放送されている日曜21時は、ここ数年、ウラ番組の“日曜劇場”(TBS)が安定した高視聴率を獲得しています。下手な企画変更は避けたほうがいいと考えたようです」

 視聴者の声を反映して法律ネタを復活してみればいいのではないか。

「法律相談のウエイトが減ってきたのは、実は今に始まったことではありません。初代所長(MC)の島田紳助さんの頃から、彼のトーク中心に変わってきていたのです。『行列』は特番としてスタートしていますが、当時から紆余曲折の歴史があったのです」

 2000年3月26日、「行列」は特番として放送されたのが始まりだった。


■フジとの激突


「当初から所長は紳助さんで、番組タイトルは『実録バラエティ 行列のできる法律相談所』でした。日曜の昼(13:30〜)に放送されたにもかかわらず、視聴率11・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)を獲得したため、第2弾はこの年の12月9日土曜19時のスーパースペシャル枠に昇格、タイトルは『芸能人VS弁護士軍団 絶対に訴えてやるゾ!!大爆笑!法律バトル』に改め、視聴率は16・3%に。以後、01年5月の第3弾は17・8%、10月の第4弾で21・7%とトントン拍子に数字を伸ばしました」

 この直後、思わぬトラブルが発生する。

「01年10月19日、フジテレビがみのもんたさんをMCに『ザ・ジャッジ!〜得する法律ファイル』という番組をスタートさせました。これが『行列』と同じ、再現ドラマを見て法律家が答えるという作りであったため、日テレが“パクりだ!”と激怒。日テレの“T部長”こと土屋敏男編成部長(当時)がフジに抗議と8項目からなる質問状を内容証明郵便で送りつけたことで、全面戦争と報じられました」

 当時は民放トップの座を巡り、日テレとフジが激突していた時代である。


■「行列」レギュラー化


「抗議を受け流すフジに対して、日テレは12月15日に放送した第4弾の再放送の最後のナレーションで“最近類似した番組が作られている。番組が番組を訴えるかも……”と挑発。法律バラエティどころか裁判に発展しかけない熾烈な戦いをしていました」

 もっとも、法律バラエティの元祖は、85年から続く、“四角い仁鶴がまぁ〜るくおさめまっせ”の「バラエティー生活笑百科」(NHK総合)という声もある。身近な法律相談を漫才で再現して法律家が答えるというコンセプトは今も変わっていない。

「日テレは02年4月、『行列』を日曜21時枠でレギュラー化しました。それまで関口宏さんが司会を務め人気だった長寿番組『知ってるつもり?!』(89年10月〜02年3月)を打ち切りにして、鳴り物入りでスタートしました。初回の視聴率は18・1%で、前々日に放送された『ザ・ジャッジ』(12・5%)に圧勝しました」

 祝着至極だが、この時、すでに番組タイトルで揺れたというのだ。


■内部でスキャンダル続き


「日曜21時という枠はテレビ局にとっての“顔”です。提供スポンサーのCM価格も、1週間で一番高く設定されています。レギュラー化当初、番組タイトルは『絶対に訴えてやる!行列のできる法律相談所』だったんです。ところが、提供スポンサーが訴訟を抱えており、タイトルを変えないとスポンサーを降りる、という問題が発生しました。営業担当者は大スポンサーに降りられては大変ですから、番組プロデューサーを説得し、現在の『行列のできる法律相談所』となったのです」

 それでも、完全に消えたわけではなかった。

「新聞のラテ欄からは“絶対に訴えてやる!”の文字は外れました。しかし、番組関係者はあくまで“法律”をテーマにしたバラエティ番組であることを打ち出したいため、MCの背景に設置した大型モニターには“絶対に訴えてやる!”という画像を残しました。それがなくなったのは2018年7月です」

 最近まで残っていたというのだ。そこから「行列のできる法律相談所」は、“法律”の文字が移動して小さくなり、今度はそれもなくなるというわけだ。

「その間も紳助さんには暴力事件もありましたし、11年8月には芸能界を引退してしまうなど、様々なトラブルを抱えてきたのが『行列』でした。紳助さんの穴を埋めるために、芸人たちが週替わりでMCを担当する方針になりましたが、そこからもアンジャッシュの渡部建、雨上がり決死隊の宮迫博之というスキャンダルを抱えながらも、生き続けてきたわけです。番組スタッフも、そう簡単に番組の方針は変えられないと考えているのでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年9月19日 掲載

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