あばれる君、4年前の嫌われ方が嘘のよう 今やバラエティに欠かせない存在になったワケ

あばれる君、4年前の嫌われ方が嘘のよう 今やバラエティに欠かせない存在になったワケ

あばれる君

 今、最も人気のある芸人は誰か──「日経エンタテインメント!」7月号で「タレントパワーランキング2021」が発表された。「お笑い芸人」部門では、どんなランキングになっているのか見てみよう。

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 ネットメディア「日経クロストレンド」は同誌のランキングを元に、「千鳥3位、かまいたち急伸 いま最もパワーがある芸人とは?」の記事を8月24日に配信した。

 それによるとトップはサンドウィッチマン。その後に千鳥、内村光良(57)、タモリ(76)、明石家さんま(66)が続くというランキングだった。

 ところが、バラエティ番組の制作スタッフによると、「今、最もコア視聴率を取れる芸人となると、違う人の名前が出ます」と言うのだ。

 コア視聴率とは民放各社によって微妙に定義は異なるのだが、「中学生から50歳くらいまでの視聴者に限定した視聴率」と理解すれば間違いはない。

「コア視聴率を取ろうとすれば、家族みんなで見る番組を制作するのが最も近道です。民放キー局はどこもクイズ番組に力を入れています。子供も親も一緒に楽しんで視聴してくれるという期待があるからです」(同・スタッフ)

「日経エンタテインメント!」のランキングに登場した売れっ子・大物芸人も、ファミリー層を筆頭に広範な視聴者から支持を受けているのは間違いない。


■子供に人気の理由


「ところが、親ではなく子供の側から見てみると、あばれる君(34)の人気が非常に高いのです。親世代にとっては『顔も名前も知ってはいるけど、どんなネタをやっているのかも知らない芸人』でしょう。ところが子供は大好きで、テレビ業界でも今や『ゴールデンのバラエティに起用すれば、コア視聴率が取れる』と言われています」(同・関係者)

 あばれる君が子供に人気なのは、2本の番組が大きな影響を与えたと考えられる。「おはスタ」(テレビ東京系列・平日・7:05)と、「ポケモンの家あつまる?」(同・日・8:00)だ。

 前者では2016年4月から木曜レギュラーを担当していたが、今年2月に番組を卒業した。絶大な人気を誇る「子供向け情報番組」で、5年近く活躍したことになる。若年層における知名度の上昇に大きく寄与しただろう。

 後者のメインMCは中川翔子(36)。あばれる君は、ヒャダイン(41)や大谷凜香(21)と共にレギュラー陣の一員として番組を盛り上げる役どころだ。

「そもそも、あばれる君は駒澤大学法学部の学生だった時、大学生のアマチュアお笑い選手権で特別賞を受賞しました。これが評価され、ワタナベコメディスクールに特待生として入学したのです」(同・関係者)


■“イジられ芸人”でブレイク


 大学やスクールを卒業すると、そのままワタナベエンターテインメントに所属した。そしてプロ芸人として活動を行っていく。

「初期は『熱血ひとり芝居』という、暑苦しい男が空回りするネタをやっていました。2015年にR-1グランプリで決勝に残ったことで注目されるようになり、徐々にテレビ出演が増えていきます。芸名とスキンヘッドは、なかなかのインパクトです。これにテンパり気味のキャラクターと、スタジオで空回りする芸風が評価されるようになりました。『桑田真澄に似ている』などと揶揄される、いわゆる“イジられ芸人”として存在感を高めていったのです」(同・関係者)

「好事魔多し」と言うが、あばれる君にも“落とし穴”が待ち構えていた。2017年、「日経エンタテインメント!」の「一番嫌いなお笑い芸人」が発表され、何と3位に選ばれてしまったのだ。ちなみに1位は石橋貴明(59)、2位は江頭2:50(56)だった。

「主な理由は『ネタがつまらない』、『キャラクターが嫌い』というものでした。あばれる君に投票した人の心理を推測すると、『何の芸もないのに、あんなにテレビに出ているのが不思議』というものだったでしょう」(同・関係者)


■人気の理由は教員免許!?


 人気が上向きだったが故に、“アンチ”の票が集中してしまったようなのだ。

 先に紹介した通り、あばれる君は2016年4月から「おはスタ」の木曜レギュラーに抜擢された。ここからたちまち、子供たちの人気を得ていく。

「あばれる君は中高の社会科教師の教員免許を持っています。これが子供の人気を獲得した理由の1つでしょう。学校の『面白い先生』を彷彿とさせる場面が少なくないのです。あばれる君は『一生懸命に頑張る』姿を見せることで子供たちを笑わせます。イジられて空回りしたり、体を張る時にガッツを見せるところも、『人気者の先生』、『クセの強い名物先生』というイメージに近いのです」(同・関係者)

 そうした芸風は親にとっても、子供と一緒に安心してテレビを見られる芸人ということになる。あばれる君がトークで他の芸人を揶揄したり、傷つけたりして笑いを取るようなことはない。

 子供向け番組で、テレビ業界に橋頭堡(きょうとうほ)を確保したあばれる君に、更に追い風が吹く。バラエティ番組「アイ・アム・冒険少年」(TBS系列・月・19:00)で注目を集めたのだ。


■伸びしろはたっぷり


「番組は15年から深夜番組としてスタートしました。最初は苦戦しますが、あばれる君が無人島から脱出する企画が当たりました。彼の一生懸命な芸風が、火を熾(おこ)したり、食料を調達したり、寝るところを確保したり、という場面とマッチしたのです。ゴールデンで特番が放送されると、TBSには『あばれる君が好きになった』という声が寄せられたそうです」(同・関係者)

 20年に月曜午後9時放送とゴールデンに進出。今年4月からは月曜午後7時となり、よりファミリー層を意識した時間帯に繰り上がった。

「『やりすぎ都市伝説』(テレビ東京系列・不定期特番)、『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』(同・月1回月曜・18:30)にも不定期で出演するようになりました。今後も仕事は増え続けると思います。会議で『run for money 逃走中』(フジテレビ系列・不定期特番)のようなサバイバル系、ゲーム系の番組企画について議論していると、必ず名前が挙がります。体力系のロケやドッキリもリアクションが期待できます。Eテレなどの教育的な番組もこなせるでしょう。イメージとは違い、実は引き出しの多い芸人なのです」(同・関係者)

 関係者は「正直、昔は一発屋で終わると思っていました」と苦笑する。だが、伸びしろは山のようにある。あばれる君の快進撃は、まだ始まったばかりのようだ。

デイリー新潮取材班

2021年9月20日 掲載

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