お酒、プレゼント、パーティー… 大木凡人が語る「おひとりさま」生活に必要なモノ

お酒、プレゼント、パーティー… 大木凡人が語る「おひとりさま」生活に必要なモノ

大木凡人

おひとりさま生活で大事なこと。それは何をおいても健康です。

 2015年1月、私は自宅のトイレで突然の激痛に襲われました。身体全体がバリバリと引き裂かれるような、それまでに経験も、想像もしたことがない痛みで、人生で初めて「ギャーッ」と絶叫したほどです。大動脈解離でした。

 119番するために、リビングに置いてあった携帯電話を取りに行くのもままならず、叫びながら壁伝いに這うようにして、どうにか辿り着いたほどです。病院に搬送され、何とか一命は取り留めたものの、心臓のすぐ近くにある大動脈が60センチも裂けていました。

 若い頃から太気拳や琉球空手をやっていて、体力には自信がありました。そんな私を襲った大動脈解離。下手をしたら、救急車を呼べないでそのまま死んでいたかもしれない。その時点で、女房と別れて10年ほど経っていましたが、この時ほどひとり暮らしの怖さを感じたことはありません。おひとりさまは自由で気ままに過ごせますが、健康あってこそのものなのだと実感させられました。

 以降、お医者さんの指導もあって、健康には気をつけています。あくまで私なりに、なのですが……。

 現在76歳、野菜をたくさん食べて、水をいっぱい飲むようにし、1日最低5千歩は歩くようにして、お酒を飲み過ぎないように心がけています。

 ビール、焼酎、日本酒にワイン。何でもござれの大の左党なのですが、大動脈解離をやって以来、酒量をセーブするようになりました。とはいっても、以前は毎晩7、8軒はしごしていた軒数を減らしたり、何とか休肝日を作るようにしているといった程度なのですが、自分なりに気をつけるようにはしています。


■楽なんですが、でもね…


 本当はお酒を完全にやめたほうがいいのかもしれません。でも、私は愛媛の漁師町出身で、小学生の頃からビールを飲み始めたほど、お酒は人生の一部になっています。それに、もし断酒してしまったら、おひとりさまの「もうひとつの問題」が大きくなってしまうと思うんです。

 ひとり暮らしは、誰に気兼ねすることなく、どんな体勢でテレビを観ても怒られないし、お腹がすいた時にいつでも食事ができるから楽なんですが、でもね……やっぱり寂しいんですよ。

 ひとりでいることのストレス。この問題を解決するために、人と人との付き合いは欠かせません。腹を割って話して仲良くなるには、これはどうしたってお酒を飲まないと始まらない。馴染(なじ)みの店に行って、酒を酌み交わしながら人とコミュニケーションをとる。私にとって、これに勝るストレス解消法はありません。

 一方で酒はトラブルのもとでもあります。ですから、店に行っても長居はせず、イヤな雰囲気だったらすぐに河岸(かし)を変えるのがポイント。


■初対面同士でゲームをした後に遊園地へ


 あとは、気の合う人と出会い、その縁をつなぐために私が大切にしているのが「プレゼント」。高価なものでなくていいんです。例えば九州に行った時に、美味しいアジの干物を見つけたのでそれをプレゼントする。こうやって人と人との縁をつないでおいて、寂しくならないようにする。そうしてできた関係の中には、気軽にお茶を飲めるガールフレンドも何人かいます。

 他には、「パーティー」に参加するようにもしています。見ず知らずの年寄りが7、8人集まって、「上海(シャンハイ)」という麻雀ゲームをやる会があるんです。で、ゲームをした後に、初対面同士で食事をして、その後に遊園地に行って一緒にアトラクションに乗ったりする。

 ゲームで頭を使うこと自体もそうですが、みんなでワイワイやることも脳の活性化につながっているんじゃないかと感じます。

 人と会い、会話することが脳の回線をつないでくれるとでも言えばいいのか、やっぱり人は喋らないとダメ。ひとりで家に閉じこもっていたら人間終わりです。

大木凡人
司会者。1945年生まれ。83年の歌謡バレエティ番組「街かどテレビ11:00」の出演を機に、司会・レポーターとして活躍。映画に出演するなどタレント業も。現在、日本司会芸能協会の名誉会長を務める。

「週刊新潮」2021年9月30日号 掲載

関連記事(外部サイト)