「ワイド!スクランブル」視聴者質問偽装、BPO入りで浮き彫りになったテレビマンの苦悩

「ワイド!スクランブル」視聴者質問偽装、BPO入りで浮き彫りになったテレビマンの苦悩

「大下容子ワイド!スクランブル」公式サイトより

 テレビ朝日の「大下容子ワイド!スクランブル」で、視聴者からとして放送していた質問は番組スタッフが作ったものだったという問題が再燃している。11月12日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めたのだ。確かに視聴者を装った質問は問題ではあるが、テレビマンたちは今後どうすべきか苦悩しているという。

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 大下容子アナが番組内で謝罪したのは、10月21日だった。

大下:ここで視聴者の皆様にお詫びがございます。番組ではこの時間に視聴者の皆様から番組にお寄せいただいた質問をご紹介して参りました。その質問内容を番組スタッフがあらかじめ用意し、視聴者の皆様からの質問であるかのように放送していたケースがありました。本当に申し訳ございませんでした。

――さらに佐々木亮太アナが詳しく経緯を説明したのち、

大下:番組を信頼してご覧いただいている皆様に、大変申し訳ない思いで一杯です。二度とこの様なことが起きないよう再発防止を徹底します。失ってしまった信頼を取り戻すべく、一日一日の放送を、より真摯に行って参ります。

 どんな内容の質問だったのかは具体的に触れられなかったが、質問は今年3月以降に放送された535問のうち約2割の117問に上ったという。確かに多い。

 さらに10月26日のテレ朝・亀山慶二社長の定例会見でも、この問題が取り上げられた。

亀山:今回の不適切な演出は、番組への信頼を大きく損ねる許されない事案であり、視聴者の皆様、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。


■SNSでは袋だたき


 局を挙げての平謝りと言っていいだろう。その上で、番組のチーフプロデューサーとプロデューサーに減給1カ月、管理監督責任として情報番組センター長に譴責(けんせき)の処分を行った、とも発表された。そしてBPOの審議入りである。民放ディレクターは言う。

「確かに常習的に行われていたのでしょう。関わったスタッフは処分されましたし、番組の質問コーナーもなくなりましたからね」

 SNSでは、BPO審議入りの報道について以下のような声が少なくない。

《○○さんからの質問です。やらせ? よくやるわぁ! このMC恥ずかしくないのですかねぇ #ワイドスクランブル》

《テレビ朝日の番組の歴史で、実にやらせは多いが、それは発覚すると、番組はなくなっていたが。それが製作者の給料カットだけとは、ワイドスクランブル。ああー。》

《テレ朝よ 捏造した局員による質問を全て公開せよ! どうせ政権批判、椿事件と同じ放送法違反だ明白になる筈。慰安婦、サンゴから何も学ばぬ腐ったテレ朝から免許を取り上げろ!》

 皆さん、お怒りのようだ。


■視聴者の質問がつまらない


「慰安婦問題とサンゴ事件は朝日新聞ですけどね。もっとも、『アフタヌーンショー』のやらせリンチ事件はじめ、テレ朝では過去に問題にされたヤラセは多い。けれど、今回の質問偽装がそれらと全く同列に語られるのも……」

 なんだか、歯切れが悪い。

「昔から『視聴者からの質問』を取り上げる情報番組は少なくありません。20年くらい前までは、情報番組に限らずバラエティ番組でも、『質問』『ハガキ』という演出が必要なときは、構成作家やディレクターが質問の文言を考えることがありました。番組を面白くするためにはごく普通のことでした」

 番組を面白くするため、と言われても……。

「実際に視聴者から届いた質問に、面白い内容やちょうどいい尺など、番組が使いたくなるようなものが少なかったからです。文章が変だったり、長すぎたり、インパクトがなかったり、わかりにくかったりと使いづらいものばかりなので、番組が用意したのです。それでも、10年くらい前からは“やはりそれはマズい”という人が増えて、“作り”はなくなりました。ですから、未だにやっている番組があったことには驚き、呆れています。ただ、手を加えることはあります。どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか、悩みどころです」

 今でも手を加えることはあるという。


■質問コーナーの変化に注目


「正確に言えば、加工するということです。例えば、100文字のコメントを50文字にするとか、“てにをは”や誤字などは直します。今回の偽装は完全にアウトだと思いますが、演出上どこまで許されるのか、いま一度考えるきっかけになったと思います」

 質問の加工を事前に注意されたことは?

「それはないですね。番組にとって面白い質問、有意義な質問、必要な質問ならば、多少の加工は演出の範囲内というのが正直なところです」

 今回、内部告発から問題が発覚したということだが、

「よっぽど不自然な質問でもなければ、視聴者が気づくことはありませんからね。質問を作ったチーフディレクターに日頃から不満を募らせていたスタッフが上司に訴えたようです。117問が作られたと聞くと確かに多いのですが、残りの8割は視聴者からの質問です。ボツになった質問をヒントに作られたものだってあるかもしれません。例えば、『コロナワクチンの3回目接種は本当に必要なんですか?』という質問が届いたとして、『2回目の接種で副反応に苦しみました。3回目も副反応が出るのが恐いです』と付け加えたら、それも偽装となってしまうのか」

 BPOはどういう判断を下すつもりだろうか。

「昔のテレビは、双方向という機能も、LINEもありませんでしたが、最近は“視聴者参加型”といったテレビの楽しみ方を推す番組が増えているので、視聴者目線を大切にする、視聴者コーナーを設ける情報番組が増えています。今回の問題を契機に、番組から突然質問コーナーがなくなったり、質問の文章が下手になったりするかもしれません。その時は、その番組も『ワイド!スクランブル』と同じようなことをしていたということかもしれませんね」

デイリー新潮編集部

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