三谷幸喜「Nキャス」MCの1か月通信簿 意外に喋らない理由をテレビ局スタッフが分析

三谷幸喜「Nキャス」MCの1か月通信簿 意外に喋らない理由をテレビ局スタッフが分析

三谷幸喜氏

 中日スポーツ(電子版)は4月27日、「『コメントは当意即妙』TBS社長 三谷幸喜・新MCを絶賛『初心者マークはもういいんじゃないですか』」の記事を配信した。

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 この日、TBSの定例社長会見が開かれた。佐々木卓社長(62)は、「情報7daysニュースキャスター」(同・22:00)でMCを務める脚本家の三谷幸喜氏(60)について、次のように高く評価した。

《「彼のコメントはみんなを振り向かせると思いきや、笑わせるような当意即妙で、安住アナとの掛け合いも面白くて楽しみにしています」》

 三谷氏は、ビートたけし(75)の後任MCとして、4月2日からレギュラー出演している。担当記者が言う。

「テレビ業界では『たけしさんが辞めれば『Nキャス』も終わる』という声もあったほど、番組での存在感は傑出していました。たけしさんが卒業の意向を発表した際は、『後釜になれる、“同等”クラスの芸能人なんていないだろう』と、MCのキャスティングを不安視する向きも業界内では少なくありませんでした」

 三谷氏の名前が発表された際、業界では「斬新な人選」と好意的だったという。TBSとしては「してやったり」と喜んだに違いない。

 初出演から約1か月が経過した会見で、社長の絶賛もむべなるかな──と書きたいところなのだが、意外にもSNS上では好意的な意見ばかりではないのだ。


■視聴率も不振


 論より証拠。Twitterで三谷氏を批判する意見を、具体的にご紹介しよう。

《三谷幸喜嫌いじゃないんだけど…やっぱりビートたけしだよなー居なくなって気付く存在感…》

《三谷幸喜ってほんまコメントもせんとただ座ってうなずいてるだけだよなギャラ泥棒やし必要ですかね》

《三谷幸喜ってマジでフリートークのセンスゼロよな》

 TBSトップの見解と、Twitterの感想は合致していない。ライバル民放キー局で、番組制作に携わっているスタッフは、「Nキャスの視聴率(註)は伸び悩んでいます。SNSの不評が裏付けられている格好です」と言う。

「たけしさんが出演した最後の4回で、視聴率は15・2%、13・8%、15・4%、12・1%でした。最終回だけが不振だったのは、2時間18分の拡大版が失敗したからでしょう。ニュースそっちのけで名場面を振り返ったのですが、視聴者には不評でした。一方、三谷さんが登場してからは、12・5%、12・1%、11・0%、12・1%、13・0%と、1〜2%ほど下がっています。たけしさんの“穴”を、三谷さんが埋められていないことが分かります」


■MCとして機能不全?


 4月30日の視聴率だけが13%と上昇した。これは23日に知床の観光船が沈没した影響が大きいようだ。

「三谷さんは番組で、『コメンテーターではなく、総合司会』と発言したこともあったように、『MC』という立ち位置を強く意識しているようです。ならば、もっと番組で喋らなければなりません。特に知床のニュースは視聴者の関心が高く、テレビ朝日の『報道ステーション』(平日・21:54など)も視聴率を伸ばしています。視聴者は三谷さんの感想を知りたがっているのに、何もコメントしてくれませんでした。“無口”の傾向がTwitterで『つまらない』と批判されている原因だと思います」(同・スタッフ)

 喋るべき場面と、喋る必要のない場面が、あべこべになっているという印象も受けたという。

「4月30日の放送は、GWで鎌倉が賑わっているというニュースから始まりました。もちろん三谷さんが『鎌倉殿の13人』(NHK総合など・日・20:00)で脚本を担当していることに引っかけたのでしょう。面白いと思った視聴者もいたでしょうが、時間を計ってみたら4分47秒もありました。ちょっと長すぎます。後半は『知床のニュースを知りたい』とイライラした人も多かったはずです」(同・スタッフ)


■たけしの“箴言”


 ようやく知床の続報が始まっても、三谷氏の発言は極めて少ない。

「弁護士の菊間千乃さん(50)がコメンテーターで、業務上過失致死罪で立件される可能性について解説していました。ただ、視聴者が求める内容ではなかったと思います。たけしさんなら何と言ったか。社長の土下座を批判したのか、人間には避けられぬ不運があると呟いたのか、いずれにしても、視聴者の心に響く一言を発してくれたはずです」(同・スタッフ)

 日本人は、“長老の箴言”を大切にする文化がある、とも言われている。「Nキャス」における、たけしのポジションが、まさにそうだった。

「たけしさんは、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』というギャグでスターになりました。笑えるだけでなく、たけしさんの言葉には“真実”があります。三谷さんと同じ脚本家でも、市川森一さん(1941〜2011)や、ジェームス三木さん(87)のコメントは、視聴者から好評でした。文学者なら柴田錬三郎さん(1917〜1978)、遠藤周作さん(1923〜1996)、栗本薫さん(1953〜2009)といった方々が印象に残っています。皆さん『電波芸者』という役割を楽しんでいました」(同・スタッフ)


■意見を述べない三谷氏


 三谷氏も才能あふれる脚本家、文筆家であるのは言うまでもない。視聴者を感心させるコメントなど朝飯前のように思えてしまうが、実際はそうではない──ようなのだ。

「4月30日の放送では、他にも視聴者の関心が高いニュースが目白押しでした。山梨の女児行方不明事件に関連して、頭骨の一部が発見されました。アメリカの閣僚2人がウクライナを訪問しました。ロッテの佐々木朗希投手(20)に球審が詰め寄るというアクシデントもありました。ところが、同じように三谷さんは何も意見を述べないのです」(同・スタッフ氏)

 番組は安住紳一郎アナ(48)が淀みなく進行していく。安定感は極めて高いため、番組としては充分に成立したという。

「ただ、物足りなさが残るのは事実ですし、そう思った視聴者の方々も多かったのではないでしょうか。最後に人気コミック『ゴールデンカムイ』の実写映画化のニュースで、少しだけ盛り上がりましたが、時すでに遅しでした」(同・スタッフ)


■TBSの“責任”


 スタッフ氏は、三谷氏の出演した番組に関わったことがあるという。その時のことを思い出すと、「さもありなん」という感想が浮かぶそうだ。

「つくづく思ったのは、三谷さんという方は『自分の興味があること以外は、全く興味がない人』であり、『空気を全く読まない人』だということです。私が関わった番組でも、三谷さんの趣味に走ったトークは脱線を重ねて収拾が付かなくなりました。一方のたけしさんが、ニュース全般に強い興味と知識を持っているのとは対照的です。三谷さんは脚本家としては天才でも、やはり報道・情報番組のMCやコメンテーターには向かないということかもしれません。TBSとしても、しばらくは厳しい状態が続くと思います」

註:ビデオリサーチ調べ、関東地区、リアルタイム

デイリー新潮編集部

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