韓国ドラマ「みんな見てるのにハマれない」問題 ハズレ作品を見極める方法を伝授

「キム秘書はいったい、なぜ?」「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」「その年、私たちは」など、評判が良い韓国ドラマは数多配信されているが、いざ見始めても「途中で飽きてしまって、最後まで見られなかった」という人も多いのではないだろうか。韓国在住で、韓国情報に関するブログ「One more Korea」を運営するMisaさんは、自分の好みに合わない“ハズレ作品”を避ける方法として、「ジャンル」理解の必要性を説く。

※本稿は、Misa著『韓国ドラマの知りたいこと、ぜんぶ』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


■自分にピッタリのドラマを選ぶには


 韓国ドラマ歴に関わらず共通する悩みは、やはり、「どうやって効率的に自分にぴったりのドラマを選ぶか?」ということではないだろうか。

「たくさんありすぎて、どれを観たらいいのかわからない……」という悩みや、おすすめされた作品を観たものの、あまり自分好みじゃなくて、「意外と当たり外れもあるんだよなあ……」という悩みを抱えている人は多いだろう。

 手当り次第に誰かのおすすめや、ランキングで上位の作品だけを視聴し続けると、自分には合わないハズレ作品を引いてしまう可能性も高い。

 自分にぴったりの作品に効率的に出会うためには、何よりも自分の好みを把握すること。そのためには、まずは韓国ドラマのジャンルを把握することが重要だ。ジャンルを理解すると、どんなタイプの作品が自分に合うか、合わないかが見えてくるからだ。「ドロドロ系」を例にとろう―――。


■ドロドロ系にも2つのタイプがある


 韓国ドラマのジャンルの中でも、最も刺激的で、好き嫌いが分かれやすいのが、日本ではよく「ドロドロ系」と呼ばれる作品たちだ。

 不倫や愛憎劇が扱われ、感情的な表現が多い作品ため、多くの人が日本の昼ドラのような作品をイメージするだろう。

 しかし、このドロドロ作品の中にも、じつは2つのタイプが存在する。ポイントは、現実的か?非現実的か?という点だ。

●マクチャン

 韓国では、不倫や愛憎劇を扱ったドロドロ系の中でも、非現実的な展開が続くタイプの作品を「マクチャンドラマ」と呼ぶ。

マクチャンドラマ:普通の人の常識と道徳的基準としては理解しにくい内容のドラマ。無理な状況、設定、絡み合った人間関係、不倫、出生の秘密など刺激的な素材で構成される。

 NAVER辞典には、上記のような定義づけがされ、極端な例だと、死んだはずの人が生き返ったり、昨日までいがみ合っていた人どうしが脈絡もなく突然恋人になったり……というような、いわゆる“ありえない展開”が次々と起こる。

 マクチャンドラマは、リアリティよりも、刺激的な内容で視聴者を引き込むことを重視している分、ハマってしまうと中毒性が高く、続きが気になってどんどん観続けてしまう。
 
作品例:「ペントハウス」「結婚作詞 離婚作曲」

●刺激系

 一方で、刺激的な展開はありながらも、非常に現実的なテーマを扱った作品が存在する。今回そういった作品を「刺激系」として分類した。

 刺激系はマクチャンドラマとは一線を画すものであり、言うならば「刺激の強いヒューマン・社会派ドラマ」である。もちろん、多少、現実的にはややオーバーだと感じる演出などもあるが、あくまでストーリー展開は、現実的な範囲で進んでいく。

 たとえば、「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜」は、上流階級の家族たちが主人公の物語で、刺激的なセリフや展開も多いが、韓国の激しい受験戦争を扱ったリアリティのある作品である。

 また、若き天才ピアニストと、その才能を見出した人妻との禁断の恋愛を描いた「密会」のように、非現実的にならない程度に、ロマンスを刺激的に描いた作品もここに分類する。

 なお、刺激系の作品では、韓国でも特に演技派と呼ばれる俳優が主演している作品が多い。こうした演技派俳優の、迫真の演技が見られるのも「刺激系」作品の見どころの一つである。

 日本での一般的な韓国ドラマの分類では、マクチャンと刺激系が混在していることが多い。違いをしっかり理解しておくことで、社会的メッセージのある「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜」をただの愛憎劇と誤解したり、マクチャンドラマに深いテーマ性を期待したりすることがなくなる。

 ドロドロ=すべて非現実的な昼ドラタイプと勘違いしている方がいたら、ぜひ刺激系の作品をこの機会に観てみてほしい。

作品例:「夫婦の世界」「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜」

■「自分の苦手」を把握すること


 ジャンルを理解することに加えて、効率的に良い作品に出会うために、もう一つ大事なポイントをお伝えしておこう。それは、自分に合わない作品を避けるために、「自分の苦手」もしっかり把握しておくことだ。

 韓国ドラマには、人によって好き嫌いが大きく分かれる要素が、おもに4つあると考えている。

□ロマンス(ラブストーリー)要素の比重
□ファンタジー要素の有無
□残忍・暴力的シーン
□感情を爆発させるドロドロ要素(愛憎劇・復讐劇など)

 これらは、これまで私が15年以上韓国ドラマをおすすめした結果、「途中で離脱してしまった」「ハマらなかった」理由として、最も多かった要素たちだ。

 たとえば、「ラブストーリーの比重が低くて物足りなかった」とか、「ドロドロした激しい感情表現が苦手だった」というように、視聴を妨げる要素になり得る。(逆に、ラブストーリーが含まれているのが苦手、という人もいるだろう)。

 苦手な要素が含まれているといくら俳優や内容が好みでも、それ以上、観続けるのを妨げてしまうほどのボトルネックになる。

 鑑賞する作品が増えるとともに韓国ドラマへの知見を得られたり、自分が年齢を重ねたりして、好きなタイプは変わってくることがあるが、この苦手要素はあまり変わらないことが多い。

 これまで観た作品の中で、なかなか視聴が進まなかった作品を思い出して、自分の苦手要素を確認してみよう。韓国ドラマをまだあまり観たことがない方は、過去に見た日本のドラマや映画で苦手だった作品を思い出すのもよいだろう。

 今後、作品選びの際にも、自分の苦手要素が含まれるかどうかについてチェックする習慣をつけるだけで、あなたにとってのハズレを引く可能性が低くなる。

 また、これは誰かに、おすすめ作品を聞く場合にも同様だ。「私、◯◯は苦手なんだよね」と付け加えるだけで、あなたの貴重な時間をムダにしてしまうリスクが格段に減る。

 反対に、あなたが誰かに作品をおすすめする場合は、その人の苦手を尋ねることも忘れないようにしよう。本書で紹介しているジャンル一覧をベースに、あなたも周りの友人達の好みや苦手を改めて把握しておくと、お互いに合った作品を紹介できるようになるだろう。

Misa
韓国在住K-dramaライター。2004年の韓流ブーム時に韓国ドラマに魅了され、ドラマを字幕なしで観られるまで韓国語をマスター。韓国旅行を繰り返したのち、ついには住みたくなり2018年に会社を辞めて渡韓。現在はソウルで会社員をしながら、韓国情報に関するブログ「One more Korea」で情報を発信している。
Twitter:@misam34

デイリー新潮編集部

関連記事(外部サイト)