ネットの“水着規制”でグラビアアイドルの受け皿になる「ファンティア」 利用者が魅力を語る

ネットの“水着規制”でグラビアアイドルの受け皿になる「ファンティア」 利用者が魅力を語る

ネットでは“肌色規制”が進んでいる

 イラストレーターやコスプレイヤーなどクリエイターを直接支援することができる「パトロンサイト」と呼ばれるサービスが近年、増加している。その中でも有名なサービスが「ファンティア」で、最近ではグラビアアイドルなど芸能人の新規参入も増えてきた。その実情について、実際に利用するグラドルたちを取材すると、ネットの肌色規制に対する“避難場”となっている一面も見えてきた。【徳重龍徳/グラビアアイドル評論家】

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〈ファンティアに写真アップしました。見てください〉

 グラドルたちのTwitterを見ていると、「ファンティア」という言葉を目にする機会が増えた。

「ファンティア」とは、同人誌などの漫画販売で知られる「とらのあな」を展開する株式会社虎の穴が運営するクリエイター支援プラットフォームで、利用者はプロ、アマ問わずに無料でファンクラブを開設することができる。ファンクラブを有料会員制にしたり、デジタル写真集などを販売し、収入を得る仕組みだ。

「パトロンサイト」とも言われる、こうしたサイトは近年国内でも増えている。中でも「ファンティア」のスタートは早く、2016年5月に運営が始まり、今年で6年目を迎える。累計登録会員数が前年同期比183%となる601万人(※2022年3月時点)となるなど、急成長を遂げている。

「ファンティア」はもともとタレント特化のサービスではなく、当初はイラストレーター、コスプレイヤーなど同人界隈の人たちが主に利用していた。グラビアアイドルの利用が増えたのは、新型コロナ以降だ。感染防止などを理由に、撮影会やイベントの自粛が相次ぐ中、水着姿を公開し稼ぐことができるファンティアは貴重な収入源となり、その流れが現在も続いている。また近年は事務所に所属せずフリーとして活動するグラドルも多く、個人で稼げる手段としても利用者を増やしている。


■“治安の良さ”も魅力に


『王様のブランチ』のレポーターを務めた、グラビアアイドルの平塚奈菜さんも、昨年10月にファンティアでファンクラブ「下町にある平塚荘へようこそ」を開設した。

「フリーになったタイミングで始めました。撮影会はコロナが気になって来られないというファンの方がいるので、ファンティアで発信できるのはいいですね。シンプルに収入源となるのはモチベーションにつながります。以前はライブ配信をやったこともあったのですが、性格的には合いませんでした。でも、ファンティアは続けられています。自分で撮り下ろし写真集のテーマを決めるのも楽しいです」

 平塚さんのファンクラブでは、無料から月額5000円までの4プランが用意されており、有料会員になれば撮り下ろしのグラビア写真や動画を見ることができる。デジタル写真集やサイン入りチェキなども販売されており、ファンティアには手数料として売り上げの10%を支払う仕組みだ。現在の利益は月に10万〜15万円程度だというが、収入だけでなく有料サービスならではの“治安の良さ”も魅力だという。

「Twitterは不特定多数が無料で見るものなので、変な人もいますが、ファンティアは私に興味を持ってくれる人が来てくれるので安心です。1番料金が高いプランには、イベントなど現場に足を運んでくれる常連のファンの方が入ってくれています。ファンティアでも無料の人の方が『もう少し露出してください』『水着で配信してください』と要求が多かったりします(笑)」

 平塚さんとは別の視点からファンティアを始めたグラドルもいる。3月に始めたAさんは匿名を条件に開設理由をこう語る。

「私のインスタグラムは海外の方のフォロワーが多くて、海外の方でもわかりやすいシステムがよかったんです。ファンティアは英語や中国語の翻訳機能もついているし、アリペイにも対応しているので、3月にほかのサービスから引っ越してきました」

 Aさんのグラビアは、日本内であればすぐ検索をして見つかってしまう。グラビア歴も長く、作品も多いため、国内では水着の希少性がそれほど高くはないが、海外では新鮮さを持って受け止められる。そこに勝機を見つけているのだという。

 ファンティアの担当者にも話を聞くと、これまで個人のタレントが利用することが多かったが、知名度が上がる中で利用者にも変化が出てきたという。

「以前は個人での利用が多かったんですが、最近は事務所単位など法人で利用するところも増えてきています。また所属するクリエイターに対し、インフルエンサーマーケティングで協力していただきたいという企業からの相談も増えていて、弊社でもお手伝いさせていただいています」(ファンティアの担当者)

 イラストからグラビア、音楽、小説などさまざまなクリエイターの創作の支援をしているファンティア。登録するクリエイターは実際、どのくらい稼いでいるのだろうか。

「トッププレイヤーであれば、およそ月100万円以上から。中にはそれ以上の方も出ています。月額の支援が多いですが、最近ですと単品の商品販売や、コンテンツの販売、さらにコミッションというクリエイターさんにユーザーさんがリクエストをして、それに対し応えるサービスで月額の支援とは別に支援を集める方も多くいます」(同)


■背景にグラドルの苦境


 コロナ禍で増えたグラドルのファンティア利用だが、その利用をさらに加速させているのが年々厳しくなるネット上の水着の規制だ。既にYahoo!ニュースなどのポータルサイトの多くでは、水着写真の掲載はNGとなっているが、こうした規制の流れはSNSやYouTubeにも広がっている。特に今年に入りTwitterでは、水着写真でのアカウント凍結やシャドウバン(凍結されないものの、検索などから排除される)などが相次ぎ、グラドルやコスプレイヤーなどを悩ましている。

 こうした他サービスではできなくなりつつある表現の受け皿にファンティアがなっている。

「各種SNSで配信されている方が、そこの規制が少し強いので、少しアダルトな内容のものはファンティアを使うという流れが増えてきています。YouTubeは表現規制の基準が海外ですが、われわれは国内のプラットフォームということで、国内の法令をあくまで遵守する形でやらせていただいている」(先の担当者)

 ファンティアでは、水着などだけでなく、成人コンテンツも取り扱っている。ただ無法地帯ということはなく、コンテンツの基準については、各種機関からの要請など総合的に鑑みながら月2〜3回の頻度で見直ししているという。

「ファンティアはあくまでクリエイター支援プラットフォームで、クリエイターでない方はお断りさせていただいている。例えばコスプレイヤー、グラビアアイドルは表現活動をされている一方、ただ単に脱いで日銭を稼ぎたいという方は、ファンとのコミュニケーションから支援を募るという部分とずれるため、厳しめに見させていただいている」(同)

 今後も芸能界のフリー化の流れ、そして残念ながらネットの肌色規制の流れは止まらないことが予想される。水着という表現の場を求めて、今後もファンティアはグラビアアイドルの避難の場所となっていきそうだ。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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