「太陽にほえろ!」50周年 最も在任期間が長かった新任刑事は誰か?ファンも驚く7つの逸話

「太陽にほえろ!」50周年 最も在任期間が長かった新任刑事は誰か?ファンも驚く7つの逸話

石原裕次郎退院後「太陽にほえろ」の初ロケに合流。(左から)宍戸錠、一人おいて、石原、木之元亮、下川辰平、露口茂(1981年11月26日)

 今月21日で伝説的な刑事ドラマ『太陽にほえろ!』の放送開始からちょうど50年になる。東京都新宿区矢追町の警視庁七曲警察署を舞台に、刑事たちの活躍を描く日本の刑事ドラマの代表作は今も視聴者の記憶に残る。

 最大の特徴は“新しい刑事の登場”と“殉職”だろう。捜査第一係長の“ボス”こと藤堂俊介係長(石原裕次郎)という主役はいるものの、新人や無名の俳優を次々とメインで起用、人間的に成長する姿を描き、その後“殉職”という形で番組を去っていくというパターンだった。

 そこで今回は七曲署に新しく赴任してきた刑事たちのトリビア的エピソードを紹介していきたい。

 まずはニックネームに関して。「第1話で七曲署に赴任してきた刑事は“マカロニ”だが、そのニックネームははじめ“坊や”だった」。当初、この名前には演じる萩原健一が反発していた。衣装合わせにやってきた萩原の“ノーネクタイで三つ揃いの背広姿”がまるでイタリア製西部劇の「マカロニ・ウェスタン」に出てくるような格好だったため、“マカロニ”というニックネームに決まったのである。

 次は「七曲署に新加入した刑事の下の名前は“ジュン”であることが多い」。これはマカロニの本名が早見淳だったことに始まる。以降、スタッフのちょっとした遊び心で役名を“ジュン”繋がりにすることにしたのだとか。2人目の“ジュン”はジーパン(松田優作)で“柴田純”、3人目のテキサス(勝野洋)が“三上順”、5人目のスニーカー(山下真司)が“五代潤”、そして最後のDJ(西山浩司)が太宰準という具合だ。

 注目したいのは4人目のボン(宮内淳)の役名が“田口良”である点だ。これはまだテキサスが存命していた関係で、苦肉の策としてボン役の宮内の芸名を“淳”と命名することにしたのである(本名は宮内博史)。

 またテキサスの三上の三には“3代目のジュン”、スニーカーの五代の五には“5代目のジュン”という意味が含まれている。実際にはスニーカーは4人目の“ジュン”だが、前述の理由でスタッフ的にはボンが4代目とされていたからだ。

 9番目の新刑事として登場したラガー(渡辺徹)は竹本淳二という名だが、マカロニの早見淳に次ぐ“2代目の淳”という意味が込められている。6番目の新刑事・ロッキーこと岩城創(木之元亮)の殉職後にやってきたボギー(世良公則)の名は春日部一。“ハジメ”という名前を踏襲した形だ。事故死した殿下=島公之(小野寺昭)の後任・ドックを演じたのは神田正輝だったが、その役名は“西條昭”でこちらは“アキラ”繋がりとなっている。


■意外にも「走らなかった」刑事


 3つ目は「新人俳優が新刑事に抜擢されるときは、レギュラー出演する前に演技のテストを兼ねて出演している」。その最初が当時文学座研究生だった松田優作だ。第35話「愛するものの叫び」で障害者施設の職員を熱演。「規則なんだから、仕方ないんですよ!」と号泣する迫真の演技に、スタッフも度肝を抜かれたという逸話が残っている。このほか勝野洋は第89話「地獄の再会」で若手刑事役、宮内淳は第148話「友情」で大学の柔道部員役、木之元亮は第245話「刑事犬対ギャング犬」で警察犬の調教師役、渡辺徹は第460話「スニーカーよ、どこへゆく」で聞き込みされる会社員役を演じている。

 中には山下真司のように2度出演するケースもある。第324話「愛よさらば」で青年作業員役、第341話「同期生」で若手刑事役を演じている。これはボン殉職後の新人刑事として登場予定だったものの、ボンの殉職が延びたためだった。結局、演じるスニーカーは第364話から登場している。

 4つ目はオープニングのタイトルバックに関して。大抵の犯人が走って逃げるため、刑事も追走するシーンが多い本作は“走る刑事ドラマ”としても知られている。テキサス(出演期間2年)とボン(同約3年9カ月)のコンビが合わせて走った距離は、地球約半周分とも言われている。歴代の若手刑事はその象徴がオープニングのタイトルバックで走っていたが、そこで一人だけ「走らなかった」刑事がいる。ジーパンである。本作の歴代刑事の中で“走る姿の美しさは一、二を争う”と言われたが、なぜか走らず、ただ雑踏の中を歩くだけなのだ。


■幻の女性刑事


 5つ目は在職期間の長さに関して。1人目のマカロニ、2人目のジーパンはともにわずか1年で殉職。3人目のテキサスも1年での殉職降板が予定されていたが、熱心なファンたちが助命嘆願を寄せたことがきっかけで、1年の延命が決まった。そして以降、1年で殉職する決まりはなくなり、その都度タイミングが見定められることになった。では最も在職期間が長かったのは誰か。殉職した刑事では第256話 から第519話まで全263話に出演したロッキーがダントツで、先輩刑事としてロッキーとコンビを組んだボンが第168話から第363話まで全195話とこれに続く。最終回まで存命した刑事では、ドックが第415話から第718話まで全303話にわたり出演した。

 6つ目は「2日で去った新人女性刑事がいる」というもの。第546話で登場した谷山美沙(高田早苗)だ。転勤したジプシーこと原昌之の後任として配属した彼女は、着任早々事件を解決するなどしたが、犯人にナイフで襲われた恐怖心から辞表を提出し、わずか2日で一係を去っていった。その後、交通課勤務の婦警で殉職したロッキーの妻・岩城令子(長谷直美)が後任に配属され、見事事件を解決している。令子は双子を持つママさん刑事だったため、愛称は“マミー”。この回のサブタイトルは「マミー刑事登場!」だった。

 谷山はゲスト出演だったものの、正式に七曲署の捜査一係に配属された歴代刑事の1人でもある。にもかわらず、唯一、ニックネームがなかった存在であった。

 最後も「幻の刑事」に関して。第715話「山さんからの伝言」で海外研修へ旅立つ形で七曲署を去って行ったデュークこと島津公一(金田賢一)の後任として予定されていたのが、当時人気絶頂だった時代劇『必殺シリーズ』で活躍していた京本政樹だった(2001年に刊行された自叙伝『META-JiDAIGEKI』で明らかにされている)。だが、石原裕次郎の体調が思わしくなく、レギュラー復帰を断念したため、ドラマの終了が急遽決定。京本の登場は幻に終わった。

 「太陽にほえろ!」は石原が華を添える形で1話だけ復帰した第718話「そして又、ボスと共に」で、14年4カ月の歴史に幕を降ろした。

上杉純也

デイリー新潮編集部

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