ちむどんどん・賢秀役の「竜星涼」がフジ「連ドラ」で初主演へ 原作は超人気漫画

ちむどんどん・賢秀役の「竜星涼」がフジ「連ドラ」で初主演へ 原作は超人気漫画

竜星涼

 NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で比嘉家の4きょうだいのトホホな長男・賢秀を演じている竜星涼(29)が、プライム帯(午後7時〜同11時)の連続ドラマに初主演することが決まった。フジテレビの来年1月期の連ドラで、同局関係者が明かした。

 竜星涼がプライム帯の連ドラに初主演することになった。「ちむどんどん」のニーニーこと賢秀はいまだ迷走を続け、視聴者からボロカスに言われているが、竜星は上昇気流に乗っている。

 この連ドラの原作は『週刊ヤングジャンプ』に連載中の「スタンドUPスタート」。漫画通なら「ついにドラマ化か」と快哉を叫ぶはず。超が付くほどの人気作品である。

 作風は痛快で読むと力が湧いてくるような気分になる。明るい竜星のキャラクターに合いそうだ。

 原作の主人公は「人間投資家」を名乗るサンシャインファンド社長の三星太陽。「資産は人なり」が口グセで、個人に起業を提案し、投資している。

「また起業ものか」と思われる人がいるかも知れないが、既存作品とは全く異なる。太陽の目的は会社をつくらせて利益を得ることではない。

 職場を追われたり、働く意味が分からなくなってしまったり、生きづらさを感じたりしている人たちに向いた事業を太陽が見つけ、その人たちの起業を全面的にサポートする。最終的に目指すのはその人の生き方の再構築だ。

 太陽はどんな人であろうがスタンドアップスタート(立ち上がって始める)は可能と考えている。役に立たない人なんて1人もいないというのが持論。だから「資産は人なり」なのである。

 太陽のサポートによる起業で人生を立て直す人はさまざま。子会社に左遷されて腐っている銀行員、クラブホステス、経営危機に陥っているスポーツジム代表、大学生、ヒット作が出ずに悩むベテラン漫画家――。立ち上げられる会社は人によって全く違う。

 また起業の仕方や株式会社の仕組みなどが一から分かりやすく説明されており、ビジネスにも役立つようになっている。作者の福田秀氏はヒットメーカーで、過去にも「ドロ刑」が日本テレビで「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」のタイトルで2018年に連ドラ化されている。


■漫画原作と相性のいい俳優


 ドラマは国内外を問わず「1に脚本(原作)、2に役者、3に演出」というのがセオリー。竜星は格好の原作を得た。来年1月ドラマの中で屈指の話題作になる可能性が高い。

 漫画を基にしたドラマは原作のファンから「イメージと違う」とブーイングが起こりがちであるものの、竜星は漫画を原作とする作品と相性がいい。漫画的な大きな動きがサマになるためか。

 犬飼貴丈(28)とダブル主演した映画「ぐらんぶる」(2020年)も同名人気漫画が原作。元気でおバカなダイビング・サークル所属の大学生役が好評だった。ストーカーになるヤバイ会社員役で助演したフジ系「レンアイ漫画家」(2021年)なども漫画が原作だ。

 一方、「ちむどんどん」の賢秀は現時点では相変わらず不人気。朝ドラでここまで見事に共鳴されない主要登場人物も奇特と言える。

「オレ様がかの有名な沖縄の一番星。ヤンバルの比嘉賢秀やさ!」(賢秀)

 威勢はいいのだが、自意識過剰で背伸びした行動ばかり。それでいて無責任で逃避癖がある。まるで中2病。良いところがゼロに等しいから批判はやむを得ない。

 半面、それは脚本を書いている羽原大介氏(57)がつくり上げた賢秀という架空の人物の話。演じている竜星に責任は全くない。俳優の値打ちも下がらない。今の時代、役柄と俳優本人を混同する人はいないだろう。


■賢秀役への反響は「役者冥利に尽きる」


 むしろ賢秀役を演じることによって茶の間での竜星の認知度は間違いなく高まった。ほかの朝ドラより低めとはいえ、連日15%前後の世帯視聴率と9%前後の個人全体視聴率を得ているのだから。これだけの視聴率をプライム帯で得るのは至難だ。

 竜星自身、6月10日のNHKの情報番組「あさイチ」に生出演した際、「(賢秀役への大きな反響は)役者冥利に尽きる」と神妙な面持ちで語った。自分の演じている役柄が連日話題になることを誇らしく思わない俳優はいない。

 番組内で竜星は賢秀役の演技について、「振りきって、うざい芝居を目指しています」と明かした。嫌われるのは覚悟の上なのである。

 当たり前だが、竜星は賢秀とは全く違うキャラの男も演じられる。代表作の1つである映画「泣き虫ピエロの結婚式」(2016年)では志田未来(29)が演じる見習いピエロと恋に落ちる余命短い繊細な青年を演じた。観客席が大泣きの作品だった。

 賢秀役を演じたことによって竜星のドラマ界での評価は上がったのではないか。救いようがないキャラである賢秀役を、なんとかここまで視聴者に観せてきたのだから。賢秀役のキャスティングを間違えていたら、この朝ドラはもっと火だるまになっていたはず。明るいダメ男が演じられ竜星の起用は正解だった。

「ちむどんどん」の放送は9月30日まで。主演連ドラの放送開始まで1クール(3カ月)空く。これは視聴者にも竜星にも良かったはず。インパクトが強い賢秀が放送終了から間もなく違う役で画面に現れたら、さすがに違和感を拭えないだろう。

「ちむどんどん」関係者も既に竜星がプライム帯の連ドラに初主演することは知っている。祝福を受けたという。

 竜星は2009年、16歳の時に東京・原宿の竹下通りでスカウトされた。スカウトの黄金地帯である。

 翌2010年にはフジの連ドラ「素直になれなくて」で上野樹里扮する私立高講師の教え子役でデビュー。2013年にはテレビ朝日のスーパー戦隊シリーズ「獣電戦隊キョウリュウジャー」に桐生ダイゴ(キョウリュウレッド)役で主演した。今は賢秀で残念な存在だが、元ヒーローなのだ。

 以降、朝ドラ「ひよっ子」(2017年度上半期)や日本テレビ「35歳の少女」(2020年)などに出演してきた。「35歳の――」では柴咲コウ(40)が扮した主人公の実父(田中哲司、56)の継子を演じた。整形手術のための費用100万円を要求する暗く鬱屈した青年で、賢秀とは懸け離れていたが、これもハマっていた。役柄の幅は広い。

 賢秀が「沖縄の一番星」になれる可能性は今のところ限りなくゼロだが、竜星は星を掴みかけている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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