夏ドラマは絶不調 視聴率2桁キープの作品ゼロの異常事態を招いた意外な要因

夏ドラマは絶不調 視聴率2桁キープの作品ゼロの異常事態を招いた意外な要因

 夏ドラマもいよいよクライマックスに突入……かと思えば、視聴率トップを突っ走っていた日曜劇場「オールドルーキー」(TBS・日曜21時)も、8月7日放送回が9・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)と1桁に。これで今期は、全話2桁キープのドラマが皆無という前代未聞の事態に陥った。いったいどうしちゃったのか。

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 業界では、視聴率3%台は“爆死”“打ち切りレベル”と呼ばれる。すでに3%台に突入しているのが、Hey! Say! JUMPの中島裕翔(29)主演の「純愛ディソナンス」(フジテレビ・木曜22時)だ。初回の4・8%を皮切りに4%台が続いたが、8月4日放送回で3・7%を記録した。

 ほかにも3%台予備軍とみられるのが、劇団EXILEの町田啓太(32)主演の「テッパチ!」(フジ・水曜22時)で、8月3日の第5話まで3週連続の4%台(7月27日は4・0%)だ。また、King & Princeの永瀬廉(23)主演の「新・信長公記〜クラスメートは戦国武将〜」(日本テレビ/読売テレビ制作・日曜22時30分)も8月7日に4・2%まで落ちた。林遣都(31)と仲野太賀(29)がW主演の「初恋の悪魔」(日テレ・土曜22時)は7月30日に3・8%まで落としたが、8月6日は5・2%と持ち直した。

 民放プロデューサーが解説する。

「ここまで低視聴率ドラマが揃ったのは珍しい。もしかすると、民放ゴールデン&プライム帯の連続ドラマでは今世紀最低と言われる、EXILEのAKIRAが主演した『HEAT』(2015年・フジテレビ/関西テレビ制作・火曜22時)の第6話、2・8%を超える作品が出てくるかもしれません。いずれにせよ、史上最低シーズンと言っていいかもしれません」

 他の夏ドラマを見てみよう。


■人気シリーズまで全滅


 坂口健太郎(31)と杏(36)のW主演で、公正取引委員会を描いた月9「競争の番人」(フジ・月曜21時)は初回こそ11・8%だったが、2話以降は1桁に。

 波瑠(31)の「魔法のリノベ」(フジ/関西テレビ制作・月曜22時)は全話6〜7%をウロウロしている。

 永野芽郁(22)の「ユニコーンに乗って」(TBS・火曜22時)も7〜8%台。

 橋本愛(26)の「家庭教師のトラコ」(日テレ・水曜22時)は5〜7%台。

 竹内涼真(29)の韓流リメイク「六本木クラス」(テレビ朝日・木曜21時)は7〜9%台で健闘しているほうだが、2桁には届かない。

 有村架純(29)の「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」(TBS・金曜22時)は初回から6%台が続いたが、8月5日に8・4%に跳ね上がった。

 そして前述の通り、綾野剛(40)主演の「オールドルーキー」が2桁を割ってしまったのだ。

「今期は、テレ朝が誇る“相棒”枠(水曜21時)の『刑事7人 SEASON8』や、“科捜研”枠(木曜20時)の『遺留捜査 第7シーズン』ですら、すでに1桁に転落しました。両番組とも前シリーズでは1度も1桁がない堅実な番組だったのですが……」


■ドラマ以外は視聴率アップ


 夏ドラマは、季節的に視聴者が外出する傾向にあるため、全体的に視聴率は下がると言われる。

「昨年の夏は、『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS・日曜21時)が15%台を連発し、最終回は19・5%に達しました。戸田恵梨香と永野芽郁の『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(テレ朝・水曜22時)も大人気となり、波瑠の『ナイト・ドクター』(フジ・月曜21時)、唐沢寿明の韓流リメイク『ボイスII 110緊急指令室』(日テレ・土曜22時)も楽しめた。今期だって、勝るとも劣らぬキャスティングです」

 デイリー新潮は5月12日、「綾瀬はるか、上野樹里、柴咲コウ……豪華キャスティングの春ドラマが揃って大苦戦のワケ」の記事を配信。4月からTVerの同時配信がスタートし、視聴者がリアルタイムでテレビを見なくなり、PUT(総個人視聴率)が下がったことが不調の原因と報じた。今期はさらに、配信の影響が出たということか。

「実はPUTは、6月に底を打っています。7月に入ってからは、猛暑と新型コロナの感染拡大により、在宅率が上がりました。そして、安倍晋三元首相の暗殺により、統一協会問題を連日放送する『情報ライブ ミヤネ屋』(日テレ/読売テレビ制作・平日13時55分)や『情報7daysニュースキャスター』(TBS・土曜22時)などの情報番組、『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(日テレ/中京テレビ制作・火曜19時)や『ポツンと一軒家』(テレ朝・日曜19時58分)といったバラエティ番組の視聴率は上がっています。つまり、数字が落ちているのはドラマだけと言っていい」

 なぜドラマだけが?


■ちむどんどん(ワクワク)しない


「全体にワクワクさせるような、次週が待ちきれないような作品がありません。つまり脚本が甘いのです。人々の心をえぐる、あるいは深い共感を得るような描写が見られません。例えば、『半沢直樹』(TBS・日曜21時)の土下座、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレ朝・木曜21時)の“いたしません!”“失敗しないので”といったお約束、“待ってました!”と声をかけたくなるような中毒的スパイスも足りません」

 今期は脚本家だって豪華だ。「家庭教師のトラコ」は「女王の教室」や「家政婦のミタ」の遊川和彦。「初恋の悪魔」は「カルテット」や「大豆田とわ子と三人の元夫」の坂元裕二。「競争の番人」の丑尾健太郎は「半沢直樹」を書いた一人だ。

「それだけに視聴率を取るための執念が欠けているように思うのです」

 もうひとつ、低視聴率の要因があるという。

「あまり大きな声では言えませんが、『ちむどんどん』(NHK)の不調が大きな影響を与えているという見方があります。言わずと知れた平日朝に15分間放送されている朝ドラです。実は、朝ドラの評判が悪いと、連鎖反応でゴールデン&プライム帯のドラマに悪影響を及ぼすんです。朝ドラが面白くて輝いていると、その日一日が気分良く過ごせるとはよく聞きますが、逆に朝ドラが良くないと、夜のドラマまで見たくなくなってしまうのかもしれません。今期の『ちむどんどん』は最高でも17・2%しか取っていません。歴代の朝ドラの“ワースト最高視聴率”は、多部未華子が主演の『つばさ』(2009年前期)の17・7%ですから、それを更新する可能性がある。歴代最低の朝ドラに連ドラも影響を受けているかもしれないのです」

デイリー新潮編集部

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