秋ドラマで中島ハルコが帰って来る この役柄は大地真央がハマり役と言われる理由

秋ドラマで中島ハルコが帰って来る この役柄は大地真央がハマり役と言われる理由

大地真央

 この秋、連続ドラマ「最高のオバハン 中島ハルコ」(フジテレビ系、土曜午後11時40分)が約1年半ぶりに帰って来る。10月から続編が同じ放送枠で放送される。主演はもちろん前作と同じ大地真央(66)。10月期ドラマの主演女優の中で最高齢になるが、そんなことを全く意識させないところが凄い。


■66歳で主役、花の独身


 大地真央の年齢でドラマに出演すると、大抵は助演であり、演じるのは主人公の母親役か祖母役。それが「最高のオバハン 中島ハルコ」での大地は主演で、役柄は独身の美容外科医。前作では恋もしていた。それに違和感を全く抱かせなかった。

 大地ほど美魔女という表現が似合う女優はいない。いや、もう美魔女の範疇を飛び出してしまっているかも知れない。「美のレジェンド」と呼ぶ向きさえある。

 6月まで放送されていたドラマ「正直不動産」でも美しき謎の資産家・マダムを演じ、ドラマの華となった。その存在は視聴者の耳目を集めた。

「大地真央さんはおそろしいくらいにお綺麗」(ツイッター、6月12日)

 どうしていつまでも美しいのか。大地は5月に栃木県の地元新聞社が主催した講演会で美を継続する秘訣についてこう語っている。

「当たり前の生活を大切に、気持ちを明るく保つこと」(大地、下野新聞5月26日)
「笑顔で過ごせた1日を重ねていくことが大切だ」(同)

 暗い気分で日々を送っていると、たちまち老け込んでしまうということか。レジェンドの言葉だけに説得力がある。

 大地は精神面でもエイジレス。消費者金融のCMで関西弁の現代文講師に扮し「なんでやねん!」と吠えたり、セーラームーン風のコスプレ姿で「あんた、そこに愛はあるんか」とつぶやいたりしているのは知られている通り。

 鼻栓まで付けてシンクロの選手に扮したこともあった。ハゲヅラをかぶったことも。かつての大女優なら決してやらなかった。気持ちが若々しく、チャレンジングだから出来るのだろう。


■前作はヒット。ハルコは強烈なキャラ


「最高のオバハン 中島ハルコ」の初作は昨年4月上旬から5月末まで放送され、ヒット作品となった。原作は林真理子氏(68)の人気小説「最高のオバハン」シリーズ。原作のハルコの立場は会社経営者で、そこがドラマとは違うものの、キャラクターなどは一緒だ。

 大地のハルコ役はハマり役だった。というより、大地の存在がなかったら、ドラマ化は難しかったのではないか。ハルコは飛び抜けて美しい上、人間のスケールが途方もなくデカイから、誰にでも演じられるような役柄ではない。大地自身も前作の制作決定前に「大地真央がやればいいのに」という声を耳にしたことがあるという(前作のホームページより)。

 ハルコはバツ2。1度目の離婚後に医大に通い、医師国家試験に軽々とパスした。頭はメチャメチャ切れる。ただし人当たりは最悪。びっくりするほど偉そうで、事あるたびに「あたしを誰だと思ってるの!」と口にする。傲慢この上ない。

 遠慮も配慮も一切せず、ズケズケとものを言い、相手の痛いところをバシバシ突く。なにしろ持論の1つが「悪口はその人の目の前で堂々と言うべき」(ハルコ)なのだ。

 ところが嫌われない。それどころか周囲に人が集まる。弱い者いじめをしないのが理由の1つだ。「あたしは誰にだって平等に威張っているのよ!」(ハルコ)。分け隔てなく相手に対して尊大なのである。このセリフがしっくりくるのは大地くらいだろう。

 言葉に私心がなく、言っていることが大抵は正論であるのも憎まれない理由。おまけに度胸満点で正義感も強いから、まわりから頼りにされる。


■激辛のハルコの言葉も魅力


 頼られた時、相手に掛ける言葉も独特だ。前作でミュージシャンになりたいから名古屋大を中退すると言い出した知人の息子にはこう助言した。

「人生は、その気になれば何度でも仕切り直せる。ただし、学歴があるのとないのとでは大違い。学歴があれば、信用もツレ(友人)も勝手に増える。学歴は大いに利用すべき通行証みたいなもの」(ハルコ)

 正論かも知れないが、ここまで営利的に学歴のメリットを説明する大人はそういない。「学びは一生の宝になる」みたいな綺麗事は一切言わないのだ。

 前作では家庭問題にもクビを突っ込んだ。会社を早期退職して家でゴロゴロしているイトコの夫に対し「家事を手伝わない夫は粗大ゴミ同然」(ハルコ)と斬り捨てた。

 また容姿や年齢などで負い目を感じるのはまるで無意味なことだと説いた。

「コンプレックスはクヨクヨ悩むだけ時間の無駄」(ハルコ)

 いずれも激辛な言葉ばかりだったが、ツイッターなどSNSには共鳴する声がずらりと並んだ。

「心に刺さる名言のオンパレード」(ツイッター、昨年5月30日)

 ハルコの言葉はドラマの人気を押し上げる要因の1つになった。続編でもヒリヒリするような言葉を耳に出来るはずだ。


■個性的だった宝塚時代。ハゲヅラもかぶった


 大地が宝塚歌劇団出身なのは知られている通り。出身は兵庫県淡路島。1971年に地元中学を卒業するのと同時に同音楽学校に入学する。難関だが、一発で合格した。

 本当は最初から芸能界に入り、女優になりたいと考えていた。しかし父親が猛反対。結局、礼儀作法も厳しく教育する宝塚なら許すということになった。

 音楽学校卒業後の1973年、月組に男役として配属された。劇団側とファンは早い時期から特別な期待をしていた。大地がハルコと同じく、やることなすこと規格外だったからだ。演技や歌、ダンスの技量が抜群だった上、独創性があった。

 1977年、宝塚のドル箱の「風と共に去りぬ」に出演した際のこと。大地はまだ4年目だったので、役柄は1人の機関士だった。本来、地味な役柄である。

 ところが機関士役の大地が帽子を脱ぐと、誰も予想もしなかったスキンヘッドだった。大地は独断でハゲヅラをかぶっていたのだ。

 客席は爆笑に包まれ、主人公のレット・バトラーを演じていた榛名由梨(76)も思わず笑った。もちろん大地に他意はなかった。こうしたほうが機関士の役柄に説得力が生まれると考えたのだ。

 1982年に月組トップスターに就いても保守的にならず、新しいことに挑戦した。たとえば、横髪を刈り上げ、残りの毛は逆立て、モヒカンヘアでステージに上がったこともある。世間でもモヒカンが流行し始めていたころだった。宝塚では初めてだった。

 大地は2009年の大晦日に放送された「絶対に笑ってはいけいないホテルマン24時」(日本テレビ)に出演。林家パー子(73)そっくりの林家マー子に扮し、観る側を仰天させた。だが、大地にとっては特別なことではなかったのだろう。宝塚のハゲヅラやモヒカンと一緒。イメージが損なわれる恐れなど気にせず、作品にプラスになると思ったことは何でもやる人なのだ。

 1985年8月の宝塚退団時のパレードには当時としては最高の約5000人が集まった。ファンは大地の美しさや芸にだけ惹かれていたわけでなく、その太陽のような明るさも愛した。内面が魅力的なのもハルコと同じだ。

 まだまだ第一線の女優として活躍を続ける一方、アンチエイジングの旗手として注目を集め続けるに違いない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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