あいなぷぅに3ヒロ・かなで…女性芸人にも相次ぐ整形ブーム 芸人も「笑いより見た目が10割」の時代か?

あいなぷぅに3ヒロ・かなで…女性芸人にも相次ぐ整形ブーム 芸人も「笑いより見た目が10割」の時代か?

あいなぷぅのInstagramより

 お笑い界でのブスいじりがNGとなって久しいが、自分の顔は「イジる」のがブームなのだろうか。パーパーのあいなぷぅさんが「有吉の壁」で二重整形を告白して話題となったが、今度は3時のヒロイン・かなでさんも二重整形を発表。あいなぷぅさんはカウンセリングに行ったノリで、とサラっと話し、かなでさんは前々から整形を希望していたという。ひと昔前は整形をしていたとしても否定するのが芸能界の不文律だっただけに、女性芸人の変化には驚くばかりである。

 ブスいじりの是非は、ずっと問われてきた。吉本ぶちゃいく女芸人ランキングも2016年に廃止になった。「角野卓造じゃねーよ」という持ちネタでブレークした近藤春菜さんも同ランキングの常連だったが、最近はブスいじりされている場面をそうそう見ない。殿堂入りした元アジアンの隅田美保さんはブスいじりに抵抗を示したと報じられ、今は舞台で活躍しているという。

 一方で彼女たちのひと回り下、いわゆる第7世代の面々は、ランクインなどものともせずに美容意識の高さで同性の支持を集めている。例えばゆりやんレトリィバァさんは45キロのダイエットに成功。現在はNetflixシリーズ「極悪女王」出演のため増量したが、見た目の大きな変化は話題を呼んだ。またゆにばーす・はらちゃんは、玄人はだしのメイク技術で女性ファンが急増。ネタの時の素朴な容姿からは想像もできない、イイ女への変身っぷりで世間の度肝を抜いた。先日NHKでの「ワタシってサバサバしてるから」の主演が決まった丸山礼さんも、「お笑い界の田中みな実さんを目指す」というほど美容知識が豊かである。彼女たちは面白さより、美容に向ける熱量や技術の高さで同世代の女性の支持を得ているように見える。

 芸人である前に一人の女性である。それが彼女たちに共通している意識だろう。といってもモテるためではなく、自分が理想とする姿に近づくために美容を頑張る。お笑い芸人のくせに、という言葉にも屈しない。面白さと可愛さは両立するし、自尊心を犠牲にするお笑いはやらないという態度ははっきりしている。ブスだから三枚目キャラで勝負、という旧来の見せ方ではなくて、面白さも可愛さもあきらめないという、かつてないほど欲張りな世代なのではないだろうか。


■りんたろー。にジャンポケおたけ……男性芸人にも広がる整形ブーム ツッコミほど多い不思議さ


 見た目を気にするようになったのは、女性だけではない。美容男子っぷりでは、藤森慎吾さんやりんたろー。さんが有名だ。体を鍛え、脱毛に励み、スキンケアにもこだわる。りんたろー。さんはボトックス注射にもチャレンジ。顔の大きさに昔からコンプレックスがあったと明かしている。

 メスを入れる整形に踏み切ったのは、ジャングルポケット・おたけさん。2015年に顎と目の整形を公表。ぱっちり二重になったビフォー・アフターの写真を載せて「また顔いじっちゃったよ」と堂々たるカミングアウトで話題をさらった。昨年は筋トレにも励み、約11キロ減の肉体改造にも成功。どんどんと見た目が変わり続けている。整形自体をニュースにする芸人も多い。宮迫博之さんはクマ取りの模様をYouTubeで公開し、スピードワゴン・井戸田さんも120万円をかけた施術をバラエティーで放送したことがある。FUJIWARA・藤本さんも過去に鼻にヒアルロン酸を入れるプチ整形を行い、今年春には「肌のもたつきが気になる」と美容整形に興味がある様子を報じられていた。

 こうして見ると、不思議とツッコミ担当が多い。往々にして男性ユニットの場合、ボケに見た目やキャラのクセがあるため、相対的に目立たない自分の存在意義を悩みがちなのかもしれない。みな整形を受けた理由を、顔やキャラにコンプレックスがあったと語っている。自意識過剰と捨ておくこともできるが、あっけらかんと整形を告白する女性芸人に比べて、悲壮感が漂う。それは見た目いじりが完全にNGとなった女性芸人界に比べ、男性芸人はまだまだ「イジられて笑いを取ってなんぼ」と言う感覚が残っているからかもしれない。


■受賞歴という結果より努力している過程を評価される令和 「見せる努力」の重要性


 お笑いは時代を映すというが、とにかくみんなそれだけ、「醜くなりたくない」「醜いと人間扱いされない」という恐怖心と戦っている時代ということなのだろう。だから賞レースの結果よりも、整形やダイエットのビフォーアフターの方が耳目を集める。

「努力は見せないもの」という昭和の美学も、「努力は見せないとわからない」という令和の力学に覆されつつある。アイプチを密かに続けるのではなく、コンプレックスと整形を公表する芸人たち。その等身大の悩みと正直な態度は、確かに好感度を高めている。

 ラランド・サーヤさんや丸山礼さんらを見ていると、テレビに出ることをありがたいと思う世代ではないのだなと感じることがある。都合よく編集する制作側に対する不信感とか、簡単に手のひら返しをするお茶の間の移り気さに対して警戒感を隠さず、「あ、今からテレビ用のキャラやりますね」とわざと二重底を見せているような印象を受けるのだ。それは不遜さというよりも、どこまでも自己責任という社会の怖さに対抗するための、今の若者世代ならではの冷静さの表れなのだろう。

 自分の顔が嫌なら、整形すればいい。自分の機嫌も取れずに仕事で力を出せなくても、自己責任。賞レースで勝ったところで、好ましい仕事ばかりが来るわけでもない。それなら、自分なりのやり方でファンを獲得していった方が、テレビへの対抗力になる。

 お笑い芸人でも、フリーになる人は増えた。整形や美容ブームは、文字通り自分の顔を名刺代わりに戦うための戦略といっては深読みしすぎだろうか。といっても、行き過ぎては笑えない。見た目も含めて芸にするのも芸人しだい。笑われるのではなく、笑わせるというプロの矜持を守るべく、番組の作り方や見方も、チューンアップが求められているのは確かなのだろう。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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