ニューヒロイン台頭! 秋ドラマ「演技派女優」は誰? 存在するだけでホラーの趣里、悪玉もイケる瀧本美織

ニューヒロイン台頭! 秋ドラマ「演技派女優」は誰? 存在するだけでホラーの趣里、悪玉もイケる瀧本美織

©吉田潮

 年を重ねると仕事以外の任務が無駄に増える。父の成年後見人やらマンション管理組合理事長やら。ただでさえ加齢で集中力が低下しているうえに、予定が狂って時間に追われる。眉間に皺が増え、呪詛をたれたり、獣のように咆哮(ほうこう)することもしばしば。それでも、今期は良作ドラマが多いので救われている。ダントツ1位はフジだけど、他の局にも待ち遠しい曜日がいくつかあって、豊かな気持ちに。かろうじて人間でいられるのもドラマのおかげです。

 そんな珠玉の良作はさておき、新たに台頭したヒロインを愛でておこう。数年前までは、主演がほぼ数名の輪番制(ハルカ・キョウコ・サトミ・ユリコ・ハル)だったが、ここにきて代替わりした感もある。傑作とは言い難いものの、彼女たちの演技は気になる。ということで、ニューヒロイン激戦・秋ドラマ対決を。

 まずは、泉里香主演の「高嶺のハナさん2」(BSテレ東)。泉はクールビューティーの印象も強いが、実はコメディーに向いている。「海月姫」(2018年・フジ)で安井順平と組んで見せたコメディー筋肉(色恋&枕営業と強烈な嫌がらせが得意な美人)が忘れられない。

 ただ、シーズン1では泉演じるハナさんがあまりに素っ頓狂なウブで、正直敬遠してしまった。が、シーズン2を改めて観ると、その馬鹿馬鹿しさも逆に清々しく見える。たぶん、もっとアホに見える小柳友が登場したからかな。泉がもつ知的な美しさは、今後もコメディーでぜひ多用すべきだ。

 続いて、ドロドロ復讐劇系を2作。姉妹間で男を巡ってえげつない嫌がらせを展開する「Sister」(日テレ)。姉の瀧本美織が妹の山本舞香を執拗に憎む設定。男に妹を襲わせるなど、やり口がマジ汚いワケよ。昭和なのよ。瀧本は善玉の印象が強かったけれど、悪玉もイケるクチと認識を改めた。どっちかといえば、舞香のほうに悪玉感があるのだが、ふたりとも予測を裏切一ってくれたことは間違いない。

 もう一作は「サワコ~それは、果てなき復讐」(BS-TBS)。主演は趣里。いや、もう悲劇や惨劇は趣里にお任せ、といってもいい適役。存在するだけでホラー完成というか、人間離れした妖艶さがあるというか。「趣里って人形の久月で売っているよね?」という感じ。来年の後期朝ドラのヒロインに決まったし、今作がホラー系趣里の見納めとなるかもしれないなと。

 この作品には濡れ場も多く、インティマシー・コーディネーターが参加したと聞く。制作陣の意識の高い部分も含めて、評価したい。

 実は共演の深川麻衣も密かに好演。前半では趣里の企みで一家離散に追い込まれるも、ただの悲劇のヒロインではなく、ちょっと腹黒い感じが匂うのよ。で、後半は逆に趣里に復讐を仕掛けるリベンジバトンタッチ制。飽きさせないし、深川の冷めた表情にぐっと引きつけられた。なので、深川に技巧賞を授けよう。

 おっと、忘れちゃいけない。「君の花になる」(TBS)の本田翼は、今期最も浮いてしまったヒロインなので、浮遊賞を授けよう。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

「週刊新潮」2022年12月1日号 掲載

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